むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 心臓とケトン体

    今日は診療が終わってから心不全の勉強会に参加しました。講師は機能病院の水野先生です。テーマは、心臓のエネルギー代謝の話でした。ちょうど私が興味を持って勉強しているケトン体の話でした。ケトン体は糖質制限(炭水化物ダイエット)を厳しくすると体の脂肪分が分解されて出てきます。通常は飢餓状態で脂質分解からエネルギーを作ると発生すると言われており、体の調子が悪いときの指標と考えられています。糖尿病の状態が悪いときや嘔吐下痢などで数日ご飯が食べられないようなときにケトン体はみられます。

    しかし、このケトン体がいい働きをしていると注目されています。特に脳のエネルギーとしてケトン体は大変有用で、糖分を取ると眠くなりますが、ケトン体では頭脳明晰となることが知られています。ファスティング(絶食・断食)の最中に頭が素晴らしく冴えるという話がしばしば聞かれますが、これはケトン体が脳で代謝されているときの症状です。

    それと同じようなことが、心臓でも起こるそうです。心臓が動くときに必要なエネルギーは糖質よりもケトン体が大事だという話でした。そうすると、心不全治療にも糖質制限、ケトン食が有効である可能性があります。講演いただいた水野先生に尋ねたところおでんは心不全にいいかもしれないとのことです。糖質が少なく蛋白と脂肪が多い食事だからです。それ以外にもケトンを有効利用するにはココナッツオイルやアマニオイルもいいし、それを体内で代謝するにはビタミンB群やコエンザイムQ10、カルニチンなどが必要となります。こういう視点で考えると、心不全治療のメソッドが新しく見出される日も近いと思います。