むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • リモート授業は不登校の生徒に福音

    朝起きができないという学生さんの相談が時々あります。起きられないため、朝1限目には間に合わないし、親はなんとか起こそうと朝からガミガミ怒鳴ったりしますが、起きられない。ひどい場合は昼過ぎまで寝て、昼ごはんを食べて午後の授業だけちょっと受けて帰る、みたいな生徒さんもいます。ひとくくりに不登校というレッテルを貼るのではなく、原因別に対応策も変わってきます。このような朝とにかく起きられない場合、起立性調節障害のことが多いと思います。朝の血圧も低く、テンションが上がらない。午後から夜にかけては割と元気で、夜遅くまでスマホで時間を潰したりゲームで夜ふかしします。朝起きられないはずです。

    私は、このような中高生の専門ではないので、症状がひどい場合は思春期外来を専門とする病院に紹介していますが、当院では漢方で体質改善をしたりする場合があります。夜ふかし体質は漢方ではフクロウ型と分類され、苓桂朮甘湯が基本処方です。しっかり飲んでもらうと、だんだん良くなるのですが、味が苦手だとか、いろんな理由で漢方が飲めない学生さんもいます。今日も、せっかく処方した漢方が飲めずに1ヶ月無駄に過ごした方がいました。ラッキーなことに、苓桂朮甘湯の錠剤が薬局にはありましたので、今度こそ飲んでもらえたら、来月は調子良くなっているかもしれません。

    それにしても、2学期は始まりましたが、登校日は週の数回であとはリモート授業というところがほとんどです。今日の不登校の学生さんにも言いましたが、時代は彼らを応援してくれています。学校に行かなくても授業をリモートで受けられるのですからこんなラッキーなことはありません。ギリギリまで起きられなくても、とにかくリモート授業でしっかり勉強すること。不登校の生徒さんたちがが普通に学校行事に参加できるなんて夢のようではありませんか。

  • 幸せになる3つの鍵

    8月もいよいよ最後です。途中、お盆あたりからの長雨で季節がどうなっているのかわからなくなってしまいましたが、残暑です。そして、日が暮れると秋風が吹いています。やっと夏休みが終わるとホッとしているお母さんたち、そして、学校はリモートで結局子どもたちが家にいて、世話をしないといけない状態。子供がいると在宅ワークもはかどらず、ご飯の準備や洗濯なども大変。気が休まらないことと思います。当院では、そういうお母さんたちのいらいらを抑えるため、漢方などを処方しています。こういう苦境を乗り切るには根性だけでは難しいと思います。自分を責めず、必要なときは安定剤や漢方に頼ってもいいと思います。

    お母さんがイライラしていると、夫も家に帰りたくなくなるし、子供もいらいらしてゲンカをしたり学校でトラブルを起こしたりします。人は鏡です。相手がイライラしているのは自分がイライラしているせいだと気づかないといけません。相手が愛想なく挨拶しないときは、きっと自分もその人に対して愛想悪い態度だと思います。いつもニコニコしているのは案外簡単ではありません。

    樺チャンネルというYouTubeを見ていたら、人が幸せを感じる3条件を解説していました。一つはセロトニン的幸福。これは健康で不安や恐怖がなくよく眠れること。2つ目がオキシトシン的幸福。人(親兄弟、夫婦など)やペットなどとのつながり。触れ合うことでオキシトシンが出て幸せを感じます。そして3つ目がドーパミン的幸福。欲望を満たされることで爆発的な喜びを感じますが、なれると喜びは薄れます。いい大学に通ったとか、宝くじにあたったとか、いろいろあります。そして大切なのは、これら3つの順番。1から順に満たされないと幸せになりません。3つ目のドーパミンの方から満たそうとすると中毒(ギャンブル、ゲームなど)になってしまいます。

  • 頻尿治療は内科でもOKです

    トイレを我慢すると頻尿や排尿痛となります。尿に血が混じって薄いピンク色になることもあります。これは膀胱炎です。膀胱炎は泌尿器科と思っている方も多いと思います。それは間違いではありませんが、たいてい内科でも大丈夫です。当院では、検尿の結果を正確に判定するための検査機器を設置しています。また、尿路感染では尿を顕微鏡で見ると細菌が見えます。当院では膀胱炎が疑われる場合、顕微鏡で尿検査を行い、桿菌(おもに大腸菌)か球菌(表在菌)かという細菌の種類までチェックしています。

