むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方の講演会

    金曜の夜に大学で漢方の講演会でした。私が演者で、精神科領域の漢方治療について話しました。

    精神科領域とはいえ、私が日頃見ているのは心療内科です。精神科ほどヘビーな患者さんでなくて、ストレスで体調を壊したとか、そのレベルの心の病です。それでも、西洋薬の抗うつ剤などを使った方が早く元気になります。そこで、大抵は精神科系の薬剤と漢方を併用します。併用することで、西洋薬がが効いてくるまでの繋ぎとして漢方の方が即効性があるとか、漢方薬は習慣性がないのでいつでもやめられるとか、いろんなメリットがあるのす。

    そこで、今回の講演では漢方を併用することで抗不安薬などを極力使わず、使っても少量でうまくいくという話をしました、やはり、抗不安薬などを処方される側になって考えると、少しでも少ない方が望ましいです。通常ですと、抗うつ剤などは徐々に増量することで効き目が出てくるのですが、漢方を併用することで西洋薬は少なめで効き目を発揮するという場合があります。

     

  • 漢方講演の準備

    1月下旬に熊本大学で漢方の講演を頼まれました。去年も同じセミナーで何度か講演をしたのですが、この半年くらいは自分のクリニックの開業に伴い、講演どころではありませんでした。なんとかひと段落ついたところで、今月のセミナーを引き受けることにしたのです。

    今回のテーマは「精神科領域の漢方治療」です。実際には私が見てるのは心療内科ですから、そう書くべきものだったかもしれません。「心と漢方」というテーマでもよかったかと思います。

    果たして漢方がいかに心に効くのか、これはなかなか面白いところです。私の得意とするのは精神科の病そのものではなく、ストレスなどが原因で起こった体の不調(食欲不振、全身倦怠、ふらつき、不眠、目のピクつきなど)の治療です。通常ですと、抗うつ剤や睡眠薬を使って治療するところですが、患者さんの中にはそう言った薬の使用を嫌がられる場合が結構あります。なんとか漢方で・・・と頼まれます。私もいろいろ努力するのですが、漢方だけではなかなか簡単には治りません。やはり、眠れないなら睡眠薬を使った方がどんなに簡単に治療できることでしょうか。しかし、漢方と西洋薬を併用することで、自然と西洋薬はいらなくなったり、ごく少量でよかったりということはしばしば見受けられます。漢方だけで症状がコントロールできるようになったら、あとは減薬から治療終了まではハードルが低いです。

    どうしても漢方だけで治したいというなら時間がかかります、早く治して楽になりたいなら西洋薬も少しだけ使いましょう、と言います。圧倒的にその方が経過が良いです。したがって、今度の漢方セミナーでも、漢方にこだわらずに西洋薬も併用する実際の姿を紹介しようと思っています。

     

  • お金の手わたし方

    日曜は朝から熊本市内で東洋医学会でした。当番制で九州各県持ち回りで開催されるのですが、今回はホストでした。学会の企画、準備、プログラムの印刷から発送、当日の受付、進行、司会などみんな手で分けして行いました。

    うちのクリニックからも医療事務の職員さんに受付を手伝ってもらいました。受付には大学の学生アルバイトも雇ったのですが、やはり日頃病院で受付をしているだけあって、プロは仕事が違います。お金を扱う仕事というのは、案外難しいものです。お金(参加費)を払っていただくには、「いくらです」というのをはっきり伝えないといけないし、いただいた金額を間違いないか確認しないといけないし、お釣りを確実に手渡す。いろんな質問に対して適切に答えるなども大事な仕事です。見ていると、学生バイトさんたちは真っ直ぐ立っているのもきつそうです。日ごろ勉強が忙しくてインナーマッスルを鍛えていないからでしょう。ダラーとして私語も多く、一から鍛えなおさないといけないという感じがするのですが、たった数時間の受付のバイトですから、鍛える暇もなく終わりです。

    もう一つ受付をしていて気がつくのは、参加費を支払う参加者側のお金の払い方にいろいろあることです。ポケットからくしゃくしゃに折り曲げた1万円冊を出す人、長財布からピシッとしたお札を出す人などいろいろいます。またお金を手渡す際も、ぽんと無造作に置く人、きちんと手渡す人などいます。私たちは店で売り手側の仕事をあまりしたことがないのでこういう場面でお金を受け取る体験をすることが少ないのですが、今回は本当に勉強になりました。やはり、お金というのは大事なものなので、綺麗に長財布に揃えて入れた方がいいと思います。男性の場合、二つ折り財布でもいいと思うのですが、中が整理されていないようだといけません。また、手渡す際に大切なお札をポンと無造作に渡すのは良くないですね。失礼とかそういうのではなくて、自分が受けるサービスに対する対価としてお支払いするお金ですから感謝の気持ちが必要ではないかと思います。それは、お金に対して「おかげで今日はいい勉強ができます」でもいいし、相手に対して「今日は勉強の機会を与えてくれてありがとう、ご苦労様です」という気持ちでもいいしどんな感謝でもいいと思うのです。誰でも自分の財布からお金が出て行くのは気持ちいいものではないと思うのですが、それが浪費になるか投資になるかは本人の気持ち一つだと思います。投資であれば、いつかそのお金が自分のところに帰ってきます。それも、最初に払った以上に増えて帰ってくるのです。

