むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 語学勉強に燃える日曜日

    週末は何も予定がなかったのに忙しかったです。何をしたかと言うと、4月新学期にちなんでNHKゴガクを始めたことで、1週間分の英会話、まいにちハングル、ステップアップアングル、まいにち中国語、ステップアップ中国語を全部聞き直したのです。今まで韓国ドラマと台湾ドラマで耳学問だったのですが、テキストを買って文字を見ながらきちんと勉強すると全然違います。まず、ハングルは絶対読めないと思っていましたが、今週1週間の番組を聞いただけで、ドラマのタイトルなどがなんとか読めるようになりました。KALDIでかってきたキンパにハングルが書いてあったのも、よくみたら「キンパプ」と書いてありました。最後のパプというのは飯という意味です。ビビンバも本当はビビンパプです。混ぜご飯という意味だそうです。

    もう一つこの週末は内科学会だったので、オンライン参加で講演を聞きました。現地に行けば、飛行機の時間もあり講演の1つ2つしか聞けないのですが、オンラインだと熊本にいながらにして全部の講演を聞けます。消化器、呼吸器、循環器、などなど自分の専門もそうでないところも全部聞いて知識のアップデートです。オンラインになり勉強量が10倍以上増えたと思います。

    ところで、またまたチャットGPTの話題です。先日、マイクロソフトのEdgeというWEBブラウザを使うとデフォルトでチャットGPTが使えるという話題を書きましたが、GoogleのChromeというWEBブラウザにはChatGPT for GoogleというプラグインをインストールすることでGoogle検索と同時にチャットGPTの検索結果も表示してくれます。ただし、こちらはまずチャットGPTにアカウントを作らないと動きません。一度稼働すれば可能性は無限大です。なにしろ、チャットGPTは司法試験に合格するくらい天才なので、パソコンの画面に常駐してくれれば100人力です。問題はそこにどのような質問や司令を投げかけるかです。これからの私たちに問われるスキルはそれだけです。そのためには一日も早く使ってみて生成AIの可能性を引き出す訓練をすることです。

  • 帯状疱疹ワクチンの勉強会でした

    昨日からのめまいはほとんど良くなりました。ブログを見た方から何人も心配の声をかけていただきました。ありがとうございます。元気に仕事もできています。夕方は仕事が終わったらすぐにニューホテル(旧ニューオータニ)に向かいました。シングリックスという帯状疱疹ワクチンの勉強会です。発売当初から興味を持って院内に採用していたのですが、このところコロナのワクチンの影響もあり帯状疱疹が急増しており、患者さんからの問い合わせも増えてきています。そんな中、ワクチンメーカーから熊本市内で開業しているドクターでシングリックスをたくさん使っている15名程度が招待された形での勉強会だったため、時間をさいて出席しました。

    講演で聞いた内容で最も衝撃的だったのは、以前からある生ワクチンは値段は安いのですが、有効性が5−6割しかない。一方新しく開発されたシングリックスは値段が高いのですが有効率97%でその効果が10年は続くことが確認されているとのこと。メーカーのお抱え演者の話だから少し割り引いて考えても、シングリックスの有効性はすごいと感じました。帯状疱疹の怖いのは、顔に出たら失明する恐れがあるし、帯状疱疹は治ったようにしていても、神経痛がその後何年も続くことがあります。その痛みは普通の鎮痛剤では対処しきれず、会に出席されていた麻酔科(ペインクリニック)の先生も神経痛の治療に限界を感じているので、予防しかないとコメントされていました。

    コロナワクチンも当初有効率が98%とか言っていましたが、使ってみたら全然効かない。予防にならないと思った人も多いハズ。それは、コロナウイルスは風邪のウイルスなので変異するスピードがはやく、ワクチン開発しても追いつかないのです。これは昔からの常識です。一方、帯状疱疹ウイルスはそれほど変異しないので一度打つとついた免疫で10年以上効果が持続するのです。

    シングリックスのワクチンは50歳以上が対象です。癌が見つかったり、癌の治療後のような免疫が弱っている人はぜひ打っておくことをおすすめします。個々の相談は診察の際にでもお気軽にお尋ねください。

    桜が散った後はハナミズキが咲き始めました

  • 私の漢方の師匠

    先週の土曜の午後から東洋医学会だったのですが、診察が長引き、参加できませんでした。会場は福岡の九州大学なのですが、最近はWEBでの参加なので、移動する時間がないのはいいのですが、今回みたいに全く時間が取れないとどうしようもない・・と思っていたら、なんと、見逃し配信をしてくれることになりました。うれしい!参加費を振り込んでいたのがもったいない、というのもありますが、今回は寺澤先生という国宝級の漢方の大御所のお話が聞けるのでぜひ聞きたかったのです。寺澤先生は以前富山医科薬科大の漢方診療科の教授だったのですが、私が研修医の頃(H5だったと思います)にニュースカイホテルに講演に来られました。研修医の頃から漢方を勉強したくて仕方なかった私は、大学でその当時一緒だった坂田先生(熊本リウマチ内科院長)と会場に足を運びました。

