むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 飲んでいる薬が多すぎませんか

    誰しも、年をとると血圧が上がったり、夜眠れなかったり、何らかの理由で薬を常用していることと思います。採血の検査をすると、コレステロール、尿酸、肝機能など、多少ひっかかることもあると思います。そのたびに、薬を増やしていくと、気がつけば10剤以上となり、薬を飲むだけでおなかが一杯、ということにもなりかねません。薬を飲むときには水も飲みますから、そのせいでおしっこが近くなったり、足がむくんだりすることもあります。

    このような状況は、どこにでも起こりえます。これには、処方する医師にも責任があります。現在の医療のレベルでは、2剤の組合せの有効性を検討する研究がやっとできてきたくらいの状況ですので、3剤以上の薬が体の中でどう効いているかは、科学的データなど全くない状態なのです。薬に依存することを考え直す必要があります。

    ひとつ例を上げると、ある80歳を超えた女性が20種類を超える処方をもらっていました。血圧、コレステロール、認知症の薬、頻尿治療薬、便秘薬等などです。私はこの中から、この患者さんにどうしても必要な便秘薬と睡眠薬を1つだけ残して、あとは全部やめてもらいました。すると、今までいろいろあった症状が全部良くなって、すっかり元気になられました。薬のせいで体調を悪くし、その体調不良を別の薬で治そうとするからこういうことになるのです。

    治療は薬の足し算だけではうまくいきません。しかし、引き算(薬を減らすこと)は慎重にしないと状態が悪化してしまいます。これは思った以上に難しいことです。他の人にはいらない薬でも、自分にとっては絶対にやめてはいけない場合もあります。自分で勝手に判断せず、なんでも相談できるかかりつけ医に相談をされることをお勧めします。また、薬の専門家である調剤薬局の薬剤師さんも相談に乗ってくれると思います。

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  • お疲れモード

    自宅の屋根が壊れていることに今頃気がついた。気がついたのは、先日の大雨で雨漏りしたからだ。建築やさんに頼んで屋根を見てもらったら、ガルバニウムで貼った屋根の一部が地震で曲がって隙間が空いてしまったらしい。瓦は相当品薄でこの先1年は入荷しないらしいが、ガルバニウムは板金工事なので、材料には困らない。見積もりをもらったが、屋根修理代より、足場を組む値段の方が高かった。

    こんな修理でも、念のため修理する前に区役所に罹災証明を取りに行った。一部損壊は写真判定で即日交付される。半壊以上は家屋調査が必要らしい。昼の1時ごろ区役所に行ったらすでに駐車場は車でいっぱい。やっとの事で駐車スペースを探し当てて、建物に入ったら、ロビーの椅子全体が罹災証明を待つ人でいっぱいだ。新潟と書いた応援スタッフが座る位置を誘導してくれた。ただ、要領が悪くてスタッフの人たちは右往左往している。

    証明書発行窓口は長つくえにパソコンが何台も並んで相当の人数で対応しているので、ロビーいっぱい待っている人がいた割には20−30分くらいで順番が来た。担当してくれた人も含めて、見渡す限り市の職員さんたちは疲労困憊しており、簡単な住所氏名などの確認さえもえらく時間がかかるし、どう見ても頭が回っていないのがわかる。腹が立つというより、かわいそうで仕方ない。この人たちも、全く休みなくこんな作業に朝から晩まで追われているんだと思うと、同情してしまう。

    7月に入り、仮設住宅の入居も始まり、復興は新たな段階に入った。しかし、市の職員さんたちにはそういった区切りもなく、延々と続く仕事の山。休ませてあげないと、ストレス障害でみんな病気になりそうだった。

    僕の外来にも、今頃になって疲れがどっと出たという患者さんが来る。大抵は漢方治療するが、みんな大変な思いをしているようで、なんとか力になってあげたいものだ。

     

  • 患者さんとの別れは辛い

    現在、クリニックの開業準備中だが、今月いっぱいは桜十字病院の勤務がある。7月末で退職するため、残りは1ヶ月を切った。今外来に通ってきている患者さんが次に薬を取りに来るのはだいたい4週間後になるのでその時は僕はもう桜十字にはいない。

    そんなわけで、外来の患者さんには一人一人次回の外来担当医が変わるあいさつをし、名残を惜しむ。中にはそんな・・・と絶句し、涙を流される人もいる。こちらも、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。できることなら、この患者さんたちを一生面倒見てあげたかった。患者さんは自分の家族と同じ気持ちで接する、というのは新しいクリニックでも理念として掲げているが、当然桜十字の外来でもそういう気持ちで働いてきたので、一人一人との別れは寂しい。たいていの人は顔パスに近いくらい顔なじみ。病歴もずっと前のことから知っているから、いちいち説明しなくてもわかっているという安心感がある。いつ病院に来てもほとんど僕がいて、内科だけでなく、皮膚科でも泌尿器科でもちょっとしたことならなんでも対応する、そんな便利な存在だった。しかし来月からは、曜日で外来担当医が変わるし、それぞれが呼吸器、消化器、循環器と専門別になり、専門以外は見ない体制になる。大病院はかかりつけでなく、専門科に専念する、というのは国の施策なので仕方ない。