    しかし不思議なことにたいていの場合、浪費の時の方が瞬間的な喜びが大きいのでお金払いが気持ちよくできるのではないかと思います。たとえば、おいしい物を食べた時、好きな洋服やバックなどを買った時、嬉しくてその額を払うのはほとんど苦になりません。本当は投資の時こそ気持ちよく支払わないといけないなーと思ったのです。

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  • 古方と中医

    漢方の定例勉強会に参加しました。講師の先生は東京在住の中国らかきた中医学の先生です。季節柄、冷え症の治療、食養生、風邪の治療などを習いました。

    私はこの先生から習い始めてからすでに15年以上経っています。おそらく過去に何度も同じテーマで話していただいたことと思いますが、漢方があまりに奥深いことと、私たちドクターは医学部の医学教育では全く漢方を系統だって習っていないために、何度も同じことを聞かないと理解できないのです。

    しかし、今日改めてこのテーマでの話を聞いて、自分が今まさに冷え症や風邪の患者さんに処方している漢方薬は中医学の先生の話される内容に完全に一致していることが確認できました。面白いことに、日本の漢方は中医学とは別に日本古来の古方という流派が存在します。この流派は江戸時代に日本が鎖国していた時代に中国のもともとあった漢方医学が日本独自の解釈で発展し、今に伝えられているものです。富山の漢方や東京の慶應や女子医大などの漢方教室はこの流派です。一方、熊本はわりと中医学の人が多く存在します。

    古方と中医学のどちらが優れているかという議論はさておき、漢方外来での診察方法から処方に至るプロセスが全く違うので、とても興味あります。同じ漢方を専門とする仲間の間でも同じ土俵で話しができないくらい違うのです。実は来週熊本で東洋医学会があるのですが、こういう学会でも、古方と中医では全くと言っていいほど議論が噛み合いません。治療を受けられる患者さんには関係ないかもしれませんが、漢方を専門とする私たちの裏事情としてそんな世界があるということをご紹介しました。

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  • 漢方勉強会〜テーマは頭痛〜

    毎月定例で漢方の勉強会を開催している。私もその世話人の一人で、先月と今月は司会進行の当番だった。今回の講師は東京在住の中国の先生。熊本にはしょっちゅう来ていただいているので、気楽な関係。日本語は流暢で、なんでも教えてくれる。今回は頭痛をテーマに、中医学的な解説をしていただいた。

    西洋医学で頭痛と言えばバファリンとかロキソニンで飲めばとりあえず治るというものだが、片頭痛の人はなかなか簡単には治らないし、特効薬と言われている片頭痛薬は1錠が千円近くするため、あまり気軽に飲むことができない。一方、漢方ではその人の体質に合わせて10種類以上の処方の中から最も合っているものを選んで使う。したがって、同じような頭痛でも、自分に合う薬が必ずしも他人の頭痛に効くとは限らない。その辺が漢方独特で面白いし、深みがある。

    なかでも厄介なのは、薬物乱用性頭痛という疾患だ。薬物乱用と聞くと覚せい剤や麻薬のようなものを思い浮かべるが、この頭痛は頭痛薬(鎮痛剤)の飲み過ぎで起こる病気だ。つまり、頭が痛いから頭痛薬を飲む。飲めばしばらくいいが、その頭痛薬のせいで次の頭痛が誘発される。また頭が痛むから頭痛薬を飲む、の悪循環が始まり、どうしても断ち切れなくなり、薬物乱用に陥るのだ。これを直すには頭痛薬を絶たないといけないのだが、それは辛いこと。頭が痛いのをなんとか我慢させて痛み止めを使わないでいると、やっと悪循環から抜け出せるというものだ。しかし、それほど意志の強い人はなかなかいない。

    そこで漢方の出番だ。漢方で頭痛の起こりやすい体質を治療すると、次第に頭痛の回数が減ってくるので、自ずと頭痛薬を飲む回数も減る。その結果、薬物乱用性頭痛からも苦労せずに自然と離脱できるよいうものだ。僕の外来でもこのような漢方薬併用でうまく行った患者さんは何人もいるので、今では自信を持って漢方を使うことで頭痛薬から離脱へと導いている。頭痛に困っている人は是非ご相談ください。(クリニックはH28年9月1日オープンですので、お急ぎならメールをください murakaminaika096@gmail.com)

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