昨日はめまいの漢方治療について書きましたが、今日は耳鳴りについて書いてみたいと思います。耳鳴りは耳鼻科に行っても殆どの場合「歳のせいです。治りません、あきらめてください」と言われます。それでもあきらめきれない人が漢方を頼りに来院されます。そこで、うちに来る患者さんの多くは耳鼻科でも治らなかった難治性の患者さんです。そんな耳鳴りが漢方で治るのかと聞かれれば、全員ではないのですが一定数は改善が見られる、とお答えします。
秘策など特別なものはありません。当院に来る前に他院でもらったアデホス(血流を改善する薬)やメコバラミン(ビタミンB12;神経の障害を改善する)などはそれほど効きはしませんが、害はないのでとりあえず続けてもらいます。そこに、抑肝散加陳皮半夏を入れます。神経過敏を抑えたりイライラ・ストレスを改善する働きがあります。これだけでよくなる場合がありますのでしばらく様子を見ます。そこで少しいいけどあと少し、という場合2パタンを考えます。一つは高齢者に多いセミの鳴くようなジーと言う音。これは加齢変化によることが多いので、八味地黄丸を追加します。2つ目に比較的若い世代に多いのが、キーンという音がする人。これはストレスや更年期の事が多いので、加味逍遥散を追加します。ここで結構な割合が改善するのですが、それでもだめならあといくつか奥の手があるのですが、それほど耳鳴りは難治で苦労します。
話は変わって、今日も何名かの患者さんにサプリを勧めました。不安障害でいろんなことに不安な人。通常精神科などにかかれば抗不安薬(ベンゾ)や抗うつ薬が処方されますが、若い女性で結婚前だったので、妊娠の際影響ないようにサプリで治ればと思った次第です。おすすめしたのはビタミンB50, ナイアシンアミド、鉄(フェロケル)です。これらを入れて栄養療法をすることで、抗不安薬などを使わないで済むか最小限でいい場合をたくさん経験しています。ただ、不安やうつ症状が強い場合、サプリでは効果発現に時間がかかるので、まずは抗うつ剤を併用し、落ち着いてからサプリだけにしたほうがいいと思います。