むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 夏には夏の漢方

    温かいを通り越して暑いくらいの毎日です。桜は週末一気に散ってしまいましたが、今年は雨がふらずにずっと花見を楽しめました。桜が満開の時期に雨がふらなかったのは珍しいことです。そして、桜が終わったと思ったら、一気にハナミズキが咲いたり、ツツジが咲いたりしてきました。例年に増して季節がどんどん進みます。このまま一気に夏まで行ってしまいそうです。しかし、自然というのはそう単純ではありません。きっともうすぐ寒の戻りなどもあり、咲いている花たちをびっくりさせることでしょう。私達の体も急に暑くなってきて適応に苦労していることと思います。

    風邪では、冬の風邪には葛根湯や麻黄湯を使います。体をあたためて寒気をとる漢方です。しかし、今週くらいからは、葛根湯や麻黄湯を使うような冬風邪の患者さんが急にいなくなりました。すでに夏風邪の症状が出ています。このような場合、中国では天津感冒片とか銀翹解毒片を使うのですが、日本では漢方専門薬局のようなところにしかおいてありません。私達が通常処方する保険適応の処方には夏風邪専用の処方はあまりありません。

    そこで、私が使うのは小柴胡湯とか小柴胡湯加桔梗石膏という処方です。炎症をとったり、喉の痛みをとってくれます。これらはまあまあ夏風邪にも使える処方です。いっぽう、寒の戻りが来たり、エアコンを入れて寝たら風邪引いた、という場合は寒の邪に侵されていますから麻黄湯や葛根湯の出番が来るかもしれません。このように、漢方では寒熱虚実と季節の移り変わりなどを的確に治療に反映させます。