むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 世界を相手に一流人のみが生き残る世

    以前は製薬会社主催の勉強会が日航ホテルなどで頻繁にあって、診療のあとに時間があればでかけていました。ところが、コロナ禍において、そういった勉強会はほとんどなくなりました。代わりに始まったのが、WEB講演会です。ところが、WEB講演会を従来の熊本でやっていたような講演会のインターネット中継みたいな形にしても全然おもしろくありません。なぜなら、ネット環境があれば、世界中どこからでも参加できるし、演者も熊本にいなくても東京からでもアメリカからでも問題ないわけです。そうすると、いままで講演会(勉強会)はローカルなものだったのですが、一気にインターナショナルなものとなったのです。つまり、熊本で二流の演者が発表しても聴いてもらえない。東京の一流の演者の講演会にWEBで参加すればいいのです。旅費も何もかかりません。結果、講演会のレベルは地方格差がなくなりました。

    そういうわけで、日曜日は朝からアレルギー(蕁麻疹や花粉症)の基礎と臨床に関するWEB講演会に参加しました。演者、司会者などは全国から選りすぐりの人たちです。内容も濃く、充実した会でした。1時間半のプログラムがあっという間に感じられました。私たちの勉強スタイルがこれほどまで変化したということは、受験生たちも変わったのではないでしょうか。東進衛星予備校などは昔から東京の一流講師陣の講義が日本中どこでも聞けたわけですが、家庭教師だって、ネットで済むと思います。熊本にいながら東大生の家庭教師についてもらうなんて、ZOOMさえあれば簡単にできます。げんに私の知っている英語の先生はZOOMを使ってネットでマンツーマンの授業をしており、生徒さんは熊本だけではなく日本各地にいると言っていました。同じように、英語の先生はネット上で探せば世界中にいるので、アメリカ人、フィリピン人、オーストラリア人など世界中に英語を教えてくれる人がいるのです。そんな時代です。

    ということは、一流の能力があれば世界を相手にビジネスできるし、その実力がなくてローカルでやっていた人は世界を相手にして苦境にたつという構図となります。一流というのは学力とは関係ありません。その分野でいかに必死でやってきたかということです。必死とは命がけでということです。寝食も忘れるほど没頭すれば一流になれます。これからの世で生き残れるのはそういった一握りの人たちだけでしょう。そのレベルに達するには好きで仕方ない、趣味の延長みたいな仕事につく以外ないと思います。

    下通 たいちろうにて 海鮮丼 期待を超える充実した料理でした。

  • 非接触型体温計の原理と限界

    最近はどこへ行っても体温を測られます。とても不愉快です。あんなのでコロナの感染拡大を抑えられるはずありません。コロナは無症状の人が知らないうちに人に移すことが多いのです。熱があるかどうかは関係ないと思います。ビニールカーテンやフェイスシールドほど滑稽なことはないですが、入り口で熱を測っている飲食店にはあまり行きたくありません。

    非接触型体温計でピピッと測るのは便利ですが、全然正しい体温ではありません。医学的にはあの体温は信用しません。単なる参考値です。体温はちゃんとした体温計を脇など体の深部に近いところで何分かかけて計らないと正しくありません。本当の体温は口の中とかお尻に体温計を入れて測ります。非接触型では小児用で耳から鼓膜温を測るタイプが有りました。鼓膜は深部体温に近いので割と正確だと思います。

    物理的に表面温度を正確に測ることは何ら難しくありません。おでこの温度を正確に測ってもそれが正確な体温というわけではありません。おでこは外気にさらされており、外の暑い寒いとか汗の有無で温度が変わるからです。非接触型体温計のマニュアルにも、体温を測る場所と同じ環境に30分以上いて落ちついてから測ることと書いてあります。私は、今の非接触型体温計が普及し始めた15年ほど前に田迎の東病院につとめており、便利なので外来で導入しようと考えたのですが、脇で測る体温と非接触型の誤差を何百例とデータを取って、使えるかどうかを検討したことがあります。結果は、外から入ってきてすぐの外来患者さんの体温はあの非接触型ではでたらめすぎて測れないという結論でした。一方、入院患者さんは同じ環境内にいるので割ときちんと測れることがわかりました。

    繰り返しますが、外から建物に入ってすぐに測れば無茶苦茶な温度が出ます。あの体温計の原理を考えると、おそらく室温(X1)とおでこの体表面温度(X2)を測定することで、実際の体温(Y)を類推する計算式が入っていると考えられます。したがって、温度計がおでこから3センチ離して測定すること、と書いてあれば、そのとおりにしないと計算式に入れる値(X2)がおかしくなります。勝手に、口の中の温度を測ってみたり首の温度を測ってみたりすると、おでこ用に開発された計算式に当てはまりませんから、ぜんぜん違う予測体温(Y)が求められます。いずれにしても、ちゃんと測っていない体温(類推)ですから、こんな数値を信じてコロナ対策をしていますとわかったような顔をしている素人には本当に呆れますが、物理の知識のない人には理解できないでしょう。重要な事なので医療関係者はわかるまで読み返してください。

  • 正面突破がいいとは限らない

    今回の台風は東へそれて熊本への被害はほとんどなく幸いでした。私の歩く通勤路にはイチョウの街路樹があるのですが、今朝はとんでもない量のぎんなんが歩道に落ちていました。匂いもひどく、その上を踏んで歩くのははばかられます。道路の右も左もイチョウがあるので、どちらの歩道を通っても同じです。だれか近所の人が掃除してくれないかな?と思いながらぎんなんを踏み潰さないようにつま先でそっと歩きました。帰り道、同じところを通ったのですが、ふと、自宅に帰るには別にその通りを通らなくても帰れることに気づきました。なーんだ、50mもかわらないけどちょっと回ればこんな苦労しなくてよかったんだ、と気づいて嬉しかったです。

