むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 動悸の治療

    動悸は結構多く見られる症状なのに、治療を得意とするドクターは少ないように思います。それには理由があります。循環器内科(心臓病の専門家)と心療内科の2つをオーバーラップしているからです。循環器の先生は、心電図や心エコーなどで精密検査をしますが、検査で何も見つからないと、一気に興味を失います。「特に心配ないようですから様子を見てください」ということになります。患者さんは動悸がして困っているというのに、打つ手なしです。

    一方、心療内科にしてみれば、循環器の精密検査を受けてもらってからでないとどんな心臓病がひそんでいるかしれない、と心配します。現に、動悸を起こす心疾患として、心不全、心房細動、房室ブロック、期外収縮、甲状腺機能亢進症などなどいろんな可能性があります。それを除外しないで、ストレスのせいだなんていえません。その結果、動悸の原因に関してよくわからないままに内心ビクビクしながら治療することになります。

    私は大学病院で勤務していた頃に循環器内科外来で漢方外来を担当しており、心臓神経症をよく見ていました。いろいろ検査しても異常ないとか、手術はうまく行ったのに症状が改善しないような場合、患者さんが紹介されてきます。このように難しい動悸の症状も、細かく状況を問診すれば、結構症状を取ることができます。私の場合、抗不整脈薬も血圧の薬も使いながら漢方的あるいは心療内科的なアプローチを併用するため、幅広くいろんな動悸に対して対応しています。

  • 花粉症の季節

    花粉の飛散が始まりましたね。もう、鼻ぐす、目がかゆいなどいろんな症状が出始めています。これからゴールデンウィークくらいまでがつらい季節です。ヤフー天気予報などを見ると、花粉の量は非常に多いとでています。日本に住む限り花粉症は避けられません。花粉症の薬は大半が抗ヒスタミン剤という種類です。抗ヒスタミン剤は鼻水を止めたり目のかゆみを止めてくれるのですが、副作用が幾つかあります。いちばんが眠気です。昼間にボーとして仕事がはかどらなかったり運転に支障が来たりしますので、注意が必要です。眠気が強い薬の場合、朝を避けて寝る前に飲むようにしましょう。最近は新薬で効果は従来のものと変わらずに、眠気がほとんどこないものがあります。私も飲んでみましたが、眠くなりませんでした。運転などの業務がある場合、この新薬がいいと思います。

    他にも、口が渇くとか、めまいがするとか、そういう副作用があります。そういう副作用が困る場合、ステロイド点鼻薬がおすすめです。点鼻薬は使ってすぐに効くわけではないのですが毎日きちんと使えば次第に落ち着いてきます。薬局にある鼻閉用スプレーは鼻づまりに即効性があるものの長期に使うと副作用があるそうなので、使いすぎないようにしましょう。

    このような花粉症用の抗アレルギー剤は当院でも処方しています。軽めの薬から強いもの、副作用の少ないもの、漢方、点鼻薬など色々ありますので、お困りでしたらお気軽にご相談ください。

  • ロデオの季節

    いつも家ではインターネットラジオを聞きます。ラジコではなく、チューンインラジオ(TuneInRadio)です。世界中のラジオを生で聴くことができます。私が聞くのは留学中に聞いていたテキサスのヒューストンのFM局です。生放送ですから家にいるとアメリカにいる錯覚をおこします。ちょうど明日からヒューストン・ライブストックショー・アンド・ロデオ2018が始まります。ロデオと言えば、カウボーイが暴れ牛にのりこなすショーです。実はロデオは年中やっているわけで無く、毎年この時期になると約2週間の日程で開催される季節の風物詩なのです。これを見ると春が来ます。私もテキサスにいた時は家族づれで見に行きました。ライブストックというのは、家畜のことです。ウマ、ヒツジ、ヤギ、豚、七面鳥などいろんな動物がいっせいに会場に集まる為、ちょっとしたふれあい動物園みたいです。子供がまだ小さかったころに行ったいい思い出です。

    話は変わって、往診に使う軽自動車(ホンダNワゴン)を買いました。今の軽自動車はすごいですね。乗り心地も良いし、駐車場を探すのもカンタン。しかも装備が凄いです。今まで私が往診に使っていたフォルクスワーゲンと比べて、今度買ったNワゴンにはキーレスエントリー、ナビ、ワンセグTV, オートエアコン、バックカメラなど全部ついています。もちろん自動ブレーキも付いています。びっくりです。フォルクスワーゲンと値段はほぼ同じなのに、装備はあまりにも違います。今日から早速往診に使い始めました。当院での訪問看護にもこの車を使います。

     
    出水神社(水前寺公園内)
  • 体を冷やさないこと

    暖かくなったと書いたら雨で寒い日曜になりました。油断できません。日曜は午後から医師会で在宅医療の研修会があり、参加してきました。これからは入院せずに在宅で療養することを求められる時代です。もちろん、家族だけで支えようとすると、老老介護などの問題もあり無理してしまいますから、訪問看護や訪問介護のサービスを上手く利用することです。今日は、滋賀県でのとりくみと玉東町での取り組みの発表がありました。

    ところで、今日のように寒い日は体が冷えてしまいます。体を冷やすと免疫力が落ちて風邪を引きやすくなります。ガンに対する免疫も落ちます。まずは温めることが大切です。風邪をひくと熱が出ますが、これは免疫を上げてウイルスとたたかうために大切な体の反応です。解熱剤や総合感冒薬を使って熱を下げると免疫力が落ちるため、風邪が治りにくくなります。解熱剤を使った場合、風邪薬を使わずに放置した場合より治るのに時間がかかることがわかっています。

    よく夜中に熱が出たけど、そのまま寝ていたら朝には熱が下がったという話があります。これが、自然治癒力です。一方、昼間に熱が出てきて、きつかったから薬局で風邪薬をかって飲んだという場合、一旦は熱が下がるものの治りが遅くなるわけです。風邪を引いたらお風呂に入らないという人もいますが、お風呂でしっかり温まった方がいいと思います。実は葛根湯や麻黄湯なども体を温めて治す薬です。

    水前寺公園

  • 春が来た

    温かい週末です。陽射しは春そのものです。ちょっとしたおやつを持って近くの公園のベンチなんかに座ってみましょう。眩しい日差しを浴びると、体も反応します。目から入った光刺激で脳内のセロトニンが増えてきます。セロトニンが増えると気分が安定します。朝から気分が沈んで会社に行こうとすると体が重くてきつい、という場合、まずはカーテンをしっかり開けて部屋を明るくすることです。朝日を浴びることが治療につながります。

    また、朝の光をしっかり目に入れることで体内時計がきちんと作動します。睡眠にはメラトニンというホルモンが関係しているのですが、朝日を浴びるとメラトニンが止まります。そこから14-16時間後に再びメラトニンが出始めるということがわかっているので、昼まで寝てしまうとその日の夜再びメラトニンが分泌されて眠くなる時間が遅くなってしまい、だんだん昼夜逆転してしまいます。学生さんで朝起きられないので学校に遅刻してしまうという相談がありますが、まずは朝日を浴びましょう。起きられなくても家族がカーテンを開けて電気をつけて部屋を明るくしてあげましょう。また、夜遅くまでスマホやテレビなどで目に光刺激を入れると眠りが悪くなります。

    一方、お年寄りの認知症は春になると悪化することがしばしばあります。大声を出したり、イライラしたり、やたら陽気に一日中うたを歌ったり。私たちはそういう認知症の患者さんを見ると「春が来た」と感じるほどです。これは春の陽気と精神的な陽が増すことと関連しています。抑肝散という漢方を使うとこのような困った症状が抑えられます。