むらかみ内科クリニック

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  • お腹が張って苦しい病気:SIBO

    食後にお腹がパンパンに張って苦しい、ガスが溜まってきつい、という患者さんが大勢います。胃腸科に行くと、胃カメラや大腸の検査などされると思いますが、たいていは何もなく、ガスコンやガスモチン(モサプリド)などの処方をもらうのですが、ほとんどの場合あまり改善しません。そんな患者さんは、当院のように漢方専門のクリニックを受診される場合があります。この、食後にお腹にガスが溜まってパンパンに張って苦しいという病気は、これまであまり病気としてとらえられていませんでしたが、最近では小腸での腸内細菌の過剰発酵が原因だとわかってきました。英語の病名の頭文字をとってSIBOと呼ばれます。

    SIBOに対して国内で承認された薬はなく、消化器の病院でもあまり積極的に治療しているところはないようです。当院でも、これまで漢方であれこれ試行錯誤していましたが、SIBOという病気の概念が明らかとなってから、独自に治療法を研究し、最近ではわりとシンプルな処方で改善するようになってきました。漢方だけでなく、西洋薬を併用しています。

    ただ、お腹のなかで細菌が過剰発酵するわけですから、食べ物からも発酵食品をできるだけ避けたほうがいいみたいです。納豆やヨーグルト、キムチ、ぬか漬けなど発酵食品は普通の人には健康にいいとされますが、SIBOの人は避けたほうがいいようです。また、食物繊維やオリゴ糖は腸内細菌の餌となり、発酵を促進するため避けたほうがいいみたいです。このように、SIBOには独自の治療薬の組み合わせと食事療法との両輪がきちんとあって初めて改善するのです。