むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 過活動膀胱

    尿意切迫(突然尿意を催す)、切迫尿失禁(おしっこが間に合わない)、夜間頻尿(一晩に3回以上)などで困っている人は過活動膀胱かもしれません。川野泌尿器科病院の川野院長先生の講演会があったので、勉強に行ってきました。診断や治療のコツについて細かに教えていただきました。当院にも過活動膀胱で来院される患者さんはたくさんいます。内科ですが、それほど特別な検査は必要ありませんから当院でも治療しています。

    過活動膀胱は圧倒的に女性が多いのですが、男性にも見られます。男性の場合は前立腺肥大に引き続く過活動膀胱が多いため、前立腺の治療を先行させます。一晩に3回以上トイレに起きると睡眠が障害されます。翌日眠くて困るというような場合はきちんと治療してみたほうがいいと思います。

    もう一つ講演がありました。あけぼのクリニックの田中元子先生の講演です。ビタミンDについての話でした。ビタミンDは以前はカルシウムのこと、骨のことがメインでしたが、最近は免疫を活発にしてインフルエンザを減らすとか、心臓や腎臓にも保護的に作用するという良い働きが次々と明らかになっているというお話でした。まさに私が取り組んでいる分子栄養学の世界の講演でした。

  • 足のむくみの原因について

    高齢の患者さんの訴えで多いのが、足がむくむというものです。むくみを起こす原因はいろいろあります。まずは心不全。高血圧や心房細動などの罹患歴が長いと心不全になってきます。次第に足がむくみます。心臓弁膜症で弁の逆流がある場合もむくみを起こすことがあります。採血でBNPの検査値が高ければほとんど決まりですが、はっきりしないときは心エコーをして心機能を確かめます。ただ、エコーで見た心機能が保たれていても心不全という場合があります。拡張不全といいます。高齢者には多く認められますが、循環器を専門にしていないとなかなか診断がつきません。

    次に、腎機能低下。腎不全で足がむくむというのはよく聞きますが、実際には軽度低下ではたいしてむくみません。採血でクレアチニンなど腎機能を見れば診断がつきます。肝不全(肝硬変など)でむくむこともあります。これは、採血でタンパクやアルブミンの低値があれば確定します。このように、肝臓、心臓、腎臓などが原因でむくむ場合はたいてい採血で診断がつきます。問題はこう言ったデータに異常を認めないときです。

    そういう場合に注意しないといけないのは足の静脈に血栓ができてしまい、足に行った血液が心臓に戻れなくなっている状態です。深部静脈血栓症といいます。これも循環器の病院では比較的見逃しなく診断できます。それ以外で多いのは足のリンパの流れが悪いというものです。リンパ浮腫といいます。足を高くしておくか、リンパマッサージなどが必要です。あとは、塩分の取りすぎや水分の取りすぎでむくむことがあります。夏場は脱水予防に水分をとるのは悪くありませんが、量が多いとむくみが出るのはある程度は致し方ないことだと思います。

  • 必要なビタミンは食品からでは取れない

    ビタミンなどのサプリを否定的に考えている人が結構います。栄養の専門家なども案外そういう立場の人がいます。それは、通常言われている一日の必要量(健康を維持するのに必要な最低量)の話だと思います。私が皆さんにビタミンを勧めているのはそういうレベルの話ではありません。

    例えば、この暑い夏の炎天下を日焼け止めも何も使わずに歩いたら日焼けするのは当然です。美白にはビタミンCが効くというのは皆さんご存じだと思いますが、毎日レモンを食べていれば日焼けしませんか?そんなことはないですね。日にあったったのに当たらなかったことにできるほどのビタミンCはレモンに換算すれば1日100個でも足りません。しかし、サプリを使えば100個分でも200個分でも取ることができます。しかも100個分のビタミンCでさえ10円か20円です。たったそれだけの投資で美白を保てるのに、ビタミンはサプリでなく食品からとるべきと考えますか?