    そうすると、お年寄りは一つの科の外来で済むような場合は少ないので、幾つもの病院(診療科)を回らないとけないことになる。診療科を幾つも回ると時間がかかるだけでなく、無駄な検査も投薬も増え、検査漬け、薬漬けの状態となってしまう。かかりつけ医がいなくなってしまうのはこんな不都合があるので、本当に皆さんには申し訳なく思っている。しかし、僕の新しいクリニックは桜十字から車で片道30分はかかるので、高齢者には病院を変わるのは難しい。

    そんなわけで、一人ずつ挨拶を交わし、カルテには申し送りのサマリーを書き残し、1日で50名近い外来を終えると、さすがにどっと疲れが出る。

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  • 安全にかかる費用

    車の進歩は素晴らしいですね。あっという間に自動ブレーキは普及してきました。

    高齢化した世の中で車は必需品です。特に田舎ほど公共交通機関が発達していないので、車がないと生活できません。そういう中、お年寄りのアクセルとブレーキの踏み間違えの事故というのが多発しています。この類の事故に対して自動ブレーキはとても役に立ちます。年々進化して、レーダーやカメラなどを組み合わせて精度を高めています。実はこの技術はかなり前から日本のメーカーでできていたそうなのですが、国土交通省(前は運輸省)が規制していたため市販されてこなかったとのことです。そうこうしているうちに、スウェーデンのボルボが標準装備で自動ブレーキをつけてきて、やっと日本でも認可され、その後スバルその他の日本のメーカーでも一気に市販車に搭載してきたという話です。

    スバルのデータではアイサイト(スバルの自動ブレーキシステム)を搭載した車は搭載しなかった車と比較して6割も事故が少なかったとのことです。素晴らしい!

    問題は、日本社の自動ブレーキシステムはほとんどがオプションである点です。こんな素晴らしい仕組みをオプションにするなんて、モラルが疑われます。標準装備にして当然だと思います。それでどれだけの人が助かるか、計り知れません。それに対して外国車の場合はかなり進んで標準装備になりつつあります。こういった点でも日本は遅れています。せっかく技術があっても、お金がない貧乏な日本は完全に世界から遅れています。もう一つの問題は、せっかく自動ブレーキが作動しても、ブレーキの性能が悪くて止まりきれないことがあります。特に軽自動車です。レクサスのような高級車は車重が重くて止まりにくいはずなのに、ぶつかる前に止まります。ところが、軽自動車は車重が軽いにもかかわらず止まれないことが多いのです。ブレーキの性能をもっと上げるべきです。ここにはお金をケチってはいけません。実証実験はYouTubeで見られます。

    だいたい、安全装置というのはお金がかかるのです。耳かきだって、血圧計だって、医療用という名のついたものは市販品よりはるかに高いのです。それは、精度が良いだけでなく、安全面で考慮されているための値段です。安全にはお金がかかる、と最初から考えておけばなんでもないのに、せこい考えで事故になっては元も子もありません。

    僕も、次に車を買う時には絶対に自動ブレーキのついた車にしようと思っています。

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  • 職員は家族同様

    現在、9月1日のオープンに向けて着々と職員採用のための面接を行っています。医療・介護職はどこも人手不足でなかなか求人を出しても集まらないのが現状ですが、幸いなことに当院の求人に多くの方から応募をいただいています。みなさん素晴らしい方ばかりなので、書類を見ても甲乙つけがたくうれしい悲鳴をあげています。しかし、開業当初の患者さんの来院人数はあまり期待してはいけないので、職員の数もそれに見合った数でないと、患者さんより看護師さんの方が多かった、という事態になりかねません。そこで、どうしても応募いただいた方の中から数人だけを選ばないといけません。少数精鋭でのオープニングですから、即戦力が求められます。しかし、仕事ができても、患者さんを大切にできないような性格の人では困ります。その見極めは、短時間の面接を行っても、なかなか判断は難しいものです。

    できるだけクリニックと同じエリアに住んで、来院いただく患者さんとも近しい人で心から患者さんのためになりたいと思うような人に来ていただきたいと思います。また、私が得意とする東洋医学と西洋医学のハイブリッド治療に共感いただける人、興味を持って勉強できる人を望みます。

    採用となった方には、このホームページのトップ画面上段にある「ごあいさつ」という私の文章で、クリニックの理念を掲げていますので、そこをしっかり理解していただきたいと思います。患者さんは自分の家族と思って接していただきたいと思います。

    一方、私は、当クリニックの職員として働いてくれる皆さんには心から感謝し、皆さんを私の家族同様に大切にしたいと思います。職員の皆さんにも家庭があるでしょうから、その家庭の人も皆私の家族と思っています。よく給料の明細を見ると、基本給を抑えて、手当がいろいろ付いてやっと人並みの給料、ということがありますが、私のクリニックでは、可能な限り基本給をしっかりつけて、わかりにくい手当をあまり使わないようにしたいと思います。それは、職員の皆さんにとっては、いいことなのです。ボーナスは基本給の何倍という支払いになるので、手当てより基本給の額が大切となるのです。一緒に働いてくれる皆さんには、私も頑張って給料を払いたいと思っています。ただ、実績が伴わないと支払うものがありませんので、お互い気持ちを一つにして、患者さんの健康と幸せのために邁進してくれることを期待します。患者さんが当院に通って幸せとなり、当院の職員も幸せになることが私の幸せになるのです。

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    写真は昨日提示した博多祇園山笠の山車飾りの反対側です。