むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ロデオの季節

    いつも家ではインターネットラジオを聞きます。ラジコではなく、チューンインラジオ(TuneInRadio)です。世界中のラジオを生で聴くことができます。私が聞くのは留学中に聞いていたテキサスのヒューストンのFM局です。生放送ですから家にいるとアメリカにいる錯覚をおこします。ちょうど明日からヒューストン・ライブストックショー・アンド・ロデオ2018が始まります。ロデオと言えば、カウボーイが暴れ牛にのりこなすショーです。実はロデオは年中やっているわけで無く、毎年この時期になると約2週間の日程で開催される季節の風物詩なのです。これを見ると春が来ます。私もテキサスにいた時は家族づれで見に行きました。ライブストックというのは、家畜のことです。ウマ、ヒツジ、ヤギ、豚、七面鳥などいろんな動物がいっせいに会場に集まる為、ちょっとしたふれあい動物園みたいです。子供がまだ小さかったころに行ったいい思い出です。

    話は変わって、往診に使う軽自動車(ホンダNワゴン)を買いました。今の軽自動車はすごいですね。乗り心地も良いし、駐車場を探すのもカンタン。しかも装備が凄いです。今まで私が往診に使っていたフォルクスワーゲンと比べて、今度買ったNワゴンにはキーレスエントリー、ナビ、ワンセグTV, オートエアコン、バックカメラなど全部ついています。もちろん自動ブレーキも付いています。びっくりです。フォルクスワーゲンと値段はほぼ同じなのに、装備はあまりにも違います。今日から早速往診に使い始めました。当院での訪問看護にもこの車を使います。

     
    出水神社(水前寺公園内)
  • 体を冷やさないこと

    暖かくなったと書いたら雨で寒い日曜になりました。油断できません。日曜は午後から医師会で在宅医療の研修会があり、参加してきました。これからは入院せずに在宅で療養することを求められる時代です。もちろん、家族だけで支えようとすると、老老介護などの問題もあり無理してしまいますから、訪問看護や訪問介護のサービスを上手く利用することです。今日は、滋賀県でのとりくみと玉東町での取り組みの発表がありました。

    ところで、今日のように寒い日は体が冷えてしまいます。体を冷やすと免疫力が落ちて風邪を引きやすくなります。ガンに対する免疫も落ちます。まずは温めることが大切です。風邪をひくと熱が出ますが、これは免疫を上げてウイルスとたたかうために大切な体の反応です。解熱剤や総合感冒薬を使って熱を下げると免疫力が落ちるため、風邪が治りにくくなります。解熱剤を使った場合、風邪薬を使わずに放置した場合より治るのに時間がかかることがわかっています。

    よく夜中に熱が出たけど、そのまま寝ていたら朝には熱が下がったという話があります。これが、自然治癒力です。一方、昼間に熱が出てきて、きつかったから薬局で風邪薬をかって飲んだという場合、一旦は熱が下がるものの治りが遅くなるわけです。風邪を引いたらお風呂に入らないという人もいますが、お風呂でしっかり温まった方がいいと思います。実は葛根湯や麻黄湯なども体を温めて治す薬です。

    水前寺公園

  • 春が来た

    温かい週末です。陽射しは春そのものです。ちょっとしたおやつを持って近くの公園のベンチなんかに座ってみましょう。眩しい日差しを浴びると、体も反応します。目から入った光刺激で脳内のセロトニンが増えてきます。セロトニンが増えると気分が安定します。朝から気分が沈んで会社に行こうとすると体が重くてきつい、という場合、まずはカーテンをしっかり開けて部屋を明るくすることです。朝日を浴びることが治療につながります。

    また、朝の光をしっかり目に入れることで体内時計がきちんと作動します。睡眠にはメラトニンというホルモンが関係しているのですが、朝日を浴びるとメラトニンが止まります。そこから14-16時間後に再びメラトニンが出始めるということがわかっているので、昼まで寝てしまうとその日の夜再びメラトニンが分泌されて眠くなる時間が遅くなってしまい、だんだん昼夜逆転してしまいます。学生さんで朝起きられないので学校に遅刻してしまうという相談がありますが、まずは朝日を浴びましょう。起きられなくても家族がカーテンを開けて電気をつけて部屋を明るくしてあげましょう。また、夜遅くまでスマホやテレビなどで目に光刺激を入れると眠りが悪くなります。

