むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 動悸の治療

    動悸は結構多く見られる症状なのに、治療を得意とするドクターは少ないように思います。それには理由があります。循環器内科(心臓病の専門家)と心療内科の2つをオーバーラップしているからです。循環器の先生は、心電図や心エコーなどで精密検査をしますが、検査で何も見つからないと、一気に興味を失います。「特に心配ないようですから様子を見てください」ということになります。患者さんは動悸がして困っているというのに、打つ手なしです。

    一方、心療内科にしてみれば、循環器の精密検査を受けてもらってからでないとどんな心臓病がひそんでいるかしれない、と心配します。現に、動悸を起こす心疾患として、心不全、心房細動、房室ブロック、期外収縮、甲状腺機能亢進症などなどいろんな可能性があります。それを除外しないで、ストレスのせいだなんていえません。その結果、動悸の原因に関してよくわからないままに内心ビクビクしながら治療することになります。

    私は大学病院で勤務していた頃に循環器内科外来で漢方外来を担当しており、心臓神経症をよく見ていました。いろいろ検査しても異常ないとか、手術はうまく行ったのに症状が改善しないような場合、患者さんが紹介されてきます。このように難しい動悸の症状も、細かく状況を問診すれば、結構症状を取ることができます。私の場合、抗不整脈薬も血圧の薬も使いながら漢方的あるいは心療内科的なアプローチを併用するため、幅広くいろんな動悸に対して対応しています。