むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 私は今の仕事が天職です

    3.11、東日本大震災から9年です。あの日のことは鮮明に覚えています。当時私はNTT病院(今はくまもと森都総合病院)で働いていました。午後の外来で患者さんとのんびり話したりしていました。と、その時、病院のロビーにあるTVで地震の速報が入り、大騒ぎになりました。実はその日の夜に、NTT病院をやめてその年の4月から桜十字病院に異動する契約書にサインしました。大変な日に門出となりました。縁起が悪いかもと思いながらの転職でしたが、私の思い描いたとおり、桜十字病院ではたくさんの経験を積み、優秀なスタッフに恵まれて開業に必要なスキルを身につけることができました。

    今日は熊本の公立高校入試だったそうです。当院向かいの東稜高校でも入試があっていました。昼に往診に出かけようとしたらクリニック前にお迎えの車が大渋滞でした。ご苦労さま。みんな志望校に合格するといいですね。入試というのは人生の大きな分岐点です。ただし、合格すれば吉とは限りません。通ったのが第一志望でなくてもそこでの生活が充実し、いい友達に恵まれれば、一生の宝ですからどこに進学しようと心配いりません。

    昨日のブログで、資格を足かせにしてはいけないと書きました。私たち医者も国家資格ですから同じことです。せっかく頑張って医師免許をとったけど、医者は自分に向いていないという人が少なからずいます。そういう人は、厚生技官になったり保健所や県庁の保健・公衆衛生の仕事をする場合があります。基礎研究で一生学者として培養細胞や遺伝子の実験をする人もいます。その世界に入ったのはなにかの縁です。広く視野を持つことで自分に適した仕事がきっとあるはずです。資格を使わなくてもそこで出会った友人や恩師との縁を大切にすれば道は開けるでしょう。私の場合は、毎日大勢の患者さんに来ていただいて「おかげさまで元気になりました」といっていただけることが何より幸せです。このコロナ不況の中、今日も大勢の患者さんに来ていただいて、逆に私のほうが勇気と元気をいただきました。もらった元気は真心を込めて100%患者さんにお返しします。皆さんに健康で幸せになっていただきたい、これが当院の経営理念のその1です。

  • 資格をを足かせにしてはいけない

    職場のストレスで急に仕事にいけなくなったと言って来院される方が後を絶えません。しばらく休職して元気になって復職する人もいれば、結局辞めてしまう人もいます。感覚的には五分五分です。パートの人とか、派遣の人などは案外かんたんに退職して翌月には次の仕事についています。転職が必ず成功するわけではないのですが、職場の上司の顔を見ただけで気分が悪い、などと言いながら何ヶ月も退職もせず復職もしないで悩んでいる人より、よほどいさぎよいと思います。なかでも資格を持っている人はその資格にこだわるので、転職がうまくいきません。うまく行かなくしているのは、せっかくとった資格を使った仕事をしようという自分の思い込みや勝手に決めた足かせのせいです。

    いちばんどうしようもないのが学校の先生(特に公立校の先生)です。仕事で鬱になってもずっと学校の先生にこだわります。転勤(転校)したくても、校長先生とか教育委員会に権限があるので自分の思うように異動できないのです。実力さえあれば私立校に転職するもよし、塾を開業するもよし、YouTubeでカリスマ先生として授業をネット配信するもよし。学校関係でなくても普通にサラリーマンに転職するてもあります。それができないのは資格を持っているという足かせのせいです、本来は資格というのは足かせではなく、その人の人生を豊かにするアイテムの一つのはずです。そこを、勘違いしている人がいかに多いことか。

    看護師や介護士さんも資格があれば今の時代引く手あまたですが、どこに行ってもうまく仕事ができない人がいます。それは、職場が悪いのではなく、その仕事がその人の天職ではない(向いていない)可能性があります。占い師ではないですから、診察の際に「あなたにその仕事はあってないよ」とはなかなか言えません。しかし、そう思うことはしばしばです。人生、寝ている時間を引いたらほとんどの時間を職場で過ごします。その仕事が自分に向いていない、楽しくない、憂鬱だ、というのなら、大切な人生にとって大変な無駄です。もっと自分の情熱を傾けられる仕事がないか、よーく考えてみたらどうかと思うのです。世の中には自分が知らない仕事が山のようにあるんです。

  • 生き残りをかけて変化する

    日曜も天気に恵まれました。クリニックの駐車場に芝生があるのですが、開院して以来一度も手入れをしていなかったので、植木屋さんに頼んで芝刈りをしてもらいました。端から端まで50m位あるので、大変です。電動の草刈り機で刈ってくれるのですが、植栽もあるのでそれを傷つけないように芝だけを手入れするのは相当神経を使います。結局、刈り取った芝だけでトラックいっぱいになりました。私は、芝刈りをしてもらっている間、クリニックの往診用の軽自動車をワックスがけしたり伝票の整理をしたりして過ごしました。春の陽気の中洗車したりしてのんびり過ごすのはなんて幸せなんだろうと思います。

