むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 心臓神経症

    日赤のWEB講演会で循環器の漢方の話をしてほしいと頼まれていたので、今日は診療が終わってから診察室のパソコンに向かってWEB講演をしました。胸部不定愁訴の漢方治療について解説をしました。胸部不定愁訴は心臓神経症とよばれることが多く、胸が痛い、動悸がする、などの症状を訴えて心電図などいろいろ検査しても異常なしと言われる場合で、西洋医学的に異常なしでも患者さんにとってみれば本気で痛いし、辛いし、苦しいのでなんとかしてくれということになります。そこで漢方の出番となります。

    漢方は西洋医学がスタンダードとなる前は普通にどんな疾患にでも対応する標準治療でした。おそらく日本ではそういう時代が1500年以上続いていたと思われます。それが、最近(と言ってもこの100年ほど)で西洋医学が発展して不整脈を止める治療薬とか、痛みを取る鎮痛剤とかいろんな薬が出てきたわけです。それでも、漢方のほうが10倍くらい歴史と治療経験があるため、西洋医学で太刀打ちできない難しい症例は漢方の出番というわけです。一方で、心筋梗塞や高度の不整脈などはカテーテル治療とかペースメーカーの手術が優れた成績を示すわけですから、西洋医学VS東洋医学と競い合うわけでなく、お互い得意分野が違うので補完しあう関係だと考えます。

    心臓神経症はその名の通り神経症です。神経症はむかしドイツ語でノイローゼと言っていました。どちらかというと循環器より精神科や心療内科のほうが得意です。循環器のドクターはデジタル的で治療結果も速攻で求めます。精神科はアナログ的でゆっくりじっくり患者さんの治るペースを見ながら治療します。この相反する性格の間で私はときに循環器的、時に心療内科的に患者さんを見ながらハイブリッド的な治療を心がけています。