むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 飲んでいる薬が多すぎませんか

    誰しも、年をとると血圧が上がったり、夜眠れなかったり、何らかの理由で薬を常用していることと思います。採血の検査をすると、コレステロール、尿酸、肝機能など、多少ひっかかることもあると思います。そのたびに、薬を増やしていくと、気がつけば10剤以上となり、薬を飲むだけでおなかが一杯、ということにもなりかねません。薬を飲むときには水も飲みますから、そのせいでおしっこが近くなったり、足がむくんだりすることもあります。

    このような状況は、どこにでも起こりえます。これには、処方する医師にも責任があります。現在の医療のレベルでは、2剤の組合せの有効性を検討する研究がやっとできてきたくらいの状況ですので、3剤以上の薬が体の中でどう効いているかは、科学的データなど全くない状態なのです。薬に依存することを考え直す必要があります。

    ひとつ例を上げると、ある80歳を超えた女性が20種類を超える処方をもらっていました。血圧、コレステロール、認知症の薬、頻尿治療薬、便秘薬等などです。私はこの中から、この患者さんにどうしても必要な便秘薬と睡眠薬を1つだけ残して、あとは全部やめてもらいました。すると、今までいろいろあった症状が全部良くなって、すっかり元気になられました。薬のせいで体調を悪くし、その体調不良を別の薬で治そうとするからこういうことになるのです。

    治療は薬の足し算だけではうまくいきません。しかし、引き算(薬を減らすこと)は慎重にしないと状態が悪化してしまいます。これは思った以上に難しいことです。他の人にはいらない薬でも、自分にとっては絶対にやめてはいけない場合もあります。自分で勝手に判断せず、なんでも相談できるかかりつけ医に相談をされることをお勧めします。また、薬の専門家である調剤薬局の薬剤師さんも相談に乗ってくれると思います。

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