むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • グレイの解剖学

    グレイの解剖学というのは、医学部に入ってすぐに勉強が始まる解剖学の有名な教科書です。解剖学を学んで初めて、医学の基礎中の基礎である体の構造を理解します。グレイのテキストはとてもリアルなカラーイラストで世界中で使われています。アマゾン・プライムビデオでアメリカのドラマを検索していたら「Grey’s Anatomy」というTVドラマがあったので、見てみました。この番組は、アメリカで外科の研修医が救急病院で研修を始めるという医療ドラマです。見ていると、自分が研修医だった頃を思い出します。まるまる48時間働きずくめです。研修医は奴隷のように働かされます。医者はいい仕事のように思われていますが、大変な肉体労働です。このドラマを見てもわかると思います。

    そんな日々もあっという間に過ぎて、気がつけば大学教授は自分より年下の時代になりました。いま、私の仕事といえば、4畳半くらいの診察室に一日ずっと座ってパソコン入力です。全然動くことがありません。走り回っていた研修医の頃とは大違いです。

    先日から募集してた医療事務を採用しました。一名増員です。医療事務は受付、会計だけが仕事ではありません。私が入力した電子カルテの記録から国が定めた診療報酬の規定に照らし合わせて適切に医療費を計算しないといけません。診察が終わってから会計までに時間がかかるのは、このプロセスです。しかも、患者さんが会計を済ませた後も、医療行為からレセプト(診療報酬請求書)を作成して、国保や社保に提出しないといけません。患者さんの負担はかかった医療費の1割から3割ですから、残りの7割から9割の金額を国の保険制度に請求する仕事があるのです。ミスしたら国は払ってくれません。医療行為としてはすでに終わっているので払ってくれないとまるまる損になります。医療自体が悪徳でも儲け主義でもなく、100%患者さんのことを思って行ってもレセプトを正しく作らないと国は減点してくるので、医療事務は病院の大蔵省としてとても重要な部門なのです。

  • 誤解しやすい番組

    「ためしてガッテンで言っていたので、おにぎりを食べました」と患者さんが言うのですが、残念ながら昨日のガッテンは見そこないました。勉強会に参加していたためです。しかし、運良く昨日の番組は録画していたので、今日帰宅してから見てみました。内容は、深夜のどか食いをやめましょうという話です。帰宅が遅いお父さんたちはお腹が空いているものですから、深夜にガッツリ食べてしまいます。あとは風呂に入って寝るだけです。そうすると、血糖は一気に上るのですが、それに引き続いて血糖を下げるためにインスリンが分泌されるため、深夜気づかないうちに低血糖になるということです。低血糖は認知症や心血管イベントのリスクとなります。

    そこで、番組で言っていたのは「間食のすすめ」です。夜遅く帰宅してご飯を食べる習慣の人は、遅い夕食の前におにぎり一つ程度の間食をとりましょうという話です。しかし、おにぎりを食べればいいという単純な話ではありません。夕方おにぎりを食べておくと、空腹が紛れるため<深夜にどか食いしないで済む>というところが大切です。要は「分食することで結果的に炭水化物制限しやすい」ということであって、おにぎり一個分のカロリーを余分にとっていいと言うことではありません。

    しかし、番組を見た人は自分に都合のいい部分だけ頭に残るため、冒頭のように「おにぎり食べました」とその部分だけ実行してしまうのです。もっと番組は誤解を与えないように構成すべきだと思います。無駄にクイズ形式にしたりすると、誤った情報があたかも正解だったかのような錯覚をする場合もあります。せっかくいい番組なのですが、このガッテンの番組構成はいつもイマイチだと感じます。

  • 耳鳴りの治療

    耳鳴りで困っている人はかなりいらっしゃいます。耳鼻科で相談しても、年のせいだと言われることが稀ではありません。漢方を専門にしているとこのような人からもちょくちょく相談を受けます。実際、耳鳴りの治療は非常に難しく一筋縄では行きません。

    第一に加齢から来た場合は聴力も低下しており、セミが鳴くようなジージーとかワンワンとか比較的低い音が聞こえるようです。このような耳鳴りはかなり難治です。一方、若い世代で見られるのはキーンという高音の耳鳴りです。これは、多くの場合ストレスと関連しています。耳鼻科で検査すると突発性難聴と言われてステロイド治療を受けて治る場合もあります。このように、耳鳴りは音の性質により治りやすいものと治りにくいものを区別できます。

    漢方では高齢者の耳鳴りは腎虚と言います。八味地黄丸などが処方されます。若い人のキーンという耳鳴りは肝鬱に関連します。加味逍遙散、抑肝散、四逆散などを用いて治します。このように病態によって治療薬を使い分けます。この分野ではもしかしたら西洋医学より漢方のほうが治療理論が進んでいるかもしれません。同じ理屈で若い世代のキーンという耳鳴りは西洋薬で安定剤や抗てんかん薬などで気持ちを落ちつければ取れる場合があります。漢方にとらわれる必要はありません。漢方の理論で西洋薬を吟味するという治療法もあっていいと思います。むしろ私の通常の治療はそのような感覚です。西洋薬を漢方的解釈で使ったりします。

  • 法人化へ向けた打ち合わせ

    今日は司法書士さんや社労士さんとあっていろいろ打ち合わせました。来年には医療法人化するので、それに向けた準備が必要となります。司法書士さんには法人立ち上げに必要な書類作成をしていただき、無事保健所に提出していただいています。許認可に一定の時間がかかりますが、おそらく問題ないでしょうということでした。法人化すると、職員とは雇用体系がかわります。今は私が個人事業主として雇っているわけですが、法人化したあかつきには法人(会社)と雇用契約をする形になります。職員には、会社のためにしてもらいたいこと、してはいけないことなどいろいろありますが、就業規則としてきちんと明文化しておく必要があります。

    以前、当院でも就業規則を作ろうと思って取り組んだことがありましたが、あまりに面倒な作業で途中で止まっていました。しかし、今回は会社組織として呈をなすためにも完成させなくてはいけません。おりしも、働き方改革などで新しい法案が次々と可決されているため、そういった内容を就業規則に盛り込まないといけないそうです。これは、会社のためだけではなく、働く側の権利を守るためでもあります。そして、会社組織として社会の法律やモラルに反しないきちんとしたルール作りが必要です。

    そうはいっても、私は医療のことしかわかりません。ここは、社労士さんというプロの力を借りることにしました。これまで、なあなあの関係で職員さんたちの自主的な動きに期待して見守っていたところがありますが、私自身が理事長になるという意識もあらたに、その過程で学びと実践と努力なしにはきちんとした組織づくりはできないと教えられました。

  • 大掃除

    年の瀬が近づくと大掃除をする所も多いと思います。日本では昔からの習慣で、きれいにして新年を迎えたいという気持ちから大掃除をするのだと思います。アメリカにいた頃はそんな習慣はなかったので、日本独特のものかもしれません。ただでさえ、慌ただしい師走の中で、時間もかかって大変な習慣です。当院はとりたてて大掃除をすることはありませんが、この日曜日は業者によるワックスがけでした。数ヶ月に1回の定期清掃です。業者の入っている間、私は何をするわけでもないのですが、日曜出勤で立ち会います。今回はワックスがけが終わるまでの間に、1ヶ月分の領収書の整理、帳簿付け、来週に控えた東洋医学会での自分の発表スライド作成、他の先生の発表に関する配布資料の準備、学会で使う領収書や芳名帳の準備など日頃できないとこを一気に済ませました。作業中はあらゆる情報をテーブルに集約するため、iPad2つ、MacBookAir1つ、ThinkPad1つとマルチディスプレイのようにならべての作業です。さながらデイトレーダーのようです。

    ラジオでちょうど大掃除の話題を話していました。冷蔵庫も大掃除しましょうという話です。そのためには、まずは冷蔵庫が空っぽになるまで食材を食べつくしましょう、とのこと。たしかに冷蔵庫には古くて使えそうにない調味料とか、いつ入れたかわからない冷凍食品が底の方に眠っていることがあります。全部食べ尽くすことこそが冷蔵庫掃除にとってのキモです。食べられないものは捨てて、食べられるものは鍋料理などをして使ってしまうと良いでしょう。年末にお節料理の材料を買ってくるとまた冷蔵庫はパンパンになりますから、空っぽにするなら今がチャンスです。

    最近、クリニックの掃除用にルンバを買いました。ご存知「お掃除ロボット」です。クリニックはバリアフリーで段差はありませんからルンバでの掃除に向いています。床においてあるゴミ箱などをよけて、帰宅する際に掃除開始のボタンを押すだけです。あとはルンバが待合の椅子の下や点滴用ベッドの下までどんどん掃除してくれます。朝出勤してみると、きちんと定位置に戻り、充電器にドッキングしています。たまに迷子になって力尽きているのを見ると、なんともいとおしく感じます。