むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 糖尿病カンファレンス

    私たち内科クリニックで糖尿病をたくさん見ているドクターの定期的な勉強会があります。私も数年前からこのグループで勉強しています。参加者持ち回りで自分の研究テーマなどを発表します。今日は私が発表の当番だったため、糖尿病で起こってくる心の病を治す、というテーマで講演をしました。

    厚労省のホームページによると糖尿病ではうつ状態になっている患者さんが30%にものぼるそうです。しかし、糖尿病を専門とする先生たちは多忙のため、なかなか心の問題をゆっくりと話を聞いている暇がありません。その結果、その症状は治せないとか、難しいといった話で終わりになっている場合が多いようです。

    そこで本日私の講演では、こういった心因性の訴えをいかに診療するかについてのポイントをお話ししました。参加者はみんな積極的に質問してきて興味深く聞いてもらったようです。一人でも多くの患者さんに心の病も治療してもらって快適に過ごしてもらえればと思い、いろんな診察・治療のノウハウを披露しました。すぐにではなくとも、きっと患者さんのお役にたつことと思います。

  • 熊本漢方談話会

    熊本漢方談話会という勉強会が年に2回あるのですが、私はその世話人です。昨夜は大分の織部先生に講演していただきました。織部先生は漢方会の重鎮で、お話しするのも非常に緊張します。講演内容は素晴らしく、一言一言が示唆に富むお話でした。漢方には古方(日本の流派)と、中医学(中国の最近の漢方理論)とがありますが、多くの漢方の重鎮の先生たちが古方派であるのに対し、織部先生は中医学的な理論にも大変詳しく、さらに古典もたくさん読んでおられて知識の幅広さといったら日本でも一番ではないかと思います。見習いたいものです。

    漢方の勉強は一生続きますが、講演する先生方も幾つになっても衰えることはありません。西洋医学と違って、大学での研究でなくても最先端をいけるからです。古典を読んで解釈したり、診療を通して新しい治療のコツをつかんだりしては後進の指導をします。年取ったぶん経験値が増えますから、私たちがこういった優れた先輩医に追いつくのは容易ではありません。常に勉強して、臨床を重ねて、立ち止まらないことです。それしかありません。

    このように西洋医学と違い、漢方には勉強に終わりがありませんし、大学のような定年もありませんから、自分の健康が続く限り続けることができます。みなさん漢方家は健康に対してはプロですから長生きされます私も見習いたいと思いました。

    パレアのロビーにて

  • 東洋医学研究会

    昨日は、夏風邪に葛根湯を使わないと書きましたが、その日の外来でインフルエンザがでました。気温が高いのにさむけが強いと言います。こんな時は葛根湯や麻黄湯で体を温めます。温まると汗が出て、熱が下がるのです。結局、書いたその日に麻黄湯を処方することになりました。やはり、例外というのはどこにでもあるものです。

    さて、今日は熊本大学の東洋医学研究会というサークルの新入生歓迎コンパでした。このサークルは20年ほど前に私が熊本大学に作ったので、今はご意見番のように新歓コンパや追い出しコンパに招待されます。医学部の学生さんたちは現役一年生なら18、9歳です。自分の子供と同じ年頃です。一方、6年生は24、5歳です。このくらいになると随分貫禄が出てきます。1年生にとって4年生以上の先輩とは口を聞くのも緊張するものでした。しかし、今の世代は随分違います。みんな和気藹々としています。私が学生だった頃は先輩から飲めない焼酎を飲まされることは日常茶飯でしたが、今はみんな自分のペースでウーロン茶やカルアミルクのようなドリンクを飲んでいます。時代は変わりました。

    この学生さんたちも、卒業してすぐに漢方使うことはありません。今は研修医制度が厳しく、大学や救急病院などをローテーションで回りながらノルマを果たさないと研修を終えられません。その間はほとんど漢方に接することはないと思います。しかし、願わくは学生時代にこういうサークルで勉強した漢方を生かした臨床をしてもらいたものです。西洋医学は言うなれば左手です。右手の漢方が使えると臨床の幅は2倍以上に広がるのです。

    うちの玄関に咲いたクレマチス。もう今年の花は終わりましたがすごく綺麗でした。

  • アロマセラピー

    統合医療学会に行ってきました。今回のテーマはアロマでした。アロマは知っているし、自分でも精油をいくつか持っていて、適当に楽しんでいましたが、学問としてのアロマは全然知りませんでした。医学としてアロマを研究しているアロマセラピー学会や専門誌などもあるそうです。

    そういう中で、興味を持ったのが、嗅覚異常は認知症の早期発見につながるという話です。鼻にある匂いを感じる神経は脳に直結しています。なかでも嗅覚は最も原始的な感覚で、食べられるものかどうか、いいものか悪いものかというのを嗅ぎ分けることが太古から必要とされていたものです。記憶に関与する海馬という脳と密接に関わっているそうです。そこで、アルツハイマーなど脳の海馬が萎縮する病気は同時に嗅覚低下とも関連しているそうなのです。面白いのは、そういう脳の障害を嗅覚刺激で治療できるという話です。

    精神科ではモノアミン仮説というのがあり、脳の中のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが不安、やる気、満足などと関連していると考えられていますが、アロマの香り刺激でドーパミンを増やすもの、セロトニンを増やすもの、といったデータがあるそうです。そうすると、香りを選ぶことで不安ややる気の治療ができるわけです。認知機能もラベンダーやティーツリーの香りで改善するというデータでした。面白かったので、もう少し勉強してみようかと思います。

    桜十字病院の駐車場にある薬局です。

  • ランナーの健康相談

    開業の準備を始めた頃から週末も全くないくらい忙しく、ずっと熊本から離れられなかったのですが、約1年ぶりくらいに東京に行ってきました。

    土日にわたりみっちりと研究会に参加で遊ぶ暇はなかったのですが、ちょっとした息抜きになりました。皇居の近くを通りかかりましたが、ものすごい人数が走っていてびっくりしました。確か東京マラソンがあと2週間くらいなので、みんなそれに備えているのでしょう。それにしてもランニング人口の増加には驚かされます。熊本城マラソンも来週となりましたね。

    この5年くらいで全国にシティーマラソン大会がどんどん増えて競技に参加する人数も増えてきました。今まで全く走ったことがない人たちもちょっとずつ走る距離を伸ばしてついにはフルマラソンに出場できるようになるのです。

    私も走り始めて5年くらい経ちますが、途中膝や腰など痛めたりもしました。そのつど、自分の足をいかに治すか、指圧や鍼(はり)、整体などの技術をあれこれ試して自力で治してきました。本当は故障しないようにランニングフォームを正したり、靴を自分の足のくせにあったものにするとか、するべきことは山のようにあります。また、熱心に走りすぎて貧血になることがあります。足で血球を踏み潰して破砕してしまう貧血です。それ以外にも、大量の汗からミネラルなどの栄養を失う場合もあります。そういったランナーの皆さんのコンディションの相談もお受けします。鍼治療や電気治療、指圧、整体、貧血の検査、鉄剤や漢方薬の処方など複合的なサポートを行います。今度熊本城マラソンに出るという人も、出場前に体調の相談などありましたらお早めにどうぞ。

    こんなに早く咲く桜もあるのでしょうか?