むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方教育研究会

    漢方を大学でも教えるようになって10年ほど経ちます。しかし、まだ熊本大学には漢方医学講座は存在せず、他の担当教授が漢方の講義を兼務されています。現場では漢方のニーズが年々高まっており、大学に講座がないのは時代に遅れている感があります。そういうなか、漢方を学生にいかに教えるか、どう試験をしてどう評価するかと言った漢方教育に関する研究も年々進んできました。土曜日の午後から熊本大学で開催された南九州沖縄地区・大学漢方医学教育研究会という会に参加してきました。私以外はみんな大学職員で、実際に学生教育のプロの方々です。

    私は開業するまで森都総合病院の漢方外来で学生の漢方実習をしていました。実際の患者さんを診察しながら漢方を求めてくる患者さんがいかに多いかを見てもらい、その患者さんたちに私がどのような対応をしているかを見てもらい、漢方の基礎と臨床を解説していました。

    私はこれからも学生に漢方を教える非常勤講師としても貢献できたらと思っていたのですが、開業してみると、これまで森都総合病院で見ていた患者さんの(1時間あたりで)2−3倍くらいの患者さんが来院されます。自分のクリニックにいた方が多くの患者さんをみることができます。一人でも多くの患者さんの悩みを聞いて解決するのが今の私のすべきことと思って頑張っています。

    昨日、真ん中の茶色いところがないひまわりの写真に「悪の枢軸のような」ひまわりと書いたら、どういう意味ですかと、聞かれたので、私がイメージした映画「21世紀少年」の「ともだち」というキャラクターの写真を載せます。あのひまわりは顔を隠した「ともだち」に似ているなーと思ったのです。

  • ロコモ

    私は、毎日針治療などで体の痛みの治療を行なっているため、痛みに関する勉強会に参加してきました。最近、整形外科分野ではカタカナを使った疾患概念が流行っています。ロコモ、フレイル、サルコペニアと言った言葉です。素人には何のことかさっぱりわからないと思います。今日の講演で知ったのですが、ロコモという言葉を知っている人は1−2割程度の人だそうで、今後7割以上の人にロコモという疾患概念を十分理解してもらいたいと政府は考えているそうです。「知ってるよ」という人はもしかしたら、携帯電話の会社とか、ハワイの食べ物を想像しているのではないでしょうか?正解は、運動機能の低下を意味しています。

    昔は映画も洋楽も本来のタイトルとは別に日本語のタイトル(邦題)がついていました。英語のタイトルがわかりにくくても、邦題を聞くと心の奥深くまで響く、そんな効果があったと思います。

    シカゴの「素直になれなくて」という曲。英語のタイトルはHard to say I’m sorry ですが、邦題の方がピンときます。整形で流行りのロコモとかフレイルとかいう単語も、カタカナで流行らせようとするのではなく、日本語でみんなにわかる言葉を考えてほしいと思います。メタボ(リックシンドローム)という言葉がたまたま広く認知されたのをいいことに、整形疾患も便乗してカタカナで流行らせようとしている浅はかなことだと思います。メタボはたまたま流行っただけだと思って欲しいのです。日本では不思議と略語を使った方がカッコイイ(ツウっぽい)と感じるところがそもそもの間違いだと思います。

  • クレイ・セラピー

    連休はいかがお過ごしでしたか?いい天気でしたね。私は地域医療センター(医師会病院)の出動協力医として朝からお仕事でした。熱中症、胃腸炎、溶連菌感染症など朝8時から13時の交代の時間まで全く休みなしに診察でした。ロビーは座るところもないほどの混み合いです。しかし、この病院は医療体制が全くなっていません。驚くべき姿です。私が日ごろ自分のクリニックで診察するペースの半分も見られません。システムができていないからです。私の診察ブースで約五人待ちでしたが、それがなんと1時間待ちの状況だそうです。私としては全く忙しくないのですが、診察ブース担当ナースがどこか行ってしまって戻ってこない、検査に出すと結果が戻ってこない。レントゲンを撮るのに15分以上かかる、という感じです。国立病院機構熊本医療センター(名前は似ていますが)のように救急部担当のドクターをきちんと配属して体制づくりをしないといつまでたっても変わらないでしょう。

