むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 昼休みには何をする?

    当クリニックの昼休みは12時半から午後2時半までの2時間あります。昼食を食べるだけなら30分、ゆっくり休んでも1時間あればいいのでは?と思うかもしれませんね。実は、私は昼休みも休んではいないのです。5分ほどで弁当を食べたら、すぐに往診に出かけます。日によって違いますが、毎日2人から7-8人を訪問診療します。往診が終わってクリニックへ帰ってくるのが2時20分位になりますから、10分位休めばすぐに午後の診療です。訪問診療から帰ってきたときにすでに駐車場がいっぱいになっている時もあります。そういう場合は、午後の診療を10分ほど早めに開始することもあります。つまり、全く休み無しです。

    なぜそこまでして働くのか?別に借金を返すためとか、そういう切羽づまった話ではありません。わたしたち国立大学出の医師は医学部で一人前になるために一人あたり1億円ほどの税金をかけて養成されています。それは、文科省や厚労省から大学や附属病院への補助金として交付されているわけですが、間接的に我々の教育に使われているのです。それを思えば、健康で働ける我々の世代は、汗水たらして文句を言わず皆さんの役に立たなければいけません。それは恩返しでもあり、使命だと思います。

    そして、そういう休み無しで働くために必要なことは、自分の健康管理です。私たちドクターはめったに他の先生に診てもらうことはありませんから、自己管理あるのみです。食事に気を使い、適度な運動をし、ビタミンなどいいと思ったものを積極的に取ります。通勤や往診の際には事故にあって仕事ができなくなっては患者さんや職員全員に迷惑をかけるので、頑丈な車にしか乗りません(残念ながらベンツではありませんが)。そのように、日々プロ根性で働いているのです。

    先週日曜にあった郡市対抗女子駅伝の様子。私もマラソンに出たりしていましたが、クリニック経営者としては事故に遭ってはいけないという思いもあり、過酷なフルマラソンはやめました。最近はもっぱらウォーキングです。

  • 春はすぐそこ

    寒いですね。毎日氷点下のあさです。私の小学生の頃は冬といえばこんな寒さで、霜柱を踏みながら通学していました。それが、いつの頃からかだんだん暖かくなり、冬に氷が張るほどの寒さはたまにしかなくなりました。それが、今年の冬は毎朝氷点下です。むかし懐かしい冬らしい冬です。しかし、そういう中、昼から夕方にかけての日差しは春そのものです。だいぶ明るくなり、日の入りも遅くなってきました。立春ももうすぐです。漢方で言う「陰極まれば陽生ず」です。

    最近はこのブログを見て遠方からいろんな相談に見えます。本当に難しい病気もあります。難しいとはいえ、癌のような不治の病ではないのですが、どう治療していいかわからないような症例です。私も、西洋医学と漢方で縦から横から観察しながら治療の方法を考えるのですが、あまりに難しくてすぐには治療法が思いつかない時があります。そのような場合は、まず治せそうなところから治すというのが原則です。例えば、頭痛、めまい、ふらつき、倦怠感、食欲不振、かたこりなどを訴える患者さんがいます。通常ですと不定愁訴と言って片付けられます。しかし、例えば食欲は治せそうだとか、頭痛、めまいは困っているから第一に治そうとか、そういう部分寛解を目指して治療すると、それなりに成績が出ます。それを繰り返すうちに全体的に良くなります。

    私が漢方の講義をするときに学生さんによく話をするのは、熊本から大分まで一気に行こうとしても、直通のJRはほとんど通っていない。飛行機も飛んでいない。そういうときは福岡経由で行けばいい。最初に進む方向はダイレクトに大分の方向を向いていなくても、ある程度進んでから方向を修正すれば大丈夫です。直通の道ばかり探さずに、行けそうな方向へまず進んでからあとで修正すればいいのです。

  • 2月は逃げる

    正月を迎え、新年を祝っていたと思えば、もう2月です。2月は逃げるといいます。28日しかないのであっという間です。その短い2月ですが、入試や人事異動、転勤、ひっこしなどなどいろんなことが決まる時期でもあります。短い中にストレスがギュッと詰まった一ヶ月になることでしょう。ちまたでは今もインフルエンザが多いですが、風邪引いている場合じゃありません。当クリニックは、2月1日付で「みなし訪問看護」の開設届を提出しました。実際に訪問看護ステーションのようにアクティブに事業展開するわけではないのですが、クリニック近くで移動手段のない高齢者も多く、訪問を希望されているご家族はたくさんあります。そうかと言って、私が往診するには時間に限りがありますから全部に対応することは困難です。そこで、一旦は看護師の訪問で様子を見ながら必要とあれば往診をするような体制づくりをしていこうかと思います。

    今、夜空を見上げると、まさに皆既月食の真っ最中です。左側から満月がかけてきて、半分になったかと思ったらもう真っ暗になりました。天体ショーはワクワクします。地球上の私達の存在なんて、宇宙からすると本当にちっぽけなものです。そんな私達の抱える日々のストレスだったり悩み事など本当に小さいことなのです。小さいことでもずっとそのことばかり考えていると頭のなか全体を占めてしまって息苦しくなったりドキドキしたりします。夜空を見上げて、宇宙の大きさを肌で感じでみましょう。

    さて、昨日に続いて糖質制限の話題ですが、YouTubeで検索すると、「いきなりステーキ」のような店で1ヶ月間肉食(炭水化物抜き)生活をした動画などが見られます。人間はどこまで肉食動物なんだろうと思います。ふと、ライオンの食生活を調べたらライオンが狩りをするのは週に1回程度だそうです。ということは、まともな食事は週1回です。動物園でも1日おきくらいしか餌をやらないとか、週1回は絶食にすると書いてあります。そんなライオン以上に毎日肉食をする糖質制限ダイエットはどう考えてもやりすぎだと改めて感じました。健康のためには人間も週1回位は食事にありつけない絶食の日が必要なのかもしれませんね。

    今回は東京芝公園から見た朝日。きれいだなと思うだけでなく、向こうの太陽からこちらの地球までの距離感を想像することで宇宙の壮大さを感じられます。

  • ぷち糖質ダイエット

    私はこのブログで糖質制限(炭水化物ダイエット)をしきりに勧めていますが、どのくらい真剣に制限するかという問題があります。私の立場としては、プチ糖質制限です。世の中にはケトン体ダイエットと言って、極端に糖質制限して、血中にケトン体が出てくるまで頑張るという情報が溢れています。読んでみると、皆さんお元気そうで、糖尿病もケトン体で克服したみたいな話が沢山あります。それは、案外本当だろうと思うので、別に反対することはありません。しかし、私がここで皆さんに推奨するのは、そこまでハードなものではありません、いわばプチ糖質ダイエットです。

    極端な糖質制限では、毎日ひたすら肉食にこだわり、お皿に添えてある人参やコーンも糖質が多いから食べないという徹底ぶりです。私が思う糖質制限は、そこまでは必要ないと思います。簡単にいえば、ご飯、パン、麺を食べないか、減らす努力をする。それだけです。ご飯を食べなかった分は、肉、野菜、魚、チーズなどで栄養をつけます。

    むかし小学校の頃、給食当番は献立から食材を「熱やエネルギーになるもの」「血や肉になるもの」「体の調子を整えるもの」と分類して、給食開始前に発表していました。炭水化物は熱やエネルギーになりますが、血や肉になりません。スポーツ選手でなくても、血や肉となるタンパク質が必要です。年をとると筋力低下で転んだり活動性が低下します。「熱やエネルギー」より「血や肉となるもの」がもっと必要なのです。

    寒い毎日ですが、朝はかなり明るくなって来ました。春はもうすぐです。クリニックから見た朝焼けです。

  • にんにく注射とビタミン欠乏症

    ときどき、にんにく注射はありませんかというお問合わせがあります。にんにく注射というのは、ビタミン剤(おもにB1)を注射すると口ににんにくの香りがしてくるためにそのように呼ばれているのですが、ニンニクエキスが注射に入っているわけではありません。これを、風邪や過労で倦怠感が強いときや、肩こり、筋肉痛などの際に注射すると、効果抜群とうたわれているものです。当院では、胃腸炎や慢性の吐き気などで数日食事が摂れていないような場合に限り保険適応でにんにく注射(点滴)していますが、きちんと食事ができている人にはしていません。保険適応外でやっている病院もありますが、調べてみるとだいたい2000円から3000円位かかるようです。

    実は、炭水化物(ブドウ糖)が体の中でエネルギーになる際に解糖系とTCAサイクルというエネルギー産生系をつかうのですが、TCAサイクルに入る段階の律速酵素にビタミンB1を必要とします。これが欠乏すると解糖系は動いてもTCAサイクルに流れてきませんので、代謝されたブドウ糖が乳酸に変わってしまい、肩こりや疲労の原因になるようです。そこで、ビタミンB1(にんにく)注射をすると、乳酸から解糖系の方へ代謝が改善し、乳酸が減ります。その結果、肩こりなどが解消します。また、エネルギーが解糖系からTCAサイクルの方へ流れることで、一気にエネルギー(ATP)産生が高まり、元気が出ます。倦怠感がとれて、活動性が上がるのです。

    では、なぜビタミンB1が不足するのか。B1欠乏は脚気(かっけ)といいます。戦時中に、兵隊さんには白米が振る舞われて脚気になったという話があります。白米(生成された炭水化物)ばかり食べていると、その代謝にビタミンB1が必要となり、だんだん不足してきます。白米でなく玄米を食べることで脚気の予防ができることを日本人が発見したのですが、現代は状況が違います。米、パン、麺類などの炭水化物、スイーツに含まれる糖分の過剰で脚気に近い状態となっています。ビタミンB1を十分取ることはもちろん必要ですが、炭水化物制限がまずもって必要なのです。事実、炭水化物ダイエットをすると、体が軽く元気が出ます。和食は健康食と言われますが、現実は炭水化物が多すぎて疲れやすい食事です。食欲がないからご飯に漬物、では全くだめです。ご飯を食べる(胃の)スペースが有るなら卵とチーズにしたほうがいいと思います。