むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 発酵食でお腹が張るSIBO

    先日から奄美の伝統飲料「みき」について書いています。乳酸菌たっぷりの飲み物で健康にいいのは間違いないのですが、発酵食品が体に合わない人もいるので、その点はご注意いただきたいと思います。しょっちゅうお腹を壊す、下痢する、お腹が張るというとき、消化器の病院で検査しても特に何もなく、胃腸薬や整腸剤をもらったところで、何も変わらない、そういう場合、小腸での腸内細菌の過剰発酵が原因かも知れません。最近はそれをSIBO(シーボ)と呼び、新しい疾患概念と捉えられています。通常小腸には腸内細菌はおらず、大腸に善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌その他、そして悪玉菌や日和見細菌、真菌などいろいろな菌が生息しています。SIBOの場合、菌がいないはずの小腸で過剰増殖しており、食べ物が胃に入ってくると早速それを餌にして発酵し、ガスを産生するとお腹が張ったりします。

    原因として最も多いのが発酵食品のヨーグルト、納豆、キムチなど。菌が生きて腸に届くことでSIBOが起こってきます。SIBOの患者さんは思い切って発酵食品の摂取をやめてみましょう。次に、腸内細菌の餌となるオリゴ糖や食物繊維の多い野菜も過剰発酵の原因となるため避けたほうがいい場合があります。どの食品をとってもいいのか、とらないほうがいいのかは覚えきれないので、本を参考にしてください。低FODMAP食といいます。「腸のトリセツ」や「腸の教科書」という本があるので読んでみてください。当院の待合ロビーにも置いています。

    当院に通院中の患者さんにはすでにこういった食事療法を実践して長年のお腹の悩みが解決したという人もたくさんおられます。薬で腸内細菌を減らす治療も同時に行います。この病気が厄介なのは、通常お腹に良いと思われている発酵食品が悪さをしているということで、発想を180度変えないといけません。