むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 炭水化物は胃で消化されない!

    いつもこのブログを読んでくれる患者さんが、私が書いたことを自ら実践して感想を教えてくれます。最近、炭水化物ダイエットにも挑戦されました。その結果、以外にも胸焼けが良くなったとおっしゃいました。不思議なことです。炭水化物の摂取量を減らすとなぜ胸焼けしないのか?その方は以前は結構強い逆流性食道炎の薬(プロトンポンプ阻害剤)が欠かせなかったのに、今では胃薬がほとんどいらなくなったそうです。どうしてそうなるのか、理屈を考えたところ、面白いことに気が付きました。炭水化物を消化分解するにはアミラーゼという酵素が必要なのですが、アミラーゼは胃の中にはありません。したがって、胃の中では炭水化物は消化できないのです。どうりで炭水化物が胃にもたれるわけです。

    そう考えると納得いくのが、お腹の調子が悪かったり、お酒を飲みすぎて嘔吐すると、吐物には麺とかご飯粒が見えますが、刺し身などはどこかに消えてしまっている事です(変な例ですいません)。消化のスピードが蛋白と炭水化物で確かに違っている証拠です。よく噛んでで食べましょうというのは、噛むことで唾液に含まれるアミラーゼで炭水化物が消化されるからです。ご飯も時間をかけてかんでいるとだんだん甘みが出てきます。これは、炭水化物が消化されて糖に変わったからでです。

    実は、離乳食もおかゆなどご飯(米)を乳幼児に食べさせるのは消化が悪くてよくないようです。すり身の魚とかミンチ状にした肉などタンパク質のほうが消化がよく離乳食に向いているようです。もし離乳中のお子さんがおかゆのような炭水化物の離乳食に食いつきが悪いときは、ぜひ肉や魚を柔くしてあげてみてください。ぜんぜん違うと思いますよ。体が欲しているものは本能が知っているのです。

    出水神社(水前寺公園内)にて

     

  • 治療法は絶えず進化する

    ある疾患を治すときに、教科書的にはAという薬剤が有効であるとわかっているとします。しかし、A薬は少し副作用があって使いにくい。かわりにBという薬もあるが、効果はAにはかなわないとします。ただ、副作用がAより少ない。そういうときにどのように薬剤を選択するか、その実践に関してはどこにも定説はありません。そこで、日々研究です。副作用には目をつぶっても効果の高いAを処方すべきか、Aを処方して患者さんが副作用で飲めなかったら治療に失敗するが、その確率は何割くらいか、色々考えます。患者さんごとにA薬で行けそうか、無理そうか考えます。

    そして、さらに組み合わせも考えると、Aを通常の半分量にして副作用が出にくくしつつ、Bを併用する。いいアイディアです。別のストラテジー(戦略法)は、しばらく副作用の少ないB薬で治療して、ちょっと状態を落ち着かせてからおもむろにBをAに変える方法。これもいいアイディアです。しかし、治療ガイドラインやマニュアルにはそのようなさじ加減は書いてありません。画一的な治療のみです。

    しかし、私は、このガイドラインを金科玉条のように取り扱う風潮に疑問を感じています。そして、ガイドライン通り一辺倒の治療でなく、患者さんごとに最も効果的で副作用の少ない治療法を模索しています。使う薬の種類もたくさんあるのでその組み合わせを考えると治療法は無限大です。日々進化しています。

    2月22日 気温22度 湿度33% 何となく撮影

  • 心臓とケトン体

    今日は診療が終わってから心不全の勉強会に参加しました。講師は機能病院の水野先生です。テーマは、心臓のエネルギー代謝の話でした。ちょうど私が興味を持って勉強しているケトン体の話でした。ケトン体は糖質制限(炭水化物ダイエット)を厳しくすると体の脂肪分が分解されて出てきます。通常は飢餓状態で脂質分解からエネルギーを作ると発生すると言われており、体の調子が悪いときの指標と考えられています。糖尿病の状態が悪いときや嘔吐下痢などで数日ご飯が食べられないようなときにケトン体はみられます。

    しかし、このケトン体がいい働きをしていると注目されています。特に脳のエネルギーとしてケトン体は大変有用で、糖分を取ると眠くなりますが、ケトン体では頭脳明晰となることが知られています。ファスティング(絶食・断食)の最中に頭が素晴らしく冴えるという話がしばしば聞かれますが、これはケトン体が脳で代謝されているときの症状です。