    と、愚痴を書きましたが、今日は仕事が終わってから玉名までちょっと行ってきました。相当久しぶりです。私はドライブが嫌いなので、休みも全く遠出をしません。歩いていける範囲を散歩するだけです。でも、数年ぶりに親戚の住む玉名まで行ってみると、空気もいいし懐かしいし、行って良かったです。玉名まで行ったのは、クレイ・セラピーに詳しい人が私に連絡をしてきて文献を読んで欲しいと言われたからです。クレイセラピーとはいわゆる泥パックのような施術でデトックスするものです。駅前にある喫茶店兼アロマ・クレイショップでしばらく話をして、Earthpaste(泥歯磨き)という名前のクレイセラピーグッズを買ってみました。磨き上がりの歯は本当に綺麗でスッキリです。他にも泥パック用品や入浴剤なども売ってありました。

    統合医学というのは西洋医学に固執せず、漢方、ヨガ、ハーブ、アロマなどなんでも効くものがあれば興味を持って勉強する学問です。クレイ・セラピーも統合医学の一つとして扱えるのではないかと思って、ちょっと勉強した1日でした。

    玉名温泉つかさの湯にて。たまたまフラのショーをやっていました。

  • 純粋に正しいだけでは楽しくない

    先日、ささえりあ尾ノ上の主催でまちづくりのシンポジウムに参加してきました。特別講演をされたのが、コミュニティーデザインを専門とする山﨑氏です。とても楽しい講演で、勉強になりました。健康で豊かなまちづくりをテーマに私たちが話し合うと、よくありがちなのが「公園を整備して健康体操をしよう」とかそう言った話になります。純粋に正しいことで、否定することは何もないのですが、山崎氏に言わせると、「かっこいい、面白い、楽しい、おしゃれ、気持ちいい」と言った感性に訴える内容でないと人は集まらないということでした。

    自治会の人や区役所の人たちがまちづくりを話し合っても、正しいことばかりでおしゃれなかっこいい方向へはなかなか話題が進みません。感性でなく、理性を優先するからだそうです。私たち医療関係者はどちらかというと理性で物事を説明します。減塩しましょう、禁煙しましょう、肉ばかり食べないで野菜を食べましょう、毎日運動しましょう、そんな感じです。わかっていてもできないからみんな病気になるのです。情報化社会ですから、みんな塩分のこともタバコの害も知っています。知っていても味が濃くて脂っこい食べ物が美味しいから食べてしまうし、タバコもやめられないのです。

    それでは、カッコよく、おしゃれに、楽しく、気持ちよくと言った感性に訴えかける健康運動はないでしょうか?万人向けではありませんが、漢方や鍼はおしゃれで楽しくかっこいいと思います。ヨガやアロマもそうです。何かいいな、私もやってみようかな、と感じてもらいながら結果的に健康につながればいいなと思いました。

  • 心不全の研究会

    夕方仕事が終わってから医師会の心臓検診班会議に出席し、そのまま心不全の研究会に参加しました。通常こういった心不全の研究会といえば、循環器内科のドクターが勢ぞろいするのですが、今日の会は心臓外科の先生も参加するジョイントのミーティングでした。

    講演の内容もさることながら、国立病院勤務時代の同僚の先生たちや、済生会の先生たちとお会いして懐かしく話しをする機会を得ることができて良かったです。こういった交流がいちばん病診連携として有用です。患者さんを頼んだり頼まれたりするのに、こういう会で直接会っておくと話がスムーズです。

    心不全とは、心臓のポンプとしての機能が低下して息切れしたり手足がむくんだりする病気です。心筋梗塞のように心臓の血管が詰まる病気から始まるものや、高血圧の治療をせずにほったらかしにしておくことで心機能が低下するものなどがあります。私がアメリカのテキサスに留学していた時に、病棟回診で聞かされていた心不全の原因の一つにシャーガス病という寄生虫の感染があります。メキシコのような亜熱帯に国境を接するテキサスでは必ず心不全の鑑別診断として上がっていたのですが、日本ではほとんど話題にもなりません。

    水前寺の「ろうきん」前にて