むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 弱火のマジック

    この数日、熱中症で受診される患者さんが目立つようになってきました。特に屋外で作業をされる方や、冷房設備のない工場で働いている方は、非常に過酷な環境に置かれています。

    気温が36℃を超えるような日は、いくら水分補給をしていても限界があります。水分や塩分を補給することはもちろん大切ですが、それだけでは不十分です。時間を決めて冷房の効いた場所で体温を下げる時間を確保しなければ、体調を崩してしまうのは時間の問題だと思います。

    私が特に心配しているのは、学生さんの部活動です。

    「試合があるから出場しなければならない」と言って、この猛暑の中でも練習や試合に参加している学生さんがおられます。しかし36℃を超える環境で激しい運動をすることは、本当に危険です。

    高校野球をはじめ、多くの人が注目する大会が真夏の炎天下で行われていることについても、そろそろ真剣に考え直す時期ではないでしょうか。

    さて、話は変わります。

    今読んでいる本が、あまりにも衝撃的だったのでご紹介したいと思います。

    まだ全体の3分の1ほどしか読んでいませんので、本全体の感想を書くには早いのですが、それでも「これはすごい」と思わずにはいられませんでした。

    その本が、水島弘史さんの『読むだけで腕が上がる料理の新法則』です。

    著者は「日本一予約が取れない料理教室」の講師として知られており、私が最近何度も話題にしている「ロジカルクッキング」をさらに一歩進めた内容になっています。

    食材を正確に計量し、塩も0.1g単位で量るといったことは、この本ではむしろ当たり前。その先にある「なぜその調理法が美味しくなるのか」を科学的に説明しているのです。

    特に印象的だったのは、「火力」に対する考え方でした。

    私たちは家庭用コンロは火力が弱いから、できるだけ強火で調理した方が美味しくできると思いがちです。しかし著者は、何度もこう書いています。

    「多くの人は火力が強すぎるために、美味しく作れない。」

    この一文には本当に驚きました。例えば野菜炒めです。

    普通はフライパンを十分熱し、強火で一気に炒めるのが常識です。しかし実際には野菜から水分が出てしまい、べちゃっとした野菜炒めになってしまうことが少なくありません。ところが、この本で紹介されている方法はまったく逆です。

    冷たいフライパンに材料を入れ、油を回しかけ、弱火で加熱する。

    最初に読んだときは、「そんな方法で本当に野菜炒めになるのだろうか」と半信半疑でした。

    そこで今日、帰宅後に本の通りに作ってみました。

    キャベツや椎茸などを切ってフライパンへ入れ、弱火でじっくり加熱します。家のIHコンロでは最大が5ですが2で調理しました。

    強火と違って焦げる心配がほとんどないので、その間に別の料理を作ることもできます。途中で2〜3回混ぜるだけで、野菜全体にゆっくり均一に火が通っていきます。しかも、人参やもやしのように火の通る速さが違う食材を一緒に入れても、不思議なほど均一に仕上がります。そして最後に、あらかじめ計量しておいた塩を加え、30秒ほど混ぜて完成です。塩を最後まで入れないため、野菜から余分な水分がほとんど出ません。

    出来上がった野菜炒めを食べて、本当に驚きました。

    これまで何十年も「野菜炒めは強火で一気に」という常識で作ってきましたが、その考えが完全に覆されたのです。弱火でじっくり火を通した野菜は驚くほどシャキシャキで、水っぽさはまったくありません。

    「自分は今日、いったい何をしたのだろう」と思うくらい、今まで食べた野菜炒めとは別物でした。

    料理というのは経験や勘だけでなく、理論を理解するとここまで変わるものなのか──そんな感動を覚えました。

    まだ読み始めたばかりですが、この先にはさらに多くの発見がありそうです。

    料理がお好きな方には、ぜひ一度読んでいただきたい一冊です。

    上之裏 「THE中華メシ」のエビチリ定食

  • 私の暑さ対策(運転時)

    毎日、昼の最も暑い時間帯に訪問診療へ出かけています。

    昨年は暑さ対策として、さまざまなグッズを試しました。便利なものはたくさんありましたが、どんなに効果があっても、使うのが面倒なものは毎日続きません。その中で、今年も変わらず愛用しているのが「濡らして使う冷感タオル」です。

    これは薄手のタオルを水で濡らして軽く絞り、首にかけて使うものです。タオルの水分が蒸発するときに気化熱を奪うため、首元がひんやりと感じられます。最近は首に巻くリング状の冷却グッズを使っている方もよく見かけますが、そのタオル版といったイメージです。

    濡らした直後はもちろん冷たいのですが、首の体温でタオルがぬるくなってきても、一度首から外して数回パンパンと振るだけで、再び気化熱によって冷たさが戻ってきます。

    私は運転中もこのタオルを首にかけたまま訪問診療をしています。訪問が長くなると途中で乾いてしまうため、老人ホームの水道をお借りして再び濡らすこともありますが、1〜2回水分を補給するだけで最後まで快適に過ごせます。これを使うのと使わないのとでは、訪問診療を終えてクリニックに戻ってきたときの疲労感がまったく違います。

    もう一つ、昨年よく使っていたのが腕カバーです。半袖のまま車