むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • いよいよ新学期

    今週は小中高校の入学式でした。幸い天気にも恵まれ、よかったですね。お子さんが進学されたご家庭におかれましては、おめでとうございます。幸せで楽しい学校生活でありますように。私の家族は約5年のアメリカ留学の後、長男の小学校入学を機に帰国しました。それからあっという間に15年近くが経ち、長男は大学2年生、次男は大学1年生になりました。早いものです。当院の向かいには東稜高校がありますが、先日入学式ではフォーマルウェアーに身を包んだご両親の姿も見られました。今日老人ホームに往診に行った際には、さっき入学式が終わったという感じの小学1年生とそのご両親と思われる家族連れがおじいちゃんおばあちゃんに晴れの姿を見せに来ていました。初々しくてとても微笑ましい光景です。

    これからしばらくは新一年生が登校しますので、車の運転にはくれぐれも注意しましょう。横断歩道も、道を渡るのに慣れていない子どもたちが通りますから気づいたら止まってあげましょう。当院前は通学路ですのでスピードの出しすぎには注意しましょう。もう一つ気になるのは、保護者の交通整理です。素人が手旗をもって交通整理するのは実に危ないです。子供のことにばかり目がいって、周りの車や自転車の状況を見ていない親がたくさんいます。危ないことこの上ないですが、仕方ありません。イライラせずにゆっくり走りましょう。

    心配性も行き過ぎると病的になる場合があります。子供が学校でうまくやれているだろうか、友達はできるだろうか、いじめられたりしないだろうか、考え出すとキリがありません。そして、心配の挙句、ずっと学校の近くでうろうろするというお母さん。子供が帰ってくるまで家事に手がつかないようなら病気です。物騒な事件もたまにはありますが、増えていることはないと思います。どちらかと言うと、不安がつのった挙句に学校の先生に文句(クレーム)を言うモンスターペアレントの方が増えて社会問題になっています。心当たりはありませんか?

    ホスピタルメントにて

     

  • 4月はストレスの季節です

    新年度に入り、はや1週間が経ちました。当院前にある東稜高校では入学式でした。この4月から新しい仕事についたり、部署が変わったり、昇格して責任が増えたり、いろんな変化があることと思います。4月いっぱいは一生懸命仕事をおぼえて働こうとします。そう、みなさん気が張っていて気がつかないかも知れませんが、4月はストレスの季節なのです。ある時ぷっつり糸が切れたように緊張が切れて「もう仕事に行けない」という事態に陥ることがあります。いわゆる五月病です。

    心療内科を標榜していると、すでに五月病とも言えるような症状で来院される方がいます。以前同じような症状で苦しんだいう場合、その経験から早めに来院されます。もちろん、早めに対処すれば、あまりひどくならずにすむと思います。しかし、多くの場合、5月の連休までなんとか頑張って、休みが開けた途端に体が動かなくなったというパタンが多いようです。去年の5月は当院も大忙しでした。

    新しい仕事が覚えられない、自分の実力を超えている、部下を思ったように引っ張れない、など責任感が強いのに思ったようにいかず、自分を責める人が調子を悪くします。今のうちから、わからないことは前任者や上司に相談しましょう。うるさがられるとか、迷惑かけるとは考えず、図々しく聞くしかありません。案外聞いてみると教えてくれるものです。本来、教える側は教えてもらう側より偉そうに振る舞えるため、気分は悪くないと思います。

    また、忙しすぎて、朝昼ごはんを食べないというのもよくありません。晩ご飯だけでも栄養たっぷり取ればいいのですが、帰ったら疲れて寝るだけという場合、気がついたら極度の栄養失調で体調を崩してしまいます。甘いものは食べても意味がありません。チーズや卵、ナッツなど、コンビニでも買える栄養のあるものをつまむだけでも全然違うと思います。体調の自己管理は社会人としての責任です。

  • 夏には夏の漢方

    温かいを通り越して暑いくらいの毎日です。桜は週末一気に散ってしまいましたが、今年は雨がふらずにずっと花見を楽しめました。桜が満開の時期に雨がふらなかったのは珍しいことです。そして、桜が終わったと思ったら、一気にハナミズキが咲いたり、ツツジが咲いたりしてきました。例年に増して季節がどんどん進みます。このまま一気に夏まで行ってしまいそうです。しかし、自然というのはそう単純ではありません。きっともうすぐ寒の戻りなどもあり、咲いている花たちをびっくりさせることでしょう。私達の体も急に暑くなってきて適応に苦労していることと思います。