    それと同じようなことが、心臓でも起こるそうです。心臓が動くときに必要なエネルギーは糖質よりもケトン体が大事だという話でした。そうすると、心不全治療にも糖質制限、ケトン食が有効である可能性があります。講演いただいた水野先生に尋ねたところおでんは心不全にいいかもしれないとのことです。糖質が少なく蛋白と脂肪が多い食事だからです。それ以外にもケトンを有効利用するにはココナッツオイルやアマニオイルもいいし、それを体内で代謝するにはビタミンB群やコエンザイムQ10、カルニチンなどが必要となります。こういう視点で考えると、心不全治療のメソッドが新しく見出される日も近いと思います。

  • 介護保険主治医意見書

    介護保険の利用にはまず、要介護認定を受けなければいけません。どの程度の介護が必要かの度合いを判定するものです。通常は65歳以上で寝たきりや認知症の場合介護認定が受けられます。40歳から64歳までの比較的若い世代でも、がん末期状態や脳血管障害、パーキンソン病などがあれば申請できます。自分の親や家族に介護保険が使えるのかどうか知りたい場合は、地域包括支援センター(近所のささえりあ)または区役所にご相談ください。

    今日は、7時ごろに何とか仕事が終わりただちに医師会の会合へ出掛けました。会では介護保険審査で必要な主治医意見書に関する研修会でした。介護保険認定調査では我々が書く主治医意見書と、訪問調査からなっており、最終的に認定審査会での話し合いで要介護度が決定されます。調査員が家庭にお邪魔して色々話をすると、不思議といつもは困ったおじいちゃんおばあちゃんもこの時ばかりはしゃきっと受け答えができてしまって、認知症はないのではないかと言う印象を与えてしまうことがあります。そうすると、実際よりも軽い要介護度しかもらえません。

    そういうときに大切なのが、主治医意見書です。これは、認知度や寝たきり度などの実際を書き込むと同時に、どんな物忘れエピソードがあるとか、家族が介護に苦労している話を自由に書き込むスペースがあります。ここをいかに書き込むかで認定結果が大きく変わってきます。当院では、通常の外来診察で気づきにくい家庭での些細な失敗談(認知症を疑わせるエピソードなど)まで事細かにお伺いして丁寧な意見書作成をしています。家庭で介護に困っていたら、一人で抱え込まずに是非介護サービスの導入をお考えください。

  • 南極に行ってみたい

    昨日のマラソンの好天とはうってかわって、さむい雨の一日でした。たった一日の違いですが、昨日のマラソン大会は晴れてよかったですね。今日のような雨だったら、走るのも応援するのも大変です。ところで、昨日はもう一つ印象的なことがありました。それは、テレビで世界の果てまでイッテQ!でのイモトアヤコさんの南極登山の話題です。あまりに過酷な世界での登山は、バラエティーを遥かに超えています。あれだけの快挙をやってのける彼女の体力と精神力には本当に感動しました。

    番組を見て驚いたのは、南極がすでにアメリカの観光地と化していることです。南極に立ち入ること自体は人数などの規制があるため、さほど気軽なことでなないのですが、飛行機で行けること、行った先にはシャワーや食べ放題のビュッフェまで完備したホテルが有ること、そして、そのホテルのある場所から南極点まで更に飛行機で行けるということです。なんと南極点にはキラキラした丸いポールが立っており、記念撮影ができそうな(インスタ映えしそうな)スポットになっています。なんでそんなことになっているのかと思ったら、すぐそばにアメリカ基地があるのです。つまり、観光客が南極点まで飛行機で行けるのは、アメリカ基地への物資補給用の飛行機に乗れるということです。アメリカにとっては観光客が乗って飛行機代を出してくれたら一石二鳥です。なんと賢いことでしょう。

    そこまで南極が観光地化していても、平均気温はマイナス50度。過酷です。イモトは寒がりだと言っていたのですが、登山中には風がないと暑いと言っていました。人の体はそこまで気温に順応できるのかと、驚きました。私はニュージーランド南端にある街にセスナ機をチャーターして行った事があります。ここは南極基地へ物資を補給するところで、南極博物館もありました。マイナスの50度近い気温を体感出来る部屋も有りました。今日は仕事の合間にそういった南極のことを思い出しながら、一度は行ってみたいなと思いました。

    フレッシュネスバーガー。初めて食べました。口に入りきらないボリュームです。