むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 治りにくい胃腸症状には漢方

    ストレスで下痢する人がいます。学生だと、試験前にお腹が痛くなるとか、学校に行こうとするとトイレに籠ってしまって遅刻しそうになるというのはよくあることです。大人でも、ストレスで出勤しようとするとお腹が痛くなって結局仕事を休んだというような話をよく聞きます。このような症例でふつうの胃腸炎の薬をもらっても、なかなか良くなりません。胃腸炎ではないからです。このような病態は、過敏性腸症候群と言って、それ専用の薬でないと治療が困難です。

    当院でも、このような過敏性腸の患者さんが多く来院されますが、まずは漢方を使用します。腹痛や下痢には漢方がよく効くのですが、原因が精神的なものでもなんとかなります。ストレスで朝から腹痛があるとか、試験の前は調子が悪いという場合など、漢方の出番です。それでも不十分なら、過敏性腸用の下痢止めも処方します。しばらく使うと落ち着いてくることが多いです。

    もう一つよくあるのは機能性ディスペプシアという病態です。食べると胃が痛くなる、吐き気がするなどの症状があるのですが、胃カメラなどの検査では異常なしと言われるものです。多くは胃酸を抑える薬を処方されますがなかなか改善しません。これも、漢方が結構役に立ちます。胃の粘膜を治す西洋薬とは違って、胃腸の機能を正常化させる働きが漢方にはあるのです。

  • 血管を丈夫にするには

    若い女性に結構みられるのが、ぶつけた覚えもないのにあざができるというもの。最近当院を受診されたお嬢さんは、手足に点状の点々とした皮下出血(紫斑といいます)でした。内科医や皮膚科医が紫斑を見ると、血小板数が減少する病気や紫斑病という特殊な病気を考えますが、たいていは検査しても何も出てきません。そういう場合、経過観察ということになります。教科書的には治療法はないと言われています。以前もこちらのブログに書いたことがあるのですが、こういう紫斑を単純性紫斑といいます。じつは、大抵の場合、コラーゲン不足が原因です。つまり、肉や魚をしっかり食べていないと、体(特に血管の構造)がもろくなり、ちょっとした負荷で血管が破綻して皮下出血を起こすのです。

    肉や魚などに含まれるコラーゲンは、いわゆるゼラチンです。煮たあとに冷えると固まるプルンプルンしたあれです。そういうコラーゲンを食べても胃で消化されて体内でコラーゲンにはならないと言う人がいますが、それは間違いです。豚足を食べると肌がプルプルになる、という実感こそが正しい事実です。食べたコラーゲンは消化の過程でアミノ酸に分解されますが、体内の必要なところで再構築されます。例えば弱った血管壁にある細胞内の遺伝子はコラーゲンを作ろうとやる気満々なのですが、材料となるアミノ酸を食べてくれないとコラーゲンができないのです。また、コラーゲンを再構築する際にはビタミンCも必要です。ビタミンCはビタミンEでリサイクルされるのでビタミンEも大切です。

    というわけで、ビタミンCやEを紫斑の出ていたお嬢さんにしばらく飲んでもらっていたのですが、昨日来院されたのをみたらすっかりきれいになっていました。良かったです。今日、医学論文サイトを見ていたら、ベジタリアンは出血性脳卒中が1.4倍多いという研究成果が発表されていました。数千人規模の研究で18年もの追跡調査です。正しいと思います。肉を食べないベジタリアンは血管が弱く、出血しやすいのです。

    久木野から高岳方面を望む

  • 体調を気にしすぎると本当に病気になる

    血圧の患者さんには血圧手帳をお渡しして、家庭血圧を測ってもらいます。病院で測るといつも高いのに家ではそれほど高くないという場合、家庭血圧の方を重視します。病院の血圧だけを信じて薬の強さを調節すると、家で普通に過ごす際に低血圧になってフラフラしたりするからです。血圧手帳には通常朝晩2回分の血圧を書くスペースがあります。ところが、なかにはそれでは足りずに自分で大学ノートに記録してこられる方もおられます。

    たまにすごいのが、一日1ページくらい使って、朝から晩まで何度も何度も血圧を測り、脈拍を測り、体温を測り、頭が痛いから鎮痛剤を飲んだとか、動悸がしたとか、一日中自分の体調を観察しては記録してくる人がいます。まるで集中治療室に入院している患者さんみたいです。このような微細なデータ収集はたまに大切な傾向を発見するヒントになるのですが、たいていはなんの役にも立ちません。逆に害があります。

    自分の些細な体調不良にフォーカスして記録することを目的としているため、通常だったら見逃す(気にもとめない)頭痛や血圧の変化を病的に捉えて、不安が増大します。気にしなければ病気ではありません。気にしていると本物の病気になります。訪問診療で高齢者を見ると、皆さん朗らかでお元気です。自分の病気のことなど気にもしません。朝から頭が痛かったこと、先週まで入院していたことなど覚えていません。かわいそうなのは、まったくボケていない頭脳明晰なお年寄りです。年をとれば毎日どこそこ不調が出ます。それを、がんではないかとか、肺炎ではないかとか一日中考えては辛い顔をしています。年をとったらボケたふりをして笑って過ごしましょう。幸せを呼ぶ秘訣です。

    クリニック前で見た今日の夕焼け

  • おでんの季節はじまる

    SUICAをチャージしようと思って近くのコンビニに寄ったら、おでんが始まっていました。今なら10%引きです。昔はコンビニでおでんを買うことはなかったのですが、最近は時々買いに行きます。これは、私が患者さんに何度も言う蛋白不足を改善するためです。忙しいとついおにぎりとかパンなど炭水化物中心の食事をしてしまいます。しかし、わたしたちの体はタンパク質でできており、炭水化物ではエネルギーにはなっても体を作る材料にはならないのです。そこで、おでんの出番です。牛すじ、卵を買います。あとは腹持ちの良いしらたきとか、大根などもいいでしょう。ただ、なんと言っても卵です。

    卵は体の必要とする必須アミノ酸をすべてしかも十分量含む完全栄養食品だそうです。なにか栄養が足りていないと思ったら、一日何個でもいいので卵を食べてください。ご飯やお菓子を過食してしまうひと、これもタンパク質を摂ってください。ご飯(米)の前に卵料理、チーズ、プロテイン(ドリンク)、納豆、豆腐などタンパク質を取ります。すると、無駄に炭水化物を取らないですみます。

    健診で採血データが手元にあれば、腎機能の項目で尿素窒素をみてください。これが10以下なら明らかに蛋白不足です。しっかり取れば15以上になります。そして、15を超えてくると体調もよく、パニックやうつなどのメンタルの不調も改善してきます。まずはきちんとした食事=タンパク質を十分食べることが健康の第一歩です。コンビニのおでんはその手助けになると思いますよ。

  • マグネシウムは大切な栄養素

    ためしてガッテンを見たら、マグネシウムの話題でした。ご覧になりましたか?マグネシウムは体を維持するのに必須のミネラルですが、いろんな食材に含まれるため不足することをあまり心配されなかったようです。今日の番組を見ていたら、ストレスがかかるとマグネシウムの尿中に排泄される量が増えるので足りなくなるようでした。マグネシウムは、体のエネルギーを作る酵素の手だすけをする、血糖値の上昇を抑え糖尿病を減らす、心疾患を減らすなどの働きが証明されていると言っていました。

    マグネシウムは海にたくさんあります。豆腐を作るにがりの成分はマグネシウムです。豆腐はもちろん、海藻(わかめやひじき)、魚介類などに多く含まれます。そばやほうれん草などにも多く含まれるとのことです。日本人は女性で50mg、男性で100mgのマグネシウムが不足しているそうです。今食べている食事にプラスして納豆1〜2パック程度が必要とのこと。私は毎日サプリメントでマグネシウム100mgをとっています。

    マグネシウムは体内でカルシウムと拮抗して働きます。カルシウムは筋肉を収縮し、マグネシウムはリラックスさせます。したがって、足がつったりしやすい場合、マグネシウム不足が多く見られます。しかし、通常のマグネシウムサプリはカルシウムと合剤になっており、2:1でカルシウムを多めに入れてあったりします。私の最近の経験では、マグネシウムだけのサプリ(カルシウムを含まないもの)がアメリカ製にはあるので、そちらのほうがいいみたいです。また、マグネシウムは皮膚から吸収されるので、マグネシウム入浴剤(エプソムソルト)はおすすめです。