むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 天気予報に違和感を感じる

    今に始まったことではなく、ずっと昔から思っていたことを書こうかと思います。天気予報で、台風の予想進路などを見ていると、今回の台風1号のように台湾の方へ行ってしまうものがあります。日本にすると、やれやれといったところですが、台湾の人にとってはまともに直撃ですから、大ニュースです。それなのに、全く何事もなかったかのように、あるいは「恐れは去った」とでも言わんばかりに台風情報は消え去ります。日本の領土を出てしまえばニュースにならないのでしょうか?

    今回は900ミリヘクトパスカルという非常に強い台風だったため、日本領土内でなくても、台湾でどんな被害だったかを知ることは、私たちの今後の備えに役立つはずです。それが、よほどの大惨事にでもならない限り、もうニュースや天気予報で扱われないというのは、おかしいと思うのです。

    テロ事件にしろ、飛行機事故にしろ、日本人に被害がなかったという決まり文句で他人事のように済ます風潮、これがいけません。なぜこうなったかを考えると、日本に住む人が極めて単一民族で純粋な日本人が圧倒的に多いからだと思います。これがアメリカだと、親や祖父の時代はアメリカ以外に住んでいたという人が多い多民族国家です。そうすると、自国だけでなく、あらゆる国の出来事に一定の人が関心を持つということになります。日本も、最近では韓国人や中国人がたくさん住んでいます。彼らにも市民権はあるのですから、祖国のニュースをもう少し丁寧に扱ってあげてはどうかと思います。

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  • 珍しく晴れた七夕

    七夕は滅多に晴れない。梅雨明け前のことが多いから仕方がない。今年は珍しく晴れたが、梅雨明けとはまだ発表になっていないようだ。そもそも、星のお祭りがなぜ梅雨の真っただ中にあるのか、その答えは簡単だ。

    そう、旧暦の七夕が、本来あるべき日なので、正しい七夕はお盆の頃にあるはずなのだ。それなら、夜空を見上げて星を眺めたりするだろう。東北の方では旧暦に七夕まつりをやっているので、それが正しいのだ。

    ロシアからは宇宙船ソユーズに日本人パイロットが乗って宇宙ステーションへと打ち上げられた。うまくいっているようだ。以前はアメリカのスペースシャトルが頻繁に打ち上げられていたが、いつの間にか、予算不足か何かの理由で中止され、今ではロシアだけがコンスタントに有人ロケットを打ち上げている。昔言われていたのは、スペースシャトルは設計図を積み上げると月に届くくらいの分量がある。一方ソユーズは町工場のおじさんがトンカチでロケットをコツコツ作っている、らしい。結局、ロシアが低コストでかつ実績もアメリカに勝ったわけだ。

    今の医学もアメリカ方式で、科学的事実に基づいた医学(EBM)というのが推奨されている。科学的事実とは大規模臨床試験で統計的に優れた治療法であることを証明しないといけないわけで、漢方薬のように2000年の歴史があるからといってもそれは統計学的手法を用いていないからと、非科学的のような扱いを受ける。僕が思うに、西洋医学はまだ若すぎる。せいぜい200年くらいの歴史しかない。漢方の10分の1だ。漢方の有効性なんか今更証明するまでもないくらい歴史的に確かめられている。きっとロシアのソユーズのように、気がついたらアメリカのEBM的医学はすたれてしまい、結局漢方が勝つだろう。だいたい、西洋医学は発展すればするほどお金がかかる。財政破綻の原因の一つにもなっている。

    そうはいっても時代はEBM一辺倒なので、しばらくは静観しておこうと思う。

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  • 飲んでいる薬が多すぎませんか

    誰しも、年をとると血圧が上がったり、夜眠れなかったり、何らかの理由で薬を常用していることと思います。採血の検査をすると、コレステロール、尿酸、肝機能など、多少ひっかかることもあると思います。そのたびに、薬を増やしていくと、気がつけば10剤以上となり、薬を飲むだけでおなかが一杯、ということにもなりかねません。薬を飲むときには水も飲みますから、そのせいでおしっこが近くなったり、足がむくんだりすることもあります。

    このような状況は、どこにでも起こりえます。これには、処方する医師にも責任があります。現在の医療のレベルでは、2剤の組合せの有効性を検討する研究がやっとできてきたくらいの状況ですので、3剤以上の薬が体の中でどう効いているかは、科学的データなど全くない状態なのです。薬に依存することを考え直す必要があります。

    ひとつ例を上げると、ある80歳を超えた女性が20種類を超える処方をもらっていました。血圧、コレステロール、認知症の薬、頻尿治療薬、便秘薬等などです。私はこの中から、この患者さんにどうしても必要な便秘薬と睡眠薬を1つだけ残して、あとは全部やめてもらいました。すると、今までいろいろあった症状が全部良くなって、すっかり元気になられました。薬のせいで体調を悪くし、その体調不良を別の薬で治そうとするからこういうことになるのです。