    一方、お年寄りの認知症は春になると悪化することがしばしばあります。大声を出したり、イライラしたり、やたら陽気に一日中うたを歌ったり。私たちはそういう認知症の患者さんを見ると「春が来た」と感じるほどです。これは春の陽気と精神的な陽が増すことと関連しています。抑肝散という漢方を使うとこのような困った症状が抑えられます。

  • 炭水化物は胃で消化されない!

    いつもこのブログを読んでくれる患者さんが、私が書いたことを自ら実践して感想を教えてくれます。最近、炭水化物ダイエットにも挑戦されました。その結果、以外にも胸焼けが良くなったとおっしゃいました。不思議なことです。炭水化物の摂取量を減らすとなぜ胸焼けしないのか?その方は以前は結構強い逆流性食道炎の薬(プロトンポンプ阻害剤)が欠かせなかったのに、今では胃薬がほとんどいらなくなったそうです。どうしてそうなるのか、理屈を考えたところ、面白いことに気が付きました。炭水化物を消化分解するにはアミラーゼという酵素が必要なのですが、アミラーゼは胃の中にはありません。したがって、胃の中では炭水化物は消化できないのです。どうりで炭水化物が胃にもたれるわけです。

    そう考えると納得いくのが、お腹の調子が悪かったり、お酒を飲みすぎて嘔吐すると、吐物には麺とかご飯粒が見えますが、刺し身などはどこかに消えてしまっている事です(変な例ですいません)。消化のスピードが蛋白と炭水化物で確かに違っている証拠です。よく噛んでで食べましょうというのは、噛むことで唾液に含まれるアミラーゼで炭水化物が消化されるからです。ご飯も時間をかけてかんでいるとだんだん甘みが出てきます。これは、炭水化物が消化されて糖に変わったからでです。

    実は、離乳食もおかゆなどご飯(米)を乳幼児に食べさせるのは消化が悪くてよくないようです。すり身の魚とかミンチ状にした肉などタンパク質のほうが消化がよく離乳食に向いているようです。もし離乳中のお子さんがおかゆのような炭水化物の離乳食に食いつきが悪いときは、ぜひ肉や魚を柔くしてあげてみてください。ぜんぜん違うと思いますよ。体が欲しているものは本能が知っているのです。

    出水神社(水前寺公園内)にて

     

  • 治療法は絶えず進化する

    ある疾患を治すときに、教科書的にはAという薬剤が有効であるとわかっているとします。しかし、A薬は少し副作用があって使いにくい。かわりにBという薬もあるが、効果はAにはかなわないとします。ただ、副作用がAより少ない。そういうときにどのように薬剤を選択するか、その実践に関してはどこにも定説はありません。そこで、日々研究です。副作用には目をつぶっても効果の高いAを処方すべきか、Aを処方して患者さんが副作用で飲めなかったら治療に失敗するが、その確率は何割くらいか、色々考えます。患者さんごとにA薬で行けそうか、無理そうか考えます。

    そして、さらに組み合わせも考えると、Aを通常の半分量にして副作用が出にくくしつつ、Bを併用する。いいアイディアです。別のストラテジー(戦略法)は、しばらく副作用の少ないB薬で治療して、ちょっと状態を落ち着かせてからおもむろにBをAに変える方法。これもいいアイディアです。しかし、治療ガイドラインやマニュアルにはそのようなさじ加減は書いてありません。画一的な治療のみです。

    しかし、私は、このガイドラインを金科玉条のように取り扱う風潮に疑問を感じています。そして、ガイドライン通り一辺倒の治療でなく、患者さんごとに最も効果的で副作用の少ない治療法を模索しています。使う薬の種類もたくさんあるのでその組み合わせを考えると治療法は無限大です。日々進化しています。

    2月22日 気温22度 湿度33% 何となく撮影