むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 小児と漢方

    当院では小児科は標榜していませんが、小学生以上なら診察しています。しかし、小児というのは小さい大人ではなく、小児科という専門性を持った領域です。奥が深い学問です。当院で対応しているのは、漢方薬が飲める人が原則です。小児の場合、苦くて飲めないとか、粉薬は無理とかいろいろな理由で難しいことが多いです。しかし、小児だからこそ副作用の少ない漢方で治療したいものです。

    当院に来る小児の患者さんの多くは普通の小児科では治療が難しかったような例です。朝から起きられない、慢性の頭痛、吐き気、腹痛、下痢などです。特に学校に行く前に症状が出て、結果的には遅刻したり欠席することが多いようです。

    このような子供の患者さんの場合、多くは学校のストレスなどからおなかの症状や朝起きられない症状などがでます。そこで、通常の胃薬などではなかなか改善しないのです。そういう中でわたしは漢方を使いながら心と身体全体にアプローチするのですが、漢方が飲めないお子さんにはどうすることも出来ません。いわば、漢方小児科です。ご理解のほどよろしくお願いします。

  • 寝汗の治療

    漢方の外来をしていると、本当に難しい症例が集まってきます。どこの病院に行っても治らなかったと言って来られますから、本当に難しいです。しかし、漢方の目でみると案外簡単に直せる場合もあるので、本当に困った患者さんたちにもなんとか満足いただいているのではないかと思います。

    そんな中、かなり難しいのが寝汗です。寒いのに寝ていると汗が出て体を拭いたり着替えたりしないと風邪を引きそうだと言われます。そんな症例の治療は西洋医学的にはほとんど不可能です。教科書のどこを見ても治し方は書いてありません。実は、漢方の中にはいくつか寝汗を治す処方があります。なるほど、これはいい、と思って使うのですが、実際にそれが効くのは3-4割といったところでしょう。それでも効いて喜ばれるのでやってよかったと思うのですが、逆に考えると6-7割の人の寝汗は治せていないのです。

    この治し方がずっとわからず試行錯誤していました。最近、少し手応えをつかめてきたのは、漢方ではなく鍼治療です。針をつかって自律神経を整えていけば寝汗は減ってきます。ただ、鍼治療の場合、保険が効きません(当院の場合初診料や再診料に加えて1500円です)。最低でも週1回はしないと効果が出ないようです。そこで自分でできるセルフ整体にて治療できないかと考えているところです。

    水前寺公園内の池;熊本地震で水が減ってしまったそうですが、今は昔と同じくらいありそうです。

  • 花粉症の治療薬で眠くなる?

    昨夜は春の嵐でしたね。短時間で通り過ぎたのでよかったですが、雷までなって、びっくりです。ところで、当院のベランダには雨どいがあるのですが、そこから水の流れたあとを見たらうっすらと黄色い堆積物が見えました。なんだろうと思って手に取ってみたら、びっくり!花粉でした。大きな屋根に積もった大量の花粉が雨で流れてトイの部分に集まったのでしょう。私は花粉症でないので、何も起こりませんでしたが、花粉症の人が見たら触る前に目鼻が痒くてとんでもないことになったに違いありません。

    先日「花粉症の薬は当院でも処方できます」と書きました。早速患者さんが来られています。その際に、ネットで見たんですけど、花粉症の薬には強さが色々あるんですか?というお問い合わせがありました。そのとおりです。強いもの、弱いもの、新薬、ジェネリック(安い)、などいろいろです。そして、眠気が多いものや少ないものなど副作用もいろいろです。患者さんごとに相談しながらどれにするかを決めています。

    先日面白いなーと思ったのは、花粉症の薬を飲むとすごくよく眠れるので、また下さい、という患者さんです。たしかに、眠気が強い抗ヒスタミン薬は睡眠薬の代わりになります。睡眠薬として市販されているものもあります。花粉症の薬で眠れるのなら、睡眠薬を使わずに済むかもしれません。そうかその手があったかと、逆に教えさせられたエピソードでした。このように、外来診療は日々進化しています。

    水前寺公園内。この建物の名前を忘れましたが、神楽か何かするところだったと思います。熊本地震で全壊したとばかり思い込んでいましたが手前の壁が新しい建材で補強されている程度で無事だったんだと、見ていて嬉しくなりました。

  • 動悸の治療

    動悸は結構多く見られる症状なのに、治療を得意とするドクターは少ないように思います。それには理由があります。循環器内科(心臓病の専門家)と心療内科の2つをオーバーラップしているからです。循環器の先生は、心電図や心エコーなどで精密検査をしますが、検査で何も見つからないと、一気に興味を失います。「特に心配ないようですから様子を見てください」ということになります。患者さんは動悸がして困っているというのに、打つ手なしです。

    一方、心療内科にしてみれば、循環器の精密検査を受けてもらってからでないとどんな心臓病がひそんでいるかしれない、と心配します。現に、動悸を起こす心疾患として、心不全、心房細動、房室ブロック、期外収縮、甲状腺機能亢進症などなどいろんな可能性があります。それを除外しないで、ストレスのせいだなんていえません。その結果、動悸の原因に関してよくわからないままに内心ビクビクしながら治療することになります。

    私は大学病院で勤務していた頃に循環器内科外来で漢方外来を担当しており、心臓神経症をよく見ていました。いろいろ検査しても異常ないとか、手術はうまく行ったのに症状が改善しないような場合、患者さんが紹介されてきます。このように難しい動悸の症状も、細かく状況を問診すれば、結構症状を取ることができます。私の場合、抗不整脈薬も血圧の薬も使いながら漢方的あるいは心療内科的なアプローチを併用するため、幅広くいろんな動悸に対して対応しています。

  • 花粉症の季節

    花粉の飛散が始まりましたね。もう、鼻ぐす、目がかゆいなどいろんな症状が出始めています。これからゴールデンウィークくらいまでがつらい季節です。ヤフー天気予報などを見ると、花粉の量は非常に多いとでています。日本に住む限り花粉症は避けられません。花粉症の薬は大半が抗ヒスタミン剤という種類です。抗ヒスタミン剤は鼻水を止めたり目のかゆみを止めてくれるのですが、副作用が幾つかあります。いちばんが眠気です。昼間にボーとして仕事がはかどらなかったり運転に支障が来たりしますので、注意が必要です。眠気が強い薬の場合、朝を避けて寝る前に飲むようにしましょう。最近は新薬で効果は従来のものと変わらずに、眠気がほとんどこないものがあります。私も飲んでみましたが、眠くなりませんでした。運転などの業務がある場合、この新薬がいいと思います。

    他にも、口が渇くとか、めまいがするとか、そういう副作用があります。そういう副作用が困る場合、ステロイド点鼻薬がおすすめです。点鼻薬は使ってすぐに効くわけではないのですが毎日きちんと使えば次第に落ち着いてきます。薬局にある鼻閉用スプレーは鼻づまりに即効性があるものの長期に使うと副作用があるそうなので、使いすぎないようにしましょう。

    このような花粉症用の抗アレルギー剤は当院でも処方しています。軽めの薬から強いもの、副作用の少ないもの、漢方、点鼻薬など色々ありますので、お困りでしたらお気軽にご相談ください。