    治療は薬の足し算だけではうまくいきません。しかし、引き算(薬を減らすこと)は慎重にしないと状態が悪化してしまいます。これは思った以上に難しいことです。他の人にはいらない薬でも、自分にとっては絶対にやめてはいけない場合もあります。自分で勝手に判断せず、なんでも相談できるかかりつけ医に相談をされることをお勧めします。また、薬の専門家である調剤薬局の薬剤師さんも相談に乗ってくれると思います。

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  • お疲れモード

    自宅の屋根が壊れていることに今頃気がついた。気がついたのは、先日の大雨で雨漏りしたからだ。建築やさんに頼んで屋根を見てもらったら、ガルバニウムで貼った屋根の一部が地震で曲がって隙間が空いてしまったらしい。瓦は相当品薄でこの先1年は入荷しないらしいが、ガルバニウムは板金工事なので、材料には困らない。見積もりをもらったが、屋根修理代より、足場を組む値段の方が高かった。

    こんな修理でも、念のため修理する前に区役所に罹災証明を取りに行った。一部損壊は写真判定で即日交付される。半壊以上は家屋調査が必要らしい。昼の1時ごろ区役所に行ったらすでに駐車場は車でいっぱい。やっとの事で駐車スペースを探し当てて、建物に入ったら、ロビーの椅子全体が罹災証明を待つ人でいっぱいだ。新潟と書いた応援スタッフが座る位置を誘導してくれた。ただ、要領が悪くてスタッフの人たちは右往左往している。

    証明書発行窓口は長つくえにパソコンが何台も並んで相当の人数で対応しているので、ロビーいっぱい待っている人がいた割には20−30分くらいで順番が来た。担当してくれた人も含めて、見渡す限り市の職員さんたちは疲労困憊しており、簡単な住所氏名などの確認さえもえらく時間がかかるし、どう見ても頭が回っていないのがわかる。腹が立つというより、かわいそうで仕方ない。この人たちも、全く休みなくこんな作業に朝から晩まで追われているんだと思うと、同情してしまう。

    7月に入り、仮設住宅の入居も始まり、復興は新たな段階に入った。しかし、市の職員さんたちにはそういった区切りもなく、延々と続く仕事の山。休ませてあげないと、ストレス障害でみんな病気になりそうだった。

    僕の外来にも、今頃になって疲れがどっと出たという患者さんが来る。大抵は漢方治療するが、みんな大変な思いをしているようで、なんとか力になってあげたいものだ。

     

  • 患者さんとの別れは辛い

    現在、クリニックの開業準備中だが、今月いっぱいは桜十字病院の勤務がある。7月末で退職するため、残りは1ヶ月を切った。今外来に通ってきている患者さんが次に薬を取りに来るのはだいたい4週間後になるのでその時は僕はもう桜十字にはいない。

    そんなわけで、外来の患者さんには一人一人次回の外来担当医が変わるあいさつをし、名残を惜しむ。中にはそんな・・・と絶句し、涙を流される人もいる。こちらも、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。できることなら、この患者さんたちを一生面倒見てあげたかった。患者さんは自分の家族と同じ気持ちで接する、というのは新しいクリニックでも理念として掲げているが、当然桜十字の外来でもそういう気持ちで働いてきたので、一人一人との別れは寂しい。たいていの人は顔パスに近いくらい顔なじみ。病歴もずっと前のことから知っているから、いちいち説明しなくてもわかっているという安心感がある。いつ病院に来てもほとんど僕がいて、内科だけでなく、皮膚科でも泌尿器科でもちょっとしたことならなんでも対応する、そんな便利な存在だった。しかし来月からは、曜日で外来担当医が変わるし、それぞれが呼吸器、消化器、循環器と専門別になり、専門以外は見ない体制になる。大病院はかかりつけでなく、専門科に専念する、というのは国の施策なので仕方ない。

    そうすると、お年寄りは一つの科の外来で済むような場合は少ないので、幾つもの病院(診療科)を回らないとけないことになる。診療科を幾つも回ると時間がかかるだけでなく、無駄な検査も投薬も増え、検査漬け、薬漬けの状態となってしまう。かかりつけ医がいなくなってしまうのはこんな不都合があるので、本当に皆さんには申し訳なく思っている。しかし、僕の新しいクリニックは桜十字から車で片道30分はかかるので、高齢者には病院を変わるのは難しい。

    そんなわけで、一人ずつ挨拶を交わし、カルテには申し送りのサマリーを書き残し、1日で50名近い外来を終えると、さすがにどっと疲れが出る。

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