    美白は一つの例ですが、当院に来られる全身倦怠、食欲不振、体調不良、ストレス障害、鬱など西洋医学でも一筋縄でいかない病態を根本から治すには大量のビタミンやたんぱく(アミノ酸)などを必要とします。健康を維持するために必要なビタミンと、病的状態から元気にするために必要な(治療としての)ビタミン量は10倍以上差があると考えられます。残念ながら厚労省もビタミンの必要性に関してはよく理解していませんので、保険ではほとんど切られてしまいます。幸いビタミン剤のサプリは安いですから自費ででも買って飲んでいただきたいと思います。中にはすごく高いものがありますが、それは無駄です。安いものを十分量飲むことのほうが意味があると思います。

    コウヤマリゾート

  • いい雰囲気を作るためには

    梅雨の中休みでいい天気でした。いかがお過ごしですか。私は、最近週末には意識的にリフレッシュに努めています。次の一週間に備えての充電です。本当は、このブログ用に写真を撮って歩いたりもしたいのですが、暑いので、日中で歩くのはちょっと厳しいです。ちょうど用事があって城南まで行ったので、その先の古保山(こうやま)リゾート(温泉)に行きました。オープンの10時頃に行ったのですが、結構な賑わいでした。この温泉はとても不思議な空間です。入り口はレゲー音楽が流れていて中南米の雰囲気なのですが、ディスプレーはバリ島のリゾート地みたいです。そして、私が感動するのはお客さんが何人入っていてもとても静かなことです。温泉には音楽はかかっておらず源泉からチョロチョロと流れる水の音しかしません。

    また、入っている人たちも大きな声を出したりせず、本当に静かにリゾート感覚の温泉に入っています。うぐいすの声や風が木を揺らす音しか聞こえません。もちろん温泉は源泉かけ流しですから塩素の匂いはせず、心からリラックスできます。おそらく、経営者の方針がしっかりしていることと、その方針を実現するために建物の雰囲気や調度品の選び方など全てに気を使っているのだと思います。露天風呂の庭に生えている植物も無造作に生えているように見えますが、経営者の気を感じます

    このように「気を遣う」という言葉は日常用語ですが、それを目に見える形で見せてくれるのはさすがだと思います。リゾートという名前を冠するだけあると思います。当院も、リゾートみたいにその場にいるだけで心癒されて元気になるような空間にしたいと思っています。そのためには、クリニックの待合の雰囲気や職員の表情、声のかけ方など細部に渡って「気を遣いたい」と思っています。

    古保山リゾートの玄関まえ

  • フレイル(衰弱)について

    フレイルの勉強会に参加しました。フレイルというのはここ数年のはやりですが、加齢に伴い心身の衰えをきたすことを英語でフレイルティというそうです(https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html)。それを日本人の好きな4文字カタカナで表したものです。歳を取ると誰もが筋力など低下しますが、問題は病気で入院した時です。手術などを受けるとしばらく動けないし、食欲も落ちると途端に筋力が低下します。うごけると思ってもふらつきます。また、元気に退院してからも、家に帰ってみると1か月ほどたつと退院した時よりさらに体調は悪い場合が多いそうです。

    これがなぜか考えると、フレイルはおそらく胃腸機能が低下しているのが問題なのだろうと思います。退院すれば、食事は自分で何とかしないといけません。自分で作るか家族が用意するかです。栄養士もいませんから、食べたいものを食べたいだけしか食べないと思います。そうすると、高齢者の場合、口当たりのいいうどん、そうめん、ご飯に漬物みたいな炭水化物に偏った食事になると予想されます。圧倒的にたんぱく質が足りません。筋肉はタンパク質ですから、肉や魚を食べないと筋肉がやせ細るのは当然のことです。

    今日の漢方セミナーではフレイルに人参養栄湯が有効という話でした。人参養栄湯は胃腸機能を高めるため、食事が入るようになります。その結果、フレイルが予防できるようです。一方、栄養そのものについて考えると、やはりたんぱくが一番大切ですから、歳をとっても肉や魚をしっかり取ってもらいたいのです。あっさりしたものしか受け付けないという場合、プロテインがおすすめです。ココアみたいに水や牛乳で溶かして飲むだけですが、必要なたんぱくが簡単に取れます。コレステロールの心配もありませんからたっぷりとって大丈夫です。