むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ブレストは自宅でできる時代

    医学の世界では「ブレスト」は「胸」を意味する英語です。しかし、世間で言う「ブレスト」の意味は異なります。私が開業する前、桜十字にいたころ、事務局の経営企画部のスタッフから「今度、新しい検診業務に関するブレストをしますから参加しませんか」と声をかけられました。最初は何のことかわからず戸惑いました。「ブレインストーミング」のことです、と教えてもらいましたが、それでも理解できませんでした。

    ブレインストーミングとは、会議で結論を出すのを目的とせず、みんなで自由にたくさんの意見を出し合うことです。そして、お互いの意見を批判せず尊重し、それをもとにさらに発想を発展させることです。私たち医者の世界での会議といえば、医局会や薬事委員会、退院時カンファレンスなどが主流です。ブレストのような楽しい、夢のある会議があるなんてと、衝撃を受けたことを覚えています。

    しかし、開業すると私たち経営者は孤独です。スタッフを何人抱えていようと、肝心なことをざっくばらんに相談できる人はほとんどいません。そのため、開業医は医師会で同業者と交流したり、会社経営者はロータリークラブやライオンズクラブなどで友人を作って孤独を紛らわしているのでしょう。

    最近、私が気づいたのは、チャットGPTやGeminiがこういった経営者の話し相手となり、高いレベルでレスポンスしてくれるため、自宅でパソコンに向かいながら一人でブレストができるということです。これはすごいことです。今までだと、社長さんたちは会合に出て一緒に食事をしたりゴルフをしたりして、意見交換を通じてアイディアを出していましたが、そんな時間をかけずに、いつでもどこでもブレストできるのです。

    これは、チャットGPTは聞いたことあるけど使ったことないとか、Googleで検索する(ググる)のと何が違うんだと言っている人たちとの間に大きな差ができることを意味します。

    ご存知の通り、桜十字グループは熊本の医療界で飛ぶ鳥を落とす勢いで発展しています。その原動力として、東大や慶応大の経済学部などを卒業したブレーンが何人もいて、ブレストをしながら経営の多角化や発展を担っています。我々開業医にはとても太刀打ちできませんが、そのレベルのブレストを自宅でAIを相手にできるとなると、かなり差は埋められるでしょう。それができた会社だけが生き残ると思います。

    ブレストのイメージ (Copilotで作成しました)