むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • Googleの生成AI Geminiを使ってみた

    土曜日はいつも混み合うのですが、今日は雨も小雨だったのと、このところのコロナ患者さんの急増で相当混み合いました。コロナ患者さんが増えると、時間差でコロナ後遺症の患者さんが来院されます。味覚、嗅覚障害、咳が止まらない、倦怠感が半端ない、頭がボーとするなどが多いですが、その他様々な訴えで来院されます。昨日も書いたように、難しい症例でも漢方的に陰陽虚実の把握が正確にできれば処方は何パタンか思いつきます。あとはそれを使ってみて治るかどうかです。来院される患者さんにとっては全く説明不可能な謎の病気みたいに思うかもしれませんが、私にしてみれば、毎日何十人とそんな謎みたいな患者さんを診察しているので、前にも似た症例というのが出てきます。その時の治療経験をもとに考えると、患者さんがこんな症状ですと言っているうちからもうすでに治療法は決まってくるので、ものの数分で「じゃ、薬出しておきます」というところまできてしまいます。あまり早すぎると、あっけにとられるでしょうから、一応診察しますけど、その時点ですでに処方はだいたい決まっています。

    さて、このところAIのサービスがどんどん展開されてきて、私たちの身近になってきました。チャットGPTはGPT-4oが使えるようになり、素晴らしい性能を発揮してくれます。マイクロソフトのCopilotを使うとさらに簡単に使えます。そしてこのたびGoogleからもGeminiという生成AIが発表になり、スマホやパソコンで使えるようになりました。試しに「Geminiについてブログで紹介したいのでサマリーを書いて」とGeminiに聞いたら、なんと「いすゞ・ジェミニ」についての解説を書いてくれました。Googleはボケをかます能力があるようです(笑)。今日はいろいろGeminiで遊んでみたのですが、大抵のことはチャットGPTと似たような返答をしてきます。ただ、日本語で聞いて英語で返事をしてきたのが数回ありました。チャットですから、日本語で答えて、といれると、すぐに翻訳してくれます。また画像などもそのまま扱えるのがチャットGPTより便利です。

    今日は診療が昼の1時半までかかり、昼ご飯を食べる暇もなくビスケットを2つポケットに入れてかじりながらヘルスケアセンターへ向かい、そのまま心臓健診に入りました。健診も100名ほどの来院で、5名のドクターで20人ずつみました。こちらも夕方6時半までかかり、とんでもなく忙しい一日でした。くたくたになったので今日はジムは休んで温泉でゆっくりリフレッシュすることにしました。

  • 診断がつかなくても治療法はある

    大雨となりました。ちょうど去年の今頃、市民病院前が大雨で冠水したのを思い出します。自衛隊から市民病院あたりは東区でも小高い丘になっており、どう考えても水に浸かるような場所ではないのに、排水が追いつかずに第2空港線が川のようになっていたのです。今日も、降り続けばそんな被害が出そうな勢いでしたが、さいわい午前中で勢いは収まり、午後はやんでくれました。被害がなくてよかったです。

    これだけ雨が続くと頭痛や目まいなどの体調不良が増えてきます。以前からこのブログに書いているように雨降りの体調不良には五苓散があるとセルフメディケーションができます。調子悪いなと思ったら五苓散を飲んでみてください。ずいぶん楽になると思います。こういう場合は食前とか食後にこだわらず、必要と思ったらその時が飲むタイミングです。朝昼晩の3回というのも無視して構いません。調子悪ければ飲む、落ち着いたら飲まない、で結構です。ただ、一日3回以上飲むと過剰になる恐れがあります。どうしても不調の時に単発で多めに使っても問題ないのですが、常時オーバードーズで使用するのはよくありません。ご注意ください。

    当院は漢方を得意とすることから、いろんな疾患の患者さんが集まってきます。なかにはこれまでいくつもの病院で精密検査をして診断がつかなかったという方もおられます。当院でも多少は検査しますが、どちらかといえば、診断がついていなくても病態を把握して治療法を探るのが日頃の診療スタイルです。漢方的な見立てがあっていれば西洋医学的に診断がついていなくても治療法は決められます。診断がつかずに漢方治療を求めて来院されるかたには、ぜひこれまでの検査結果をもってきて見せていただきたいです。整形とか婦人科とか、内科と関係ないと思っても検査結果があればそれも見せてもらえれば助かります。小さなことでもその中にヒントを見つけ出せば、治療の手がかりになるからです。

  • 葛根湯について

    今朝新聞を見ていたら植木にある寺尾病院の寺尾敏子先生の訃報が載っていました。私は大学院の頃から留学するまで6年ぐらい寺尾病院で夜勤をしていました。平日週1回と土日でほとんど住み込みみたいな生活でした。寺尾病院は植木町の中核となる救急病院で、高速道路の交通事故とか、ヤクザさんが指を詰めたのでなんとかしてくれとか、マムシに噛まれたとか、とんでもない重症の急患がしょっちゅう来ていました。私の救急対応はほとんどこの病院で学びました。留学先で救急医学と集中治療の分野を研究したきっかけとなったのも寺尾病院での経験からでした。そして、寺尾敏子先生は私の両親より高齢ですが、手取り足取りいろんなことを優しく教えてくれました。特に、敏子先生は耳鼻科だったので、耳の見方などを教えていただきました。今私が診察の時耳鏡で耳を覗くのはこのときの経験からです。敏子先生には本当に感謝です。御冥福をお祈りします。

