むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 東洋医学会熊本県部会

    日本東洋医学会熊本県部会という勉強会が年に一度あります。今年から私が会の会長を引き継いだ関係から、日程の決定、講演して頂く先生の交渉など色々とありましたが、本日無事に会が開催されました。今回は熊本赤十字病院の徳永先生、加島先生ならびに福岡の三宅先生に講演をお願いしました。みんな日本漢方(古方)でなく中医学が専門の先生方です。古方は理論よりも経験的な治療を重視し、中医学は理論(理屈)を重視した傾向にあります。勉強するには中医がわかりやすいですが、臨床をするには日本の古方も大変参考になります。私も中医学をメインでやっていますが、1−2割は古方の考え方を取り入れています。

    今回、特別講演をいただいた三宅先生からは、皮膚科疾患の漢方治療について教えていただきました。漢方薬の理論もさることながら、生活習慣、食習慣を正すことがいかに大切かという講演でした。甘いものやアイスクリームのような冷たいものばかり食べてアトピーなど難治性皮膚疾患になっている人はまず食事を治しましょう。また、ストレスなどで症状が悪化している場合、睡眠をしっかりとりましょう。そういうお話でした。

    特に女性の睡眠不足は深刻です。遅く帰宅するご主人を待って起きていて、ご主人に晩御飯を温め、お風呂の世話をして、後片付けして、とやっていると、必然的に睡眠不足になります。子育て中のママも同様です。睡眠が足りないと、自然とホルモンバランスもおかしくなり、疲労も蓄積して気がついたら相当体調が悪くなってしまうとのこと。睡眠はおろそかにできません。

  • 勉強の秋

    秋は読書、勉強、運動、食欲、何をするにもいい季節ですね。今日は仕事が終わってすぐに勉強会に参加しました。糖尿病を専門としている医師の集まりです。持ち回りで自分の興味あるテーマについて講演します。前回の勉強会では私が当番で講演しました。今回は玉名で開業している東先生の講演でした。彼は膨大な外来患者数を抱えており、その中から薬の使用経験を細かく分析して発表されたのは、とても参考になりました。やはり薬の情報は製薬会社がいいデータを持ってくるより、開業仲間が自分の使った感想を包み隠さず話してくれるのが一番説得力あります。

    明日は熊本の産婦人科医の集まりで漢方を勉強している会があり、私が講演を頼まれています。私のクリニックでは、だいたい7割が女性なので、日頃の治療経験から「女性の心と体の悩みを漢方で治す」をテーマにお話しする予定です。

    私は、時間の取れる限りこういった講演会に参加するようにしています。1時間の講演を聞いて、これはすごいことを聞いた、得した、と思うことが1つでもあればラッキーです。その一つのヒントから、自分なりに新しい治療法を思いついたり、薬の使い方が上達したりします。文章にすればほんの1行に満たないちょっとしたノウハウがすごく重要なのですが、それを聞き逃さず自分のものにできるかどうかはこちらの学ぼうとする姿勢一つです。

  • 中医学会二日目参加

    昨日に引き続き、中医学会に参加しました。熊本で皮膚科で漢方治療を実践されている牧野先生による講演や、体の歪みを操体法というセルフ整体のような方法で治療する久光先生の講演がありました。それぞれ、その道数十年の経験から貴重な講演をいただきました。私たち医者を大きく二つに分ければ、大学をはじめとする教育者と実地でひたすら臨床に携わる臨床家に分けられると思います。たいていの講演会では大学教授をはじめとする教育者の講演ですが、今日の講演のお二人はどちらも臨床家です。朝から整理券をもらっても診察は夕方というレベルの混み合いです。こういう経験に基づくお話をいただけたのは大変貴重であり、私たち臨床家にとってすぐに役立つアイディアに溢れていました。

    一方、中国、香港、台湾などからの参加者も多数いて、講演も中国語(通訳付き)というのが多数ありました。こう考えると、やはりこれから日本で国際交流をするには英語だけでなく中国語を勉強しないといけないな、と思います。政治や思想的には近隣諸国とは色々ありますが、学問の世界の国境はありません。言葉がに壁があると情報が入ってきませんから、まずコミュニケーションだと思います。

    今後日本の人口は激減します。国力を維持するには外国人に入ってきてもらうしかありません。とりわけ医療、介護の分野はロボット化できません。マンパワーが全てです。それを見越せば、私たちにとっては中国語が必須の時代がすぐそこのように思います。

  • 中医学会

    漢方を専門とする人の大半は日本漢方が専門です。その学会は日本東洋医学会と言います。私も入っています。一方、中国医学は日本漢方とは別の流派として存在しており、日本中医学会という学会があります。今日はその中医学会の全国大会が熊本で開催されました。台風直撃が危ぶまれましたが、奇跡的に雨は降らず、無事に初日が終了しました。

    実は私は漢方を勉強し始めた25年くらい前についた師匠が中医学が得意だったので、ずっと中医をベースに勉強してきました。今日の学会ではその当時の師匠もご健在で、さらに東京などの重鎮の先生方も熊本に来られていました。みんな20年来のお付き合いですが、10年ぶりくらいにお会いしました。私は開業する前は大きな病院で透析担当医だったので、全く休みがなく遠方の学会には滅多に行けませんでした。そして、開業してみると、さらにいそがしく、専門医を更新するのも困難なくらい熊本から出ることは不可能となってしまいました。そんな中、学会が熊本で開催されるのは本当にラッキーでした。

    懇親会でお隣におられた方にご挨拶したら、なんと私が鍼治療の座右の本にしている藤本蓮風氏のご子息でした。この先生も雑誌で見たことのある超有名人です。ラッキーにもお会いできてうれしかったです。こういう超有名人と交流できるのが座学と違って学会参加の醍醐味ですね。

  • 学研といえば

    学研といえば、私の世代では「学研の科学」です。子供向けの科学雑誌がとても人気でした。それ以外にも、参考書などたくさんお世話になったと思います。ところが、最近の学研といえば、高齢者施設です。「学研ココファン」というブランドで全国に展開しています。私のクリニックのすぐ近くにはココファン小峯という施設があり、定期的に訪問診療や往診をしています。この度、熊本市内のココファンが2つ増えました。新町と西原(にしばる)です。西原は当院と同じ東区にあり、スタッフさんたちが小峯から西原の立ち上げに異動されたので当院も今後ココファン西原とも連携をとって往診することになりました。

    この土日は内覧会だったので、見学に行ってきました。西原は市内でもちょっとした小高い丘になっており、とても見晴らしの良い場所にあります。うちの子が10年くらい前に通っていた英会話スクール(兼幼稚園)のピカソが窓から見えました。当院から訪問診療しているのは桜十字病院の施設「ホスピタルメント」と「学研ココファン」ですが、この二つの最も違う点は自由度です。ココファンは買い物などの外出が自由にできますが、ホスピタルメントは厳重に管理されています。どちらがいいかは、ご家族の意向次第です。

    歳をとってからどんな生活をするかは大問題です。自宅で可能な限り過ごすというのは理想です。それができなくなった時、どうするかというのはなかなかわかりません。ただ、高齢独居は厳しいものがあります。ココファンのような施設はそういう場合、役に立つ施設だと思います。

    桜十字病院内にて