むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方的病態把握と同病異治

    桜が開花しました。朝、ちらほら咲き始めたなと思ったら、夕方には相当咲いていたので、この勢いなら今週末は見頃になりそうです。例年よりだいぶ遅くなりました。明日からまた雨なのでそれが上がった頃ちょうど楽しめるといいですね。当院の目の前に広がる公園と高校の周辺には沢山の桜が咲きます。診察のついでにコンビニで飲み物などかってきて公園のベンチでお花見なんかいいかもしれませんよ。

    今日もコロナ後遺症に悩む患者さんが来られました。何ヶ月も大きな病院にかかって見てもらっていたけどなかなか症状がとれず、そのことで今度は不安性みたいになってしまったとのこと。私の見立てではコロナに罹患したときに心臓で炎症を起こした結果、自律神経バランスが狂ってしまったと考えました。コロナ後遺症は何百人も治療しましたが、今日の患者さんの症状は珍しいものでした。しかし、漢方的に陰陽虚実のバランスを考えると次のようになります。最初は炎症により陽が亢進していたのですが、それが長くなった結果、陰が不足してきた。時間がたって陽の亢進は落ち着いてきたけど、陰が不足した状態が続いているため結果的に陰より陽が多いというアンバランス状態がつづいている。

    患者さんの状態がどんなに難しくてもこのように陰陽虚実の病態把握が正確にできれば治療を誤ることはありません。使う処方はかなり絞られてきます。あとは、理論的に合っていても難治症例というのは仕方ありません。私にできるのはこのように目の前の患者さんの陰陽虚実や気血水のバランスをいかに正確に捉えるかと、それから導かれる治療方針の決定までです。あとは薬局にその薬の在庫があるか、きちんとその薬を飲んでくれるか、といったところにかかってきます。よく、患者さんから「結局私の病気はなんですか?」ときかれるのですが、私のなかには「陰が虚して相対的に陽が亢進したために交感神経が興奮した状態にある」とかわかったようなわからないような説明になってしまいます。漢方は西洋医学のように病名を決めたりしないで治療方針を考えるのです。同じ病名でも背景となる病態が異なれば治療方針は変わります。同病異治といいます。