    実は、人生にも同じようなことがあるのです。順調に進んでいるように見えても突然目の前に困難が迫ってくる。正面から突破しようとすると苦難を伴う。日本人の多くは正面突破を好みます。小さい頃から正々堂々とか、逃げるなとか言われてきたからです。しかし、急がば回れということわざもあります。立ち止まって、振り返って、正面突破以外の方法がないか考えるのは正しいことです。目の前に苦難が訪れた時、神様が自分に与えた試練だと思って試練を乗り越えると、また次の試練が来る。実は、神様からのメッセージは、「そっちの道じゃないよ」と教えてくれているかも知れないのです。これは「斎藤一人」さんの講演で聞いた言葉です。

    職場や学校で嫌な目にあって体調を壊して来院される方があとを絶えません。そのような場合、一旦立ち止まって体を休め、そしてどっちに進むべきかをよく考えるようお話します。自分が休むと迷惑をかけるからと言って、我慢して出勤するのは実は誰のためにもなっていません。自分の体調が悪化するだけでなく、職場でもミスをしたり負のオーラを撒き散らして同僚までも巻き込んでしまいます。こんな場合は潔く休んでリフレシュしましょう。

    錦ヶ丘公園

  • WEB講演でのこだわり

    診療後、1時間ほど漢方の講演をしました。今回も診察室からパソコンを使ってWEB配信です。皆さん、オフィスやご家庭から聴講いただきました。先日、予行練習したとおりパワーポイントは重いとわかったのでPDFに変換してそれをスライドショーにしました。おかげでスムーズにいきました。もう一点工夫したのは、演者用パソコンの他にあと一台iPadを会議につないで聴衆の画面を表示して目の前をデュアルモニター(2画面)にしました。演者用パソコンの画面とは別に、皆さんが見ている画面を両方確認できるわけです。講演は画像の見やすさとともに、音声が大切です。もちろん今回もユーチューバーいち押しのコンデンサーマイクを使いました。ZOOMは慣れていたのですが、Teamsではどこに外部マイクへの切り替えスイッチがあるか随分探しましたが、本番直前に発見し、間に合いました。

    私はマックブックエアーを使ったのですが、この内臓カメラはかなり画質がきれいです。その他iPad、iMAC、マイクロソフトのSurface, 富士通のラップトップなどたくさんのデバイスをもっていますが、マックブック内蔵カメラの綺麗さはダントツです。次にきれいなのがiPad Proです。WindowsのSurfaceや富士通のパソコンはがっかりするほど画質が悪いです。これだけWEB会議が普通になってきて、自撮りがきれいでないパソコンはだめですね。特に女性の場合自撮りの写りを気にするでしょうから、マックがおすすめです。全然違いますよ。

    ところで、韓国料理にこりまくって随分上手になったので、スパイスの配合を変えて、スパイスカレーに挑戦中です。にんにく、生姜、赤唐辛子、玉ねぎ、ひき肉、塩コショウまではチゲ鍋(スンドゥブなど)と共通です。この、ほとんどチゲ鍋の工程にクミンシード、コリアンダー、ターメリック、ローリエ、トマト(ケチャップ)、ガラムマサラ、を加えるだけでスパイスカレーになります。あまりに簡単に本格カレーができるので驚きです。10分ほどで完成です!カレーのスパイスは薬草と同じ。カレーは薬膳。認知症予防効果が報告されていますよ。

    老人ホーム ピュアートややまちのテーブル飾り

  • 秋のアレルギーシーズン

    秋のアレルギーシーズンです。花粉症や喘息が増えてきました。私の経験では稲刈りが終わってしばらくがシーズンです。窓を開ければ涼しい風が入ってきて気持ちいいですがアレルギー性鼻炎や喘息の原因となる花粉なども入ってきます。悪化する前に対策を取りましょう。喘息の場合はステロイドの吸入が基本です。きちんと使えば効果は間違いありません。もし、吸入しているのに喘息が出る場合、吸い方に問題があるのかもしれません。吸入薬にはいろんな種類があり、吸いやすいものや吸いにくいものもあります。薬のメーカー(ブランド)を変えると喘息が収まる場合もありますので、悩んでいないで専門医に相談することをおすすめします。

    そういう私も今年急に喘息が出てきて時々咳き込みます。自分の胸に聴診器を当てるとヒューと音がして、びっくりしました。あわてて引き出しの中をゴソゴソ探して出てきた五虎湯という漢方を飲んでみたところ、10分ほどで見事に落ち着きました。漢方も軽症にはすごく効きます。

    一方、鼻炎に関していえば、アレルギー性鼻炎にはいろんな薬剤があります。最近はパイロットも飲んでいいと言うお墨付きの眠くならない薬があります。受験生にもおすすめです。鼻炎が慢性化すると副鼻腔炎になることがあります。耳鼻科では抗生剤を長期に出されますが、辛夷清肺湯という漢方は副鼻腔炎によく効きます。私は抗生剤をあまり使わず漢方で治します。また、春の花粉症シーズンにもおすすめしましたが、ビタミンDを5000単位から1万単位(場合によってはそれ以上)を飲むことでが劇的にアレルギー性鼻炎が改善する場合があります。治らずに困っている人は是非お試しください。

    天高く・・健軍川にて