    風邪では、冬の風邪には葛根湯や麻黄湯を使います。体をあたためて寒気をとる漢方です。しかし、今週くらいからは、葛根湯や麻黄湯を使うような冬風邪の患者さんが急にいなくなりました。すでに夏風邪の症状が出ています。このような場合、中国では天津感冒片とか銀翹解毒片を使うのですが、日本では漢方専門薬局のようなところにしかおいてありません。私達が通常処方する保険適応の処方には夏風邪専用の処方はあまりありません。

    そこで、私が使うのは小柴胡湯とか小柴胡湯加桔梗石膏という処方です。炎症をとったり、喉の痛みをとってくれます。これらはまあまあ夏風邪にも使える処方です。いっぽう、寒の戻りが来たり、エアコンを入れて寝たら風邪引いた、という場合は寒の邪に侵されていますから麻黄湯や葛根湯の出番が来るかもしれません。このように、漢方では寒熱虚実と季節の移り変わりなどを的確に治療に反映させます。

  • 自宅にも血圧計を

    血圧計を持っていますか?家庭で測る血圧と病院で測る血圧には結構差が出ます。多くの人は家庭ではそんなに高くないのに病院ではなぜか高くなるといいます。これを白衣高血圧と言います。大事なのは家庭での日頃の血圧ですから、病院での数値より家庭の血圧を重視します。以前は水銀柱の血圧計で聴診器がないと測れませんでした。これにはうまく測るための練習も必要で、家庭で気軽に測る事はできませんでした。今はスイッチを押すだけで測れる自動血圧計が簡単に入手され、家庭用でもかなり精度が良く、信頼できます。

    家庭に血圧計がないので、スポーツジムや温泉施設においてあるものを使って時々測るという方もいます。これには一つポイントがあります。運動や入浴の前に測ることです。運動や入浴の結果、末梢の血管が拡張して血管抵抗が下がりますから血圧は必然的に下がります。その数字だけを信じていては正しい評価ができません。

    もう一つ家庭で測るポイントが、朝の薬を飲む前に測るということです。病院で測る時は朝の薬を飲んで数時間たっており、いちばん薬の効果が出ているタイミングです。このタイミングでいい血圧でも、朝の薬を飲む前には薬の効果が切れて高くなっていることがしばしば見られます。血圧の薬を飲んでいる方やそろそろ飲む必要がありそうなら血圧計をご家庭に常備されることをおすすめします。その際には医療用メーカーのテルモやオムロンの上腕で測るタイプをおすすめします。

    ホスピタルメントにて芝桜

  • 糖尿病と筋力低下(サルコペニア)

    土曜日の夕方、糖尿病の勉強会に参加しました。テーマは、筋力低下です。糖尿病がある場合、ない人に比べて筋力低下(サルコペニア)が増加するそうです。理由は色々考えられます。一つはインスリン感受性の低下。糖尿病の人の多くはインスリンが出ているのに、体の反応が悪くなります。その結果、血液中のブドウ糖が組織に取り込まれずに余ってしまい、高血糖になります。つまりインスリン感受性が低下することで糖の利用が効率的にできないため筋肉もエネルギー不足になってしまいます。

    また、糖尿病ではカロリー摂取を制限するため、栄養不足になっています。栄養とカロリーは違います。炭水化物はカロリーですが、栄養ではありません。肉、魚、野菜などは栄養です。タンパク質、ミネラル、ビタミンをたくさん含みます。したがって、糖尿病の人は炭水化物を制限し、おかずはきちんと食べるべきなのですが、ご飯もおかずも制限してこじんまりした食事にしてしまうので体が痩せてしまいます。糖尿病の人の栄養不足を解消するには、体重1キロあたり1-1.2gのタンパク質、ビタミンA, B, C, D, Eをまんべんなく十分量とる必要があると言うお話でした。従来の栄養指導が完全に旧石器時代の遺物になったくらい重大なパラダイムシフトです。私が思うに、これだけのビタミンを食事制限しながらとるのは難しいので、やはりサプリをうまく利用すべきではないでしょうか。

    ローカロリーで栄養のあるものといえば、豆腐、チーズ、卵、赤身の肉、チキンなどです。こういったタンパク質と野菜をしっかり食べることが大切だと思います。また、糖尿病の人はこれまでヘモグロビンA1cをできるだけ低く設定して頑張っていましたが、65歳以上の患者さんの場合、7を切らないように(7から8の間で)コントロールするべきだと言うお話でした。大変勉強になりました。

    往診先のホスピタルメントにて