    私は、伊勢隆一郎さんのメルマガを購読しているのですが、今回のコロナ騒ぎで多くの企業が大変な苦難に遭遇しているという話題です。苦難は始まったばかりで、これからまだまだ続くと思います。リーマンショックも東日本の震災や熊本地震もなんとか乗り越えてきた企業も、今回ばかりはどうにもならない、そんな状況があちこちで聞かれます。先日も書いたように地球に大隕石が落ちて恐竜が滅んだように、今まさに時代の大転換期を迎えています。進化論を書いたダーウィンが言うように、生き残るのは変化に強いものだけです。私たちは、今これ(コロナ騒ぎ)を機に変わらなければ生き残りません。

    どう変わるか。私は、クリニックの運営に関して在宅(訪問診療や訪問看護)のウエイトを更に高めると決めました。先程の伊勢隆一郎さんのメルマガにも同じことが書いてありました。どの業種も店舗を構えて客を待つ時代は終わります。自分から出ていかないといけません。レストランならデリバリーに力を入れる。美容師や鍼灸マッサージ師なども訪問サービスの時代になります。なぜなら、今年は通信規格5Gが始まり、テレワークで在宅勤務が当たり前になるからです。新コロはこの時代転換の起爆剤となっただけで、こうなることはすでにわかっていたのです。後は、それに気づいていち早く動けるものだけが生き残るのです。お互い頑張りましょう。生き残りをかけて考えましょう。そして、いち早く実行しましょう。

  • 訪問診療に力を入れています

    新コロ騒ぎで中国では経済活動が1ヶ月も止まっており、大変な状況みたいですが、上海では久しぶりに青空が見えたと報道されていました。中国の発電所の石炭消費も3分の2くらいにおちており、大都市での交通渋滞も7割減ということです。経済はとんでもない事になっていますが、公害が一時的にせよ改善しているのは皮肉な話です。当院には、コロナが怖い、ニュースを見ているとのどが詰まったようになって息が苦しいと来院されます。神経症です。しかし、私が本当に怖いのはこれから数ヶ月で起こってくる経済崩壊です。小売業や旅行業、ホテルやレストランなどはこれからの資金繰りが相当厳しくなると思います。病院などは不況に影響されにくい業種と考えられているのですが、今回はコロナにうつりたくないという受診びかえからかなり外来数が減少しています。大変なことです。

    病院経営もボランティアではなくビジネスです。私にとっては患者さんも大切ですが、職員とその家族の生活も大切です。安定した収入がないと医療のクオリティーが保てません。そう考えると、当院の進むべき方向は訪問診療の拡充です。訪問診療とは、来院できない高齢者のところに定期的に往診するものです。すでに相当数の患者さんと契約していますが、来るか来ないかわからない外来患者さんを待つより、計画的に患者さん宅へ出向く訪問診療の割合をさらに重視したいと思います。

    当院では訪問看護もやっています。看護師さんだけで患者さん宅へお世話に出向くサービスです。場合によっては点滴をしたりもします。歳をとって、いろいろ病気が出てくると病院との縁が切れませんが、本当は病院からなるべく離れたほうがいいと思います。なぜなら、ついでに撮ったCTで切らなくていいがんが見つかったりするからです。歳をとったら、自覚症状もない小さなガンは見つけないことです。見つければ放っておけないので、手術したり抗がん剤を受けたりして、体力が落ちて、そのまま長期入院生活です。高齢者の場合、残された貴重な一日一日をいかに幸せに過ごすかが大切です。当院では、訪問診療と訪問看護で動けなくなった患者さんも快適な自宅で最期まで過ごせるようお手伝いいたします。

     

  • 人生ゲーム「コロナ肺炎流行で1回休み」

    インフルエンザのシーズンになると年に数人ほど、インフルエンザに罹ったけど、治ったかどうか検査してほしいと言われます。そんな事はできないと断ります。インフルエンザの検査キットはインフルエンザかどうかを診断するために最適化されています。臨床検査の基本として感度と特異度があります。感度が高いと僅かなウイルスでも陽性に反応しますが、本当は陰性なのに間違って陽性になる偽陽性が増えてきます。逆に特異度を上げると陽性と出たらほぼ間違いなく陽性ですが、陰性と出ても実は陽性だった(偽陰性)という場合が増えてきます。このバランスを最適化して臨床で応用するわけです。

    そこで、診断キットは診断に適している(陽性を判定する)のですが、治ったかどうか(陰性)を判定するためのものではありません。今回の大阪のコロナ肺炎患者さんで一旦PCR検査で陰性で治ったと判定されたのにしばらくしてまた陽性反応が出たと騒ぎになっていますが、臨床検査の常識ではそんなこと普通にあります。偽陰性だったということです。騒ぐのは検査の基本がわかっていないからです。

    クリニックは朝から開店休業のような閑散とした状況でしたが、夕方までに通常と同じ程度の患者さんに来ていただきました。飲食店や旅行業者など更に厳しい状況と思います。とんでもない不況が始まりました。嘆いても仕方ありません。今後の展開をじっくり考えないといけません。考える時間はたっぷりあります。仕事は暇ですから・・・職場の掃除をしたりスタッフと忙しいときにはできないような話し合いをしたり、有意義に時間を使いたいと思います。人生ゲーム、サイコロを振ったら「コロナ肺炎流行で1回休み」みたいな一時休止状態。

    サクラマチの屋上