    膀胱炎は男性より女性が多いのですが、男性でも前立腺肥大で残尿が多いとか、トラックやタクシーの運転などでトイレを日頃から我慢する人には炎症が起こりやすいようです。一方、学校の先生とか美容師さんのような職業の場合、早め早めにトイレに行って用を足す習慣の人が多いようです。授業の前、お客さんが来る前にしておかないと、その後1時間位はトイレに行けないからです。このような人たちは、膀胱炎ではなく過活動膀胱になりやすいようです。膀胱にしっかり尿が貯まる前に排尿する習慣がついているため、膀胱容量が小さくなり、少し溜まっただけで尿意が出てきます。夜寝ていても少し溜まっただけで目が覚めてしまうという夜間頻尿も見られるようになります。

    こういった夜間頻尿は感染症ではないので抗生剤ではなく、過活動膀胱の治療薬を使います。飲んで頂くと、膀胱にしっかり尿が貯まるまで尿意が出なくなり、一晩にトイレに起きる回数が減ります。いったん治れば、薬の継続は必要ないようです。更に最近では男性用の夜間頻尿治療薬として抗利尿ホルモンのデスモプレシンという素晴らしい薬が開発されました。この薬は夜尿症にも有効です。こういった膀胱炎、過活動膀胱、夜間頻尿などのご相談は当院でも承ります。

  • コロナ患者自宅療養説明会がありました

    今週は晴れると言う週間天気予報でしたが、いっこうに晴れません。今日も昼に往診した際には大雨でした。雨が続くと、頭痛や目まいの患者さんが増えます。先週から今週はとても多い状況です。さて、そんな中、今日は医師会からコロナ患者さんの自宅療養体制構築に向けての説明会がありました。病院がいっぱいで入院できないので、軽症者は自宅療養が基本です。しかし、自宅で急変する場合もあるので、医師会を上げて往診やオンラインでコロナ患者さんを診る診療体制を早急に作らないといけないというお話でした。

    参加者の疑問、質問は、診察時の防護服などをどうするかという実践的な話が多かったです。以前は宇宙服みたいなのを着ていましたが、最近はマスクとゴーグル、手袋という感じです。ただ、患者さんのレントゲンやCTを取るのはやはり結構気をつけないといけません。自宅療養での薬は咳止めとか解熱剤などと言っていたので、風邪のときと何ら変わりません。ちまたではみんな個人輸入までしているイベルメクチンなどは全く話題に上がりませんでした。

    私が以前読んだ中国のレポートでは、軽症者の殆どは漢方薬で対応可能という話で、いろいろな処方が考えられ、検証がなされています。私はその処方の一つをワクチンの副作用対策に処方してみていますが、皆さん副作用が軽くてよかったと言われているので、たしかに効果があるように感じています。もう一つ大事なのはビタミンDです。欠乏していると重症化することがわかっています。日本人は大半が欠乏しているらしいので、サプリをとっておくことをおすすめします。

  • 精神栄養療法

    今朝の熊日新聞(8月25日17面)に精神栄養療法の記事がありました。かなり大きなスペースをさいて解説してありました。うつになりやすい人は栄養的に不足があるという話です。当院でも積極的に採血して不足している栄養(サプリ)の摂取を勧めますが、基本的には自分でネットなどを通して買っていただいています。アドバイスまではしていますが、買って飲むところは自分でお願いしています。良いサプリはアメリカ製が多いので、粒が大きくて飲みにくいとか、輸入に時間がかかってすぐ届かないとかいろいろ問題はありますが、他にいいものがあまりないので、その点は我慢してなんとかやっていただきたいと思います。

    新聞にもあるように、鬱に関連する栄養として、ビタミンB,C, D,葉酸、鉄、亜鉛、マグネシウム、アミノ酸(トリプトファン、メチオニン、チロシン)、DHA/EPA、腸内善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌)などです。これらの栄養成分のいくつかが不足するとうつになりやすいということです。家庭内で親兄弟は同じものを食べますから、親が鬱なら子供も同じ傾向になります。また、鬱だけでなく不安障害、パニック障害も同じ理屈で栄養不足が大きく関与します。

    そういうわけで、メンタル系の疾患では、日頃の食生活を見直して、炭水化物を減らし、肉や魚、野菜をしっかり食べるように指導します。心を病んでいる人の多くは、パンや麺、おにぎりなど簡単な食事しか入らないといいますが、それが病態を悪くしています。おかずをしっかり食べるようにしましょう。また、いくら栄養が不足しているからとはいえ、栄養療法だけでは数年単位での治療になります。いまストレスで仕事に行けない、という場合、栄養療法は大事ですが、薬の力も借りていったん体調を良くして、その後を栄養療法で置き換えていくようにしたほうが効率的だと思います。