むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ワクチンが効くまで1ヶ月かかるそうです

    検査会社の人から聞いたお話。コロナワクチンを打ってから抗体ができるまでの期間は人それぞれですが、若い世代は3週間ほどでピークに達するのに対し、高齢者は1ヶ月以上たってゆっくり増えてくるそうです。今回のワクチンはmRNAでできているのですが、RNAはDNAという遺伝子(設計図)からタンパク質を合成する際につくるDNAのコピーです。RNAは必要なときに必要な部分だけできてくるので、DNAに書かれた全設計図のうちの一部分というわけです。今回はこのRNAを人工で設計して注射にしたわけです。筋肉内に注射されたRNAはタンパクの設計図なので、体内でRNAに書かれたとおりタンパク質を合成するのですが、出来上がったタンパク質がウイルスの表面のスパイクと同じものなので、免疫がつくわけです。高齢者はアミノ酸やビタミンなどの栄養が不足しており、蛋白の合成力も落ちているため、効果が出るまで時間がかかるものと思われます。年をとったら傷の治りも悪くなる、というのと同じ理屈です。

    細かいことはともかく、高齢者はワクチンを打ってから効果が出るのに1ヶ月以上かかるそうなので、注射を打ったからもう大丈夫とうかれて街に飲みに出かけたりカラオケで大騒ぎするのはもう少し待ったほうが良さそうです。

    ワクチンを作っているファイザーという会社にはずっとお世話になりっぱなしです。私は循環器内科が専門なので、ノルバスク(アムロジピン)という血圧の薬やリピトール(アトルバスタチン)というコレステロールの治療薬が出てきたときは新しい時代を感じました。従来の薬とは一線を画するすごい効果だったからです。その後、心療内科の方でジェイゾロフト(セルトラリン)やイフェクサーと言った抗うつ剤もとても効果がよく、私の仕事を多く支えてくれました。そして今回のワクチンですが、打ったみんなはホッとしたと言って喜んで帰られます。まるで抗うつ剤みたいです。