むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 糖尿病と筋力低下(サルコペニア)

    土曜日の夕方、糖尿病の勉強会に参加しました。テーマは、筋力低下です。糖尿病がある場合、ない人に比べて筋力低下(サルコペニア)が増加するそうです。理由は色々考えられます。一つはインスリン感受性の低下。糖尿病の人の多くはインスリンが出ているのに、体の反応が悪くなります。その結果、血液中のブドウ糖が組織に取り込まれずに余ってしまい、高血糖になります。つまりインスリン感受性が低下することで糖の利用が効率的にできないため筋肉もエネルギー不足になってしまいます。

    また、糖尿病ではカロリー摂取を制限するため、栄養不足になっています。栄養とカロリーは違います。炭水化物はカロリーですが、栄養ではありません。肉、魚、野菜などは栄養です。タンパク質、ミネラル、ビタミンをたくさん含みます。したがって、糖尿病の人は炭水化物を制限し、おかずはきちんと食べるべきなのですが、ご飯もおかずも制限してこじんまりした食事にしてしまうので体が痩せてしまいます。糖尿病の人の栄養不足を解消するには、体重1キロあたり1-1.2gのタンパク質、ビタミンA, B, C, D, Eをまんべんなく十分量とる必要があると言うお話でした。従来の栄養指導が完全に旧石器時代の遺物になったくらい重大なパラダイムシフトです。私が思うに、これだけのビタミンを食事制限しながらとるのは難しいので、やはりサプリをうまく利用すべきではないでしょうか。

    ローカロリーで栄養のあるものといえば、豆腐、チーズ、卵、赤身の肉、チキンなどです。こういったタンパク質と野菜をしっかり食べることが大切だと思います。また、糖尿病の人はこれまでヘモグロビンA1cをできるだけ低く設定して頑張っていましたが、65歳以上の患者さんの場合、7を切らないように(7から8の間で)コントロールするべきだと言うお話でした。大変勉強になりました。

    往診先のホスピタルメントにて