    今度、市役所が桜町に移転するとニュースになっていました。先日、桜町ってむかし何があったっけ、という話題で若い人と話していて、あそこは交通センターと岩田屋だったでしょ、その向かいの広場に産文(産業文化会館)があったよね、とはなしていたら、全く通じませんでした。異国の話をしているかのような・・。あそうだ、岩田屋のあとは県民デパートという名前だったっけ、というと、あーなんか聞き覚えある、とのこと。私の記憶では県民デパートで買い物したことないし、思い出といえば、岩田屋の前の岩田屋伊勢丹だった頃。緑と赤と黄色っぽいチェック柄の紙袋が懐かしい。

    覚えていますか>https://precious.jp/articles/-/3898

    さて、昨日夏風邪に葛根湯はあまり使わないと書きましたが、飲んで調子がいい人はやめる必要はありません。体質にあっている場合、副作用はあまり心配ないので続けてもらっていいと思います。葛根湯は感染性胃腸炎にも効果的なので、当院では胃腸炎で熱が出てきつそうなら葛根湯に黄連解毒湯を合わせて使っています。熱のない単なる吐き気と下痢なら黄連解毒湯だけで効果的です。今の季節、結構胃腸炎が見られますので、対処法を知っておくと役に立つと思います。

  • 夏風邪の漢方処方について

    梅雨らしく雨が続いています。案外涼しくて、毎年梅雨の頃ってこんなに快適だったかな?と思ったりします。蒸し暑い日がまだあまりありません。クリニック内は除湿も兼ねてエアコンを強めに付けているので、少し肌寒いです。来院される患者さんも長袖の人が結構いるので、涼しく感じるのは私だけではないようです。そのせいか、風邪の人が相当います。検査すると大半がコロナ陽性です。ご注意ください。

    曜日によりますが私の後ろで勉強している先生がいることがあります。これは漢方専門医を取るために必要な研修を行っているのです。気になる方がいたらすいません。ちゃんとしたキャリアの先生たちなので、ご心配なく。その先生たちに最近私が繰り返し説明することがあります。それは、夏風邪は冬の風邪と同じ処方ではいけないということです。冬には葛根湯や麻黄湯をよく使いますが、これらの風邪に使う漢方は体を温めて発汗を促します。寒気がして、鳥肌が立っているところに麻黄湯などを飲むことで毛穴が緩み、汗がにじみ出て来て熱が下がりスーと体調が良くなってきます。ところが夏の風邪は違います。最初から暑いのでジメッと汗をかいています。鳥肌をたてて悪寒がすると言っている人はまずいません。そんな夏風邪患者さんに麻黄湯や葛根湯を使うとさらに体が熱くなり、汗もダラダラと出て体力を失います。したがって、よほど寒気の強い例を除けば、夏風邪に葛根湯や麻黄湯はあまり使いません。

    でも、私の診察で葛根湯をもらったよ、という人が結構いると思います。実は上に書いたのは単独で処方するときの話です。麻黄湯や葛根湯は石膏を含む他の処方と合わさると温める働きが弱まり、逆に清熱的に働きます。小柴胡湯加桔梗石膏、麻杏甘石湯、越婢加朮湯などが石膏を含む製剤です。これらと合わせることで葛根湯を夏風邪にも使えるようにアレンジしています。このように、私たち漢方専門医は同じ風邪でも季節により処方を変えているのですが、素人が薬局に並んでいる漢方を適当に買うと、そういった理屈がわからず失敗するかもしれません。薬局にも漢方に詳しい薬剤師さんがいるかも知れませんので、心配なら、自己判断でなく専門家に尋ねて下さい。

  • ベースアップ加算に頼らず自力で頑張る

    この6月診療報酬改定があり、今回は循環器内科や糖尿病内科などを狙い撃ちにした厳しい改定でした。何も対策しないととんでもない減収になり、病院機能を維持するのも難しいレベルでした。私の恩師の一人で開業されている先生も、今月閉院されました。クリニック経営には大変な時代になりました。今回は循環器など生活習慣病を見ている私たちが痛い目に会いましたが、おそらく次回は消化器とか、呼吸器とか、次々と分野を広げて来ると思います。これもすべて、高齢化に伴う医療費の増大が原因ですが、そもそも国民の平均年齢が上がり、団塊の世代がみな後期高齢者になって医療費が上がるのは最初からわかっていること。必要な医療費は必要なのだから、削減してクリニックの経営もままならない状態にするのはどうかと思います。

    問題はクリニックだけでなく、医薬品メーカーも相当なダメージです。毎回薬価改定でどんどん値下げされたため、ジェネリック医薬品などは作れど作れど安すぎて会社の設備投資もできない。バカバカしくなって作るのをやめたところが山程あります。咳止めも、ビタミン剤も何もかも入手困難です。原材料は値上がりしているので、作れば損をする。一方、新しいバイオ製剤や抗がん剤などはびっくりするほど値段が高い。製薬会社もそちらの分野にだけ勢力をかたむけています。これだと、一錠10円の薬を9円に値下げしても、バイオ製剤1回で何十万という値段がするので、医療費全体としては安くなりようがありません。

    さて、その改定後最初の月が今週で終わろうとしています。当院はスタッフみんなでいろんな対応を考えて努力してくれたおかげで、減収を免れ、前年同月と同等の実績で推移しています。ホッとしています。国はスタッフの給料を上げるためベースアップ加算を申請したら、初診料や再診料を上乗せできる仕組みを作っていますが、当院はそんな加算で患者さんから何百円か余計にいただくのも申し訳ないので申請していません。自力で精一杯働いて、その分でベースアップするつもりです。