むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 熊本中央病院と連携の会でした

    土曜日は朝の8時頃から待合がいっぱいで、座るところもないくらいでどうしようと思いましたが、新患の割合は少なく血圧の薬などの再診が多かったので、待ち時間はそれほどにはならず、昼には終了することができました。私はそれから大急ぎで弁当を食べて、医師会に心臓検診に行きました。私は通常の内科の診察もかなりスピーディーな方ですが、心臓検診でも要領良くどんどん診察します。ただ、心臓検診は診察とセットで心エコーや運動負荷心電図の検査があるため、私が頑張れば頑張るほど検査部門が渋滞します。また、運動負荷心電図は指示したドクターが直接検査にはいる事になっているので、バンバン診察した結果、私が担当しないといけない負荷心電図検査が相当数にのぼり、結局診察と結果説明が終わったのはいちばん最後になってしまいました。

    検診のあと、急いで帰宅して家に車をおいて、バスでもう一度街までとんぼ返りしました。今日は4年ぶりに熊本中央病院の連携のつどいという集まりがあり、日頃入院や検査でお世話になっている中央病院の先生たちとの懇談会でした。コロナで中断していため4年ぶりということもあり、集まった人数はホテルキャッスルの2Fの一番広いキャッスルホールに立っている人だけでぎゅうぎゅう詰めの状態でした。久しぶりに、同級生や近隣の医師会の先生方、元同僚、大学時代の同門の人たちとワイワイお話できて楽しいひとときでした。コロナの3年間孤立してひたすら診療に徹しましたが、自分と縁のある先生がこんなに沢山いたんだと思うと、心強く感じました。

    その会で中央病院の小児科部長の永野先生(同級生)からの相談で、最近不登校がとても増えて困っている、とのお話でした。当院でも起立性調節障害などで朝起きられないため、学校に行けていないという生徒さんたちが大勢来院されています。漢方が飲めれば、結構元気になる場合があるので、今後中央病院と連携をして、当院で漢方治療、中央病院ではカウンセリングという両輪で取り組みをしようということになりました。

  • 朋あり遠方より来たる、また楽しからずや

    「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」論語の出だしの文章です。昨日も書きましたが20年ぶりに再開したモンゴルの先生と同時に、私がテキサスに留学してた頃に一緒に働いていた日本人が沢山熊本に集まってくれました。なつかしい面々。うれしいことこの上ないです。私がいたのはテキサス州のガルベストンという街です。ヒューストンから車で1時間ぐらいはなれた島でリゾートになっていました。熊本で言えば天草みたいなところ。そんな田舎に留学してたみんなが一同に集まって食事会なんて夢みたいです。みんなアメリカ生活が長かったので英語が話せます。当時同僚だった友達の近況をきいて、懐かしいことこの上ないです。アメリカにいた頃がありありと思い出されました。

    阿蘇で泊まったホテルで会議室を借りて、女子医大の教授になった友人がこれまでの30年の研究生活を振り返ったプレゼンをしてくれました。一緒に働いたフェロー(研究員)たちは今では宮崎大学の教授とか大分大学の教授とか日本医大の教授になっています。モンゴルの先生は私たちの留学先だった研究室の教授です。みんな偉くなりました。

    また、当時アメリカで研究(動物実験)していい成績だった医薬品(遺伝子組み換えアンチトロンビン)があるのですが、今日聞いた話では、その薬がアメリカで重症熱傷の患者さんの救命に臨床応用されたとのことです。アメリカにいた頃、私の研究でどれだけの命が救えるのだろうと思っていましたが、ついに臨床応用されたというニュースを聞いてとても嬉しかったです。基礎研究は直接患者さんを救うことはないのですが、こういった発見が臨床応用されると間接的に何万人という命を救うことになるので本当にやりがいがあります。

    モンゴルの先生(テキサス大学教授)ご夫妻と

  • 漢方の研修

    今月から、漢方を勉強したいという女医さんが週1回私の診察を見学されています。当院は日本東洋医学会の研修指定施設になっているため、漢方を勉強して専門医を目指す場合、当院で実績を積まないといけないことになっています。熊本県内ではもう一箇所熊本赤十字病院の総合内科でも漢方の研修を受けることができます。診察時には私の後ろから診察風景を見学して、私が決めた処方を見てその処方に至る考え方のプロセスを後で考察する、という勉強となります。患者さん方はどうぞ気にされないようにお願いします。漢方に関しては勉強中の先生ですが、内科としてはすでにベテランの方なので、よろしくお願いします。

    私も実は20年ぐらい前に師匠の先生の陪席について、その先生の外来を毎週見学して技術を見て盗むという昔風職人の育て方で勉強したことがあります。それは鍼治療です。当時御幸病院で針の外来をされていた長尾先生に直々に頼んで見学させてもらいました。長尾先生は熊本弁で冗談を言いながら患者さんの診察をして、病態を確かめたら、ベッドに寝かせて針を打たれていました。私が見学に行くと、半身だけ針を打って、反対側は私に打つようにと残りの針をくれました。私はそれこそ見様見真似で長尾先生が打った針の場所と角度と深さを左右対称な位置に正確に打つ練習をしました。

    そうこうしているうちに、寸分たぐわぬ左右対称の位置に打とうとして左手で探っていると、そこはつぼでないとわかる時がありました。そう、人の体は人形ではないので左右対称ではないのです。特に腰痛や肩こりなど問題がある人の場合、骨盤が歪んでいる影響で背骨も曲がっており、左右対称の位置にツボがあるとは限らないのです。これに気がついたとき、私は独立して一人で針が打てるようになったのです。長尾先生は一昨年亡くなられました。私の漢方の師匠である牟田先生もだいぶ前に亡くなられたので、今となっては私が後進を育てる番になりました。

     

  • 首コリ頭痛、首コリめまい

    五月晴れのカラッとした気持ちの良い日曜でした。今日もどこかの学校では運動会だったみたいです。天気に恵まれてよかったですね。私もいつものごとく洗濯をしたり布団を干したり、洗車をしていい天気を満喫しました。午後からは久しぶりにリアルの学会に参加しました。日本統合医療学会の熊本支部総会でした。コロナの間ずっと中断していたので、3年以上ぶりでした。やっぱり、会場に足を運んで演者の先生の生の声を聞いて勉強するのはいいものです。演者は沖縄の宮城旺照先生でした。

    この先生は著書があり、「1日1分首わしづかみで脳脊髄液を流しなさい」という本です。今日の講演で面白かったのでさっそく購入しました。私たちが日頃からよく目にする頭痛、めまい、ふらつきなどが天気の影響を受けやすいことは御存知の通り。その時、私たち漢方専門医は五苓散という水分代謝を良くする漢方を使って頭の余分な水分を抜きます。今日の講演では、首を後ろからぐいとわしづかみにしてマッサージすることで首周りの筋緊張がほぐれ、頸静脈の圧迫が解除されることで脳脊髄液の流れが正常化し、頭痛やめまいから開放されるとのこと。なるほどー理にかなっています。

    めまいの原因には、発作性頭位めまい、メニエール病、前庭神経炎、自律神経失調などがありますが、耳鼻科YouTuberの竹越先生が肩こり関連めまいという分類を提唱され、肩こりをとる葛根加朮附湯、桂枝加苓朮附湯などでめまいが改善すると解説されていました。私はそれを聞いて以来、肩こりとめまいの関連は注意してみているのですが、首コリのほうがもっと関連していそうです。思い起こせば、私がこの前めまい発作を起こしたときレセプトチェックに精をだして肩首がすごく凝っていたのは間違いありません。薬を使わず首のマッサージで治るらしいので、今度試してみたいです。やっぱり学会に参加するといろいろ新しい知識が入って進歩します。

  • キリンは高血圧

    毎週月曜はWEBで管理しているカレンダーをみて、1週間の予定を確認します。今朝も予定を見ていたら、私のテキサス大学時代の同僚のモンゴル人が熊本に来るまであと2週間だと気づきました。彼は熊大で私と毎日一緒に研究をしていた親友で、年に1−2回はメールしていましたが、会うのは19年ぶりとなります。あっという間にすごい年月が経ちました。久しぶりすぎるので、彼の近況(最近の業績)をネットで検索したら、いくつもの論文が見つかりました。なるほど、彼はこういう研究をしているのか、と思って、朝から懐かしくもワクワクしながら彼のことを思い出していたら、ポーンとメールの着信がありました。なんと、彼からです。すごい、私の思いは時空を超えてはるかテキサスまで届いたのでしょうか。メールには今度熊本に来るので会えますか?と書いてありました。そう、まだ私が彼を阿蘇の観光案内することになっていることを伝えていなかったのです。サプライズではないのですが、東京の先生が一生懸命スケジュールをたててくださったので、その流れで彼もすでに知っているのかと思っていました。今日はその件で何度か彼とメールをやり取りして、頭の中は完全に英語モードです。今度あったらこんなことを話そうとか思うと、頭の中に英語がどんどん出てきて留学していた頃の自分に戻った気がしました。この続きはまた2週間後に実際あってから書きたいと思います。

    さて、今日は血圧のことを書こうと思います。最近、寒暖差が大きく、自律神経が乱れたような人が多く、血圧も日によって乱高下する人が見られます。そういう患者さんの中で、自宅で血圧を測るとき、座って測ると高いので寝て測る、という人がいます。寝て測ると、多少血圧は下がります。しかし、私たちは日中起きているので、体を起こして座った状態で測るのが正しい測り方です。心臓は脳に十分な血流を送らないといけないので、立った状態では血圧を上げて血液を心臓より上の頭まで届けます。キリンのように首が長いと、当然心臓はものすごい圧力で頭まで血液をあげないといけないのでキリンは高血圧です。

    だいたい、心臓発作や脳卒中は朝起きてすぐ倒れる人が多いのですが、その時間に最も血圧が上がるのです。したがって、その血圧を適切に下げないと事故を防げません。朝ごはんを食べて血圧の薬も飲んで、のんびり新聞を読んだり朝の散歩を済ませたあとに血圧測れば下がっているのは当たり前です。知りたいのはそのタイミングではなく、朝イチの血圧です。高い数字を見たくないという人も多いと思いますが、そこを見ずして血圧コントロールはできません。