むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 血管を丈夫にするには

    若い女性に結構みられるのが、ぶつけた覚えもないのにあざができるというもの。最近当院を受診されたお嬢さんは、手足に点状の点々とした皮下出血(紫斑といいます)でした。内科医や皮膚科医が紫斑を見ると、血小板数が減少する病気や紫斑病という特殊な病気を考えますが、たいていは検査しても何も出てきません。そういう場合、経過観察ということになります。教科書的には治療法はないと言われています。以前もこちらのブログに書いたことがあるのですが、こういう紫斑を単純性紫斑といいます。じつは、大抵の場合、コラーゲン不足が原因です。つまり、肉や魚をしっかり食べていないと、体(特に血管の構造)がもろくなり、ちょっとした負荷で血管が破綻して皮下出血を起こすのです。

    肉や魚などに含まれるコラーゲンは、いわゆるゼラチンです。煮たあとに冷えると固まるプルンプルンしたあれです。そういうコラーゲンを食べても胃で消化されて体内でコラーゲンにはならないと言う人がいますが、それは間違いです。豚足を食べると肌がプルプルになる、という実感こそが正しい事実です。食べたコラーゲンは消化の過程でアミノ酸に分解されますが、体内の必要なところで再構築されます。例えば弱った血管壁にある細胞内の遺伝子はコラーゲンを作ろうとやる気満々なのですが、材料となるアミノ酸を食べてくれないとコラーゲンができないのです。また、コラーゲンを再構築する際にはビタミンCも必要です。ビタミンCはビタミンEでリサイクルされるのでビタミンEも大切です。

    というわけで、ビタミンCやEを紫斑の出ていたお嬢さんにしばらく飲んでもらっていたのですが、昨日来院されたのをみたらすっかりきれいになっていました。良かったです。今日、医学論文サイトを見ていたら、ベジタリアンは出血性脳卒中が1.4倍多いという研究成果が発表されていました。数千人規模の研究で18年もの追跡調査です。正しいと思います。肉を食べないベジタリアンは血管が弱く、出血しやすいのです。

    久木野から高岳方面を望む