    その時、どんな講演だったかは覚えていないのですが、漢方を勉強するぞという意気込みだけはあり、そのきっかけとなったのが寺澤先生だったわけです。当時寺澤先生が発刊された「症例から学ぶ和漢診療学(初版)」という本が私のバイブルでした。いまは手に入らない本で、おそらく相当なプレミアがついていると思います。そういうわけで、私の漢方の師匠として尊敬しているナンバーワンが寺澤先生です。そして、そのとき講演会場にいたのが牟田光一郎先生(御船の牟田医院)でした。当時熊本で漢方といえば牟田先生だったわけですが、その会場で牟田先生にばったりであった際に、「漢方を勉強したいんです!」といったところ、では今度の日曜日の朝うちに来なさいと誘っていただきました。

    それから10年以上牟田医院の2Fの会議室で日曜の朝から夕方まで漢方を習いました。寺子屋みたいな勉強会でした。寺澤先生に次ぐ私の漢方の師匠です。このお二人がすごいのはたくさんの弟子を育てられたことです。昔はこのように本との出会い、師匠との出会いが全てでしたが、最近はWEB講演会で日本中どこにいる有名人の講演会でも、自宅でお茶など飲みながら参加できるというのはすごいことです。

  • 友あり遠方より来るまた愉しからずや

    光の色が鮮やかで、春がきたなーと感じさせられます。日本は2月が一番寒いですが、私の留学していたテキサスのガルベストンは12月が一番寒かったです。クリスマス頃しばらく寒い日が続くのですが、年が明けると一気に春めいてきて、1月でもたまには冷房を入れたりしていました。地域によって季節の移り変わりは違うんですね。私の大学院時代、熊大の私の研究室にモンゴルからの留学生を引き受けて、私が実験を手取り足取り指導していました。そして、私がアメリカに留学してからしばらくして、彼をアメリカに呼びました。

    私は子供が小学校に上がる年に帰国を決めましたが、彼はそのままテキサスに永住し、家を買い、彼の子どもたちはテキサス大学に進学しました。いまでは彼は当時私達が研究していた教室の教授になっています。私が帰国してから20年ほど経ちました。実は、こんどのゴールデンウイーク明けに東京で熱傷学会があるのですが、彼はゲストとして招待講演をすることになり、日本に来るというのです。そして、学会を主催する先生方のご厚意で熊本にも足を伸ばしてくれることが決まったとの連絡が来ました。嬉しいことこの上ないです。

    学会世話人の先生からは、せっかくなので阿蘇の温泉に行こうとか、美味しいものが食べられる店があったら推薦してほしいとの連絡があり、準備に忙しくなってきました。暖かくなってきたので、阿蘇方面をドライブするのも楽しい季節です。下見を兼ねてそのうち阿蘇まで行ってきたいと思います。「朋あり遠方より来るまた愉しからずや」とは論語の一節。

  • チャットGPTは完璧な翻訳家でもある

    このところ連日チャットGPTの話題を書いていますが、今日は翻訳のレベルを検証してみました。英文の医学論文をネット上で見つけて、要約の部分をコピペして、チャットGPTに「日本語に翻訳してください」と書いてみたところ、完璧に翻訳してくれました。逆も行けるかなと思って「次の文章を医学論文風の英語に翻訳してください」と書いて「我々は今回の研究結果よりビタミンCの大量投与は抗癌作用を有することを明らかにした」と書いたところ。回答は「Based on the results of our study, we have demonstrated that high-dose administration of vitamin C has an anticancer effect.」と帰ってきました。完璧です。このレベルの翻訳ができるなら、大学院生が英語で論文を書くのなんて楽勝です。結果さえ出れば、すぐ論文化できます。

    私が大学院生の頃、毎日実験に明け暮れていましたが、週1回の教授を交えてカンファレンスでは、急いでその結果を論文にまとめろといつも言われていました。英文論文を書くには、結果”Results”の部分をまず書いて、それに必要な実験方法”Method”を書きます。その後、何十編もの参考文献を引用しながら考察”Discussion”を書きます。そして最後に要約”Abstruct”を書くのです。それを全部英語で書くとなると、まずは他の人が書いた論文を真似しながら書くのですが、いろんな人が書いた論文の文章を部分部分でまねして書くと文章のトーンがおかしくなります。それを自分なりの表現で統一してかきあげます。最後に外国人の校正者(もちろん有料)に依頼してきちんとした英文に直してもらってから投稿するのです。

    似たような研究に取り組んでいる人は世界中に何人もいるため、大発見!とおもっても不思議と世界のどこかにいるライバルがほぼ同時期に同じ発見をしていることがあります。その時、すぐに論文化して発表した方の勝ちとなります。今日、チャットGPTが英文医学論文の執筆に使えることがはっきりしました。論文作成の労力は10分の1以下だと思います。これは日本から情報発信する競争力が10倍アップしたということです。研究者の皆さん、スピード勝負はチャットGPTをいかに使いこなすかにかかってきましたよ。