むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 在宅医療の時代

    数日前の新聞によると、日本の人口は急激に減少しています。団塊の世代が後期高齢者になるとこの先人口減少は更に加速度的に進むと予想されています。日本の人口は、戦前やもっと前の時代に戻る感じですが、絶対的に異なる点があります。それは、少子高齢化です。圧倒的に老人人口が多いのです。

    我々医療者サイドとしては、すぐそこに来るべき超高齢化に備えないといけません。病院に座っていて患者さんが来てくれた時代は終わりです。車の免許も返納して来院したくてもできない高齢者が溢れてくることでしょう。厚労省はそれに備えて我々開業医には在宅診療をするよう仕向けてきています。逆に、それを避けて行くことはできない時代です。当院でもすでに50名を超える在宅患者さんの訪問診療を行っています。

    子供さんやお孫さんたちが仕事をやりくりしておじいちゃんおばあちゃんを病院に連れて行かなくても、通院できない理由があれば訪問診療を受けることができます。通常は2週間おきに定期的な訪問診療を行います。薬局と契約すれば、もらった処方箋の薬を自宅まで届けてもらったり服薬管理をしてもらうこともできるのです。通院困難で家族にしわ寄せが来ていてお困りならまずはご相談ください。

  • 短期処方にも理由がある

    鹿児島の方は大雨で大変みたいです。このような前線が雨を降らす位置などはほとんど運みたいなものです。運が良くても悪くても、他人事みたいにニュースを見ていないで、自分のところに来たらどうなるだろうかとイメージして対策することが大切だと思います。いろんな状況をシミュレーションすることは大事ですが、小説家のような空想力を持ち合わせない私たちでも、このような自然災害の際にそのようなことが自分の町で起こったらどうしようと想像するのは難しくありません。いい機会だっとおもって備えましょう。

    風邪などを除けば、私の処方はたいてい2週間から4週間分です。ところが、なかには1週分にする場合があります。これは、眠れないとか、気分の落ち込みがひどいとか、いろんな理由で長くほおっておけない場合です。不眠は別に1か月後再診でも構わないのですが、眠れない当人にとっては毎日夜が苦痛でたまりません。そこで、強い薬で眠れるようにしてあげることもできるのですが、翌日起きれないとか、仕事中眠くて困るという場合もあります。ちょうどいい効き方にするにはせいぜい1週間後くらいには見せてもらって、薬を調整します。気分の落ちこみも1週間薬を使うとかなり改善するのですが、なかには薬が合わない場合もあるし、飲み始め数日の副作用で断念して自己中断する方もいます。そのまま薬を飲まずに何日たっても改善しないと思われるので、最初の1週間ぐらいはこまめに来院いただきます。

    最初に患者さんを見たとき、この処方で行けそうだと頭に浮かぶのですが、この薬で副作用が出そうな人かどうか、体質や胃腸の状態や薬を言われた通りきちんと飲んでくれるかどうかなどいろいろ深読みして最終的に処方を決定します。漢方でいう「証をみる」ということです。そこまでじっくり考えずに教科書的な理論だけで処方すると治療成績がガクッと落ちます。ここは、経験と勘がものを言います。

     

    今の季節はゴーヤがおいしいですね。私は毎日のようにゴーヤチャンプルを食べます。なぜか私はソーキそばとかゴーヤチャンプルなど琉球料理が大好きです。ゴーヤは種を取るときに白い綿みたいなところは残したほうが栄養価もよく味もいいです。ビタミンCたっぷりです。

     

  • 大雨に注意

    梅雨前線が活発です。今日(火曜)は雨が上がって午後からは患者さんが集中して大変な待ち時間になってしまいました。体調の悪いところ待っていただき大変申し訳なかったと思っています。テレビでは避難警報レベル4だから町全体数万人に避難しろとか、命を守る行動をしてくださいとか言っていますが、こういう大げさな表現はたまに言ってこそ効果的です。毎日のように聞かされると、オオカミ少年のようにみんな本気にしなくなります。難しいところです。調べて見ると、レベル4以上の避難警報は自動的に休校とはならいようです。これはおかしいですね。休校は学校や自治体単位で決めている様です。街全体が避難しろというのなら学校が休みでないのは矛盾します。こういう矛盾が次第に災害警報を信じなくする原因だと思います。

    話は変わって、たけしの家庭の医学を見ていたら、謎の腹痛の診断をする話があっていました。どの病院で検査しても異常なしだったとのことです。最終的に大学病院の総合診療科で診断がついたわけですが、痛かったのはおなかではなく肋骨だったとのこと。日頃の生活での体のひずみが肋骨と軟骨の境目にひずみをきたして痛みになったということでした。結局、整形外科でMRIをとったり消化器内科でお腹の検査をしても診断がつかなかったということです。このTVであった症例ではどうして最初に痛かったところを触ってみなかったのだろうと思います。

    しかし、このような例はいくらでもあります。私が研修医だったころ、整形外科から腰痛の若い女性患者さんが血液内科に送られてきました。腰痛患者さんの貧血がひどいという理由です。私は当時血液内科にいて、上級医の指示で骨髄検査をしに外来に呼ばれました。検査のついでに一通りの診察をしたところ、乳房から血が出ていました。結局、乳がんの転移による腰痛でした。このように、全身の診察を怠るときちんとした診断に至らないと、心から感じた一例でした。

     

  • 腰痛治療のプロは問診が命、だそうです

    NHKのプロフェショナルという番組があります。その道の達人を紹介したものです。先日、腰痛治療の達人が紹介されていました。確か徳島大学の先生だったと思います。腰痛の治療ですから、もちろんMRIも撮りますが最も大切にしているのは問診だそうです。どうして痛くなったのか、どのようなときに痛むか、どんな姿勢で痛みはひどくなるか、などあらゆる角度から質問しながら痛みの原因を探ります。そして、問診の結果どのあたりにどういう病変がありそうだとあたりをつけてから最後にMRIを確認するそうです。

    そうすると、よく患者さんのことを知らずにMRIだけ見て診断した場合とは全然違う病変が見つかるようです。MRIのいいところは、ものすごく病変がよく映ることです。しかし、その反面、見つけた病変(例えば脊椎の変形で狭いところがあるという所見)が患者さんの訴えている症状の原因かといえば、必ずしもそうでない場合が多いのです。したがって、腰痛のため手術をしたけど結局治らなかったという人が半分(50%)くらいの割合でおられるのはそのためです。医学用語で偽陽性といいます。陽性所見が間違いだったという意味です。患者さんは、痛みの原因がMRIをとってわかってよかったと思うかもしれませんが、その狭いところが本当に悪さしているかは、かなり慎重に判断しないといけません。

    当院では鍼治療もしていますが、腰痛に鍼はよく効きます。しかし、鍼をしたからと言ってMRI所見が変わることはないのです。狭いところは狭いままです。それなのに痛みが取れるということは、狭く見えていいるところが症状と関係なかったということです。このように、MRIという素晴らしい検査器具を手にした今でさえ、問診が最も大切なのです。

  • 医療はビジネスか?

    金曜の夕方は森都総合病院の連携の会に参加しました。森都総合病院は以前はNTT西日本九州病院と呼んでいました。その前は逓信病院でした。NTTから完全に独立して立派な民間病院へと成長しました。以前はお役所的で採算度外視していたところがありましたが、今ではきちんと医療に貢献しつつ赤字にならないよう経営努力もされており、立派なものです。それにしても、公的な施設はどうして赤字垂れ流しで許されるのでしょうか。まっとうな仕事をして赤字になるようなら、医療制度が悪いわけですが、実際はおそらく経営努力が足りないのだろうと思います。

    医療は実際やってみると本当にビジネスとは縁遠い世界です。値段設定は厚生局が定めた公定価格です。勝手に割り引いたり値段を変えてはいけません。しかも、保険証を使って国や企業の保険と個人負担を分担するため、社保や国保のルールを守らなくては1円も入ってきません。広告にも厳格なルールがあり、うかつにCMや新聞などに好き勝手な広告を出すこともできません。すべて許認可制度の下規制されています。

    そういう中で、今のところ唯一といっていいほど自由にできているのが、ブログです。ブログは広告と違って不特定多数の人の目に触れる仕組みではなく、読みたい人が自分の意志でアクセスして読んでもらっているので、比較的自由度が高くなっています。それでも、誇大な表現や誤解を招くような表現は許されません。当然ですが、医療という世界は頑張ればなんとか赤字は出ないがたいした利益も出ないという共産的な世界なのです。