むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 年をとったら肉を食べよう

    夕方明るいのにはびっくりです。仕事が終わって帰宅したとき、すごく明るい。夕食を食べ終わってもまだ明るい。いつもは真っ暗な時間に犬の散歩をするのですが、今日は明るい時間に散歩にでかけることができました。うちの犬は暑くなると夏バテなのか食欲がなくなります。いつものドッグフードだけでは食べてくれません。仕方ないので、いりこや炒めたひき肉をトッピングしてやると喜びます。しかし、忙しいので、なかなか毎回ひき肉を料理してあげる時間はありません。近所のドラッグストアにドッグフードを買いに行ったら、犬用より猫用のフードが圧倒的にたくさんあるのに気づきました。しかも、三ツ星なんとかとか、見るからにグルメっぽいエサ。うちは猫を飼ったことがないので知らなかったのですが、猫のほうがグルメにうるさいそうです。

    成分表を見たら、タンパク30%以上と書いてあります。ドッグフードは20%くらいで、いいやつでも25%前後だったとおもうので、猫用のほうがタンパクが多い。ネットで調べたら、犬は雑食、猫は肉食だからフードの組成に差があるのだとのこと。しかし、犬だって、本来肉食動物です。小麦やとうもろこしを喜んで食べるとは思えません。そこで、ためしにキャットフードを買ってうちのゴンにやってみました。大喜びで食べました。キャットフードはドッグフードより味が濃いらしいので、塩分には注意と言う話ですが、高タンパクはいいと思います。ネットでは高タンパクが腎臓に負担と書いてあります。しかし、それは嘘だと思います。

    人間も、年を取るほど肉を食べなさいと言われます。だんだん食が細くなり、ご飯、味噌汁、漬物みたいな生活をしていると筋肉がやせ細り、骨も弱くなり老化が進みます。肉、魚、卵をしっかり食べるお年寄りはいつまでも元気です。年をとったら、しっかり栄養を取らないといけません。うちのゴンにはドッグフードとキャットフードを混ぜてあげようと思います。あくまで自己責任です。

  • 夜間頻尿の話

    今週から、高齢者枠のコロナワクチン2回目が始まります。1回目に比べて2回目は熱が出たり倦怠感が強かったりと、副反応が出やすいようですが、高齢者は若い人に比べると軽いようです。新聞によると、市場のカロナールやロキソニンなどはすでに品薄となっており、全国何千万人という人たちが2回めの注射の前に買い込んでいるようです。慌てて、たくさん買わないでください。必要最小限の準備にして、みんなに行き渡るようにお願いします。熱はたいてい1日で収まるので3−4回分ほど持っていれば十分です。

    さて、今日は夜間頻尿の話を書こうと思います。夜にトイレに3回以上起きる場合、夜間頻尿と言っていいでしょう。冬のほうが頻尿は悪化する事が多いのですが、夏はビールなど水分摂取も多くなり、結果夜間尿が増えることもありえます。まずは寝る前にお酒やカフェインの入ったもの(お茶やコーヒーなど)をできるだけ控えましょう。夜に利尿が盛んになっていまいます。立ち仕事で足がむくんでいると、夜寝ているときに足に溜まった水分が利尿されます。寝る前に足を高くして横になり、むくみをできるだけとってから寝るようにしましょう。

    熟睡していると利尿が抑えられる仕組みがあるのですが、ストレスや、その他何らかの原因で睡眠が浅いと、尿量が増えます。睡眠障害があれば、そちらの治療が必要です。こういった諸々の原因がなくて、夜間3回以上の頻尿で、1回尿量はさほど多くなくて、尿意に切迫感がある、という場合、過活動膀胱と考えられます。その際は専用の薬がありますので治療が可能です。

  • 緊張して震えたり動悸がしたりするとき

    新入社員の人たちは、4月5月の研修を終えてそろそろ独り立ちというところも多いのではないでしょうか。あとは任せるからお得意先をまわって来いといわれたりとか、一人前として担当を持たされたりする頃だと思います。本当なら1−2年かけてじっくり指導してほしいところですが、給料をもらっている以上は、一日も早く独り立ちしないといけません。中途採用の人などは、なおさら即戦力として期待されていることと思います。

    そんな中、朝礼で発表の当番が回ってきたとか、いろんなシーンで緊張しまくってドキドキしたり、前日から眠れなかったり、当日震えや動悸が止まらなかったりで、冷や汗モノという人もたくさんいることと思います。病名をつけるなら不安障害とか心臓神経症とか、そんな感じになります。仕事にならないで困っている、という場合、薬の治療を考えてもいいかもしれません。一般内科で相談すると、こういう場合デパスみたいな抗不安薬が処方されることが多いと思いますが、デパスは決して軽い薬ではありません。抗不安薬の中では最強の部類に入り、使うほどに依存がでてきます。やめられなくなるので麻薬のようなものです。当院ではほとんど処方しません。

    不安障害も、日頃は何事もなく過ごすことができて、月に1回程度の発表当番が緊張する、というレベルの人から、毎日緊張して仕事にならないという人もいます。その頻度や具合によって治療の方針が変わってきます。根本からきちんと治すにはそれなりの治療をしますが、たまの緊張だけなら軽い抗不安薬や漢方とドキドキを抑えるβブロッカーという心臓の薬を組み合わせて使うことが多いと思います。とくに入試のような眠くなったら困るけど緊張するという状況では、抗不安薬は使えませんので、気をつけて処方を考えています。また、薬を使って緊張を和らげながら場数を踏むことで、だんだん慣れてきて緊張しなくなれば、それが理想です。

  • お腹が張って苦しい病気:SIBO

    食後にお腹がパンパンに張って苦しい、ガスが溜まってきつい、という患者さんが大勢います。胃腸科に行くと、胃カメラや大腸の検査などされると思いますが、たいていは何もなく、ガスコンやガスモチン(モサプリド)などの処方をもらうのですが、ほとんどの場合あまり改善しません。そんな患者さんは、当院のように漢方専門のクリニックを受診される場合があります。この、食後にお腹にガスが溜まってパンパンに張って苦しいという病気は、これまであまり病気としてとらえられていませんでしたが、最近では小腸での腸内細菌の過剰発酵が原因だとわかってきました。英語の病名の頭文字をとってSIBOと呼ばれます。

    SIBOに対して国内で承認された薬はなく、消化器の病院でもあまり積極的に治療しているところはないようです。当院でも、これまで漢方であれこれ試行錯誤していましたが、SIBOという病気の概念が明らかとなってから、独自に治療法を研究し、最近ではわりとシンプルな処方で改善するようになってきました。漢方だけでなく、西洋薬を併用しています。

    ただ、お腹のなかで細菌が過剰発酵するわけですから、食べ物からも発酵食品をできるだけ避けたほうがいいみたいです。納豆やヨーグルト、キムチ、ぬか漬けなど発酵食品は普通の人には健康にいいとされますが、SIBOの人は避けたほうがいいようです。また、食物繊維やオリゴ糖は腸内細菌の餌となり、発酵を促進するため避けたほうがいいみたいです。このように、SIBOには独自の治療薬の組み合わせと食事療法との両輪がきちんとあって初めて改善するのです。

  • 更年期の漢方治療

    女性で、急にカーと熱くなったり汗が出たりすれば、更年期かなと思うことでしょう。50歳前後ならだいたいそうだろうと思いますが、ずっと若くて、あるいは閉経後10年以上たってもこのような症状が見られることがあります。婦人科に行っても更年期ではないと言われておしまい、ということがしばしばあります。そういう患者さんが当院に多く見られます。更年期様の症状を呈した自律神経失調ととらえます。

    そういう場合の治療は、やはり漢方です。更年期の定番といえば加味逍遥散です。それだけでうまく行けば何も問題ないのですが、当院の漢方専門外来までたどり着く方は、通常の漢方では治らないような難しい症例が多く見られます。そのような場合、加味逍遥散に当帰芍薬散や四物湯、温清飲などを加味したり、女神散という更に効果の強い処方に変えることでうまくいくことが多いです。もし、加味逍遥散を飲んでいるけど今ひとつスッキリしないという場合はご相談ください。

    更年期で漢方薬局に相談すると、「命の母」という商品を勧められることが多いと思います。この処方はよくできていて、とても良く効きます。私も、「命の母」の構成生薬を参考にオリジナルでブレンドすることがあります。保険の制約で漢方製剤は2つまでしか処方できないため、複雑な「命の母」をツムラなどの医療用漢方2剤で再現するのは難しいため、患者さんごとに病態把握をし、治療方針の大枠(だいたいの方向性)を決めて2剤の組み合わせを考えていきます。