むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 年賀状

    御用納めで、今年の仕事がひと段落しました。この5年間はずっと透析の担当だったため正月もなく勤務していましたが、今年は久しぶりに30日から休みです。

    さて、年賀状を書こうと思い年賀状ソフトを立ち上げてみたのですが、プリンターとの相性が悪くて印刷できません。仕方ないので、パソコンの画面で住所録を開いてそれを見ながら全部手書きしました。我ながら、日頃パソコンばかり使っているので字が下手で、しかも漢字の正しい書き方がわからないので崩した字になってしまいます。お恥ずかしい。

    今は、LINEやフェースブックという便利なツール(SNS)がありますから、年賀状なんか必要ないと思っているのですが、SNSで繋がっていない大切な人もたくさんいるので、書かざるをえないです。SNSで繋がっている人にはお互いの近況は聞かなくてもわかっていますから、年賀状は必要ないですね。これからもますますSNSでの繋がりが一般化して、旧態然とした年賀状はいらなくなって欲しいと願うばかりです。

    というのも、年賀状を書いている暇はないのです。月末でレセプトの点検が山のようにあります。これを見終わらないと正月は来ません。1月2日は当番医です。3日は午前中に訪問診療があり、午後から深夜にかけては地域医療センターで急患の診察にあたります。4日には仕事始めですから、全く暇なしです。

  • 御用納め

    12月29日は当院の御用納めです。29(木)も通常通り夕方6時まで診療をやっています。(30日から新年3日まではお休みですが、1月2日は当番医です)

    9月1日に開院してから早4ヶ月です。おかげさまでなんとかやっています。近所の方たちだけでなく、結構遠方からも来院していただいています。そのご期待に沿えるよう、日々努力を続けたいと思います。

    今年は震災や阿蘇の噴火など自然災害が熊本では多く、みんな辛い一年だったと思います。しかし、東北でも鳥取でもいろんな災害は毎年どこかで起こっています。油断せず、備えたいと思います。私たち人間は大自然の力に比べればいかにちっぽけなものかということがわかります。うちの近所は更地となったところも多く、引っ越した人もたくさんいます。しかし、土地を整地したところに新しい建物が次々と建ち始めて、来年は解体から新生の年になるのではないかと思います。街並みの風景が劇的に変化しています。

    当院は、まず良いスタッフに恵まれ、私の目指す地域医療を実現できています。漢方や鍼治療といった東洋医学の実践、循環器内科医としての生活習慣病の管理、心療内科での心のケア、いずれも順調にいっています。また、訪問診療も計10名を越す定期訪問患者さんをほとんど毎日訪れています。来年もますます充実した体制作りをしたいと思っています。当院で働きたい看護師さん、医療事務(受付)さん、楽しくやりがいのある仕事です。興味あれば、ご連絡ください。だんだん忙しくなってきましたので、現在1名ずつ募集しています。

  • 薬を選ぶこと

    夜に激しい雨が降っていましたが、朝から間も無く雨は上がりました。やはり雨が降ると外来患者さんの出足は鈍く、のんびりした朝でした。そうこうしているうちに、だんだん待合が混んできて、昼前くらいには結構慌ただしくなってきました。

    遠く阿蘇の方から来院いただいた患者さんが何人もいました。阿蘇の方はこれからの季節、道が凍結して出て来られない場合もあるし、あまり頻繁に来てもらうわけにもいかないので、処方する薬の種類や量などやはり近所の人より慎重になります。あまり軽い薬だと治らないかもしれないし、強い薬だと副作用で飲めないかもしれません。私の外来では、新患の患者さんには特に気を使います。早く治るようによく効く薬をドンと使いたい気持ちと、副作用で飲めなかったらどうしようという気持ちがあります。そうすると、最初から長期の処方はできるだけ避けて、できたら1週間くらいで再来してもらい、薬が飲めているか、効いているか、副作用はないかなど見せて欲しいと思っています。

    特に漢方薬は同じ薬を何年も飲むイメージかと思いますが、実際には違います。風邪などだと、初日、翌日、三日目では使う処方は違ってきます。しかし、患者さんに風邪で毎日来院してもらうわけにもいかないので、時間をかけて直すか、一気に短期間で勝負するかを診察中に決めて処方の方針を立てます。もちろん短期で勝負するのにはリスクもありますから、滅多にそのような処方はしませんし、近所で何か不都合があったらすぐにでも来てくれる患者さんでないと難しいと思います。明日から出張だから今日中に直して欲しい、というのが一番難しいです。効く薬をどんと強めに出すと、治ればいいのですが不都合があれば出張先で困ることになります。そういうことにならないように、やはりこういう場合こそ賭けに出るような処方をせず、無難に行くことになります。

    心療内科でも同じです。ストレスなどで体調を壊して来院されると、一日でも早く元気になってもらいたいと思います。そうすると、つい即効性を期待していろんな薬をたくさん使って直したい衝動にかられます。しかし、良かれと思って強めに出した薬が副作用で飲めないと言われるのは、弱すぎてあまり効かないこと以上に悪いことだと日々反省しながら慎重に処方している次第です。

  • 漢方によるがん治療のサポート

    西洋医学では、内視鏡やCTなどの検査手技の発達により早期にガンが見つかり、治療することができるようになってきました。ガンは早期に発見、治療すれば根治も可能であり、医学の進歩の恩恵を被る人は大勢います。しかしながら、ガンを発症する人の数は減ることなく、増え続けています。また、手術や放射線で治療した後も、再発の可能性があり、いつまでも心配が絶えません。ガンになるのは、幾つかの原因がわかっています。塩分や食品添加物、タバコ、大気汚染、過度のストレス、特定のウイルス感染(例えば肝炎ウイルス)などの要因と、遺伝的な素因が合わさって発症します。タバコや食品添加物などは、気をつければ避けることができます。避けることのできるものは、普段から極力避けたほうがいいし、ガンになったのがわかった後はなおさら避ける努力をしていただきたいと思います。

    私たちの体の中では、毎日幾つかのがん細胞ができては消えています。これは、正常の免疫システムが、ガンを異物とみなして排除しているのです。しかし、がん細胞の数が一定の量を超えてしまうと、排除が難しくなってきます。植物の根、葉や実にも外敵から身を守る免疫力が備わっています。動物は外敵を見つけたら足で逃げますが、植物は逃げられないため、特に身を守る力が強いと思われます。漢方薬は、そのような植物の中でも、特に薬効の強いものを薬としていただくのですから、飲んでいるうちに私たちの体の免疫能も高まり、風邪をひきにくくなったり、体力がついたりするのです。当然、ガン治療にも漢方薬は役立ちます。西洋医学と併用することで、手術で弱った体を立て直したり、免疫を高めることで再発を予防したりすることが期待されます。

    漢方薬が飲めるうちは、このような漢方治療を早い段階で取り入れたほうが良いと思います。飲めなくなってしまったら、治療が困難となります。ただ、口から飲めない場合も、経管栄養のチューブが入っていたり、胃瘻という管が入っている場合には、その管を通して漢方薬を入れることが可能です。

    いよいよ漢方薬による治療が難しくなった場合でも、鍼治療という手段があります。鍼は痛みを取る治療だけでなく、全身の気の巡りを調整し、気持ちよくリラックスした状態にし、免疫力もアップします。このように、西洋医学では治療困難なケースや再発を予防するために、漢方薬や鍼はきっとお役に立てると信じています。最後まで希望を持って明るく生きていくことが大切です。

  • 美しい最期

    縁あって、往診を頼まれていた患者さんの最期を看取ることになりました。100歳を超えており、ご家族も理解があり最期は何もせず静かに見守りたいというご希望でした。3ヶ月くらい前には食事も入っていたのですが、次第に水分とゼリーくらいしか食べられなくなり、その後全く何も受け付けなくなりました。

    通常、病院ならここで脱水の治療として点滴をしたり、高カロリーの輸液をしたり、あるいは鼻から胃に管を入れて栄養を流したり、いわゆるスパゲッティー状態になります。しかし、今回は往診で点滴などもせずに最期を看取ることになりました。全く何も食べず、点滴もしないと次第に意識は薄れ、苦しい様子はありません。本当に仙人のように静かに呼吸をしています。それも3日ほど経ち、血圧が次第に下がってきました。もし病院だと、心電図モニターがアラームを鳴らしたり、血圧を頻繁に測ったり、酸素を鼻から流したりします。最悪の場合、心臓マッサージ、電気ショックというフルコースの蘇生術を受けてしまうこともあります。しかし今回は静かです。心電図のピッピッピッという電子音はありません。

    そして夜の12時近くに静かに息を引き取られました。私も、そろそろという情報の元自宅に待機していましたので、10分ほどで駆けつけました。なんとも荘厳で美しい最期でした。全く苦しみのない最期というのはこういうものなのかと知りました。病院ではほとんど見ることのない状況です。これから日本は高齢化がさらに進み、多死社会になると言われています。せめて、苦しまずに綺麗な最期を迎えてもらうのも私たち訪問診療にたずさわるものたちの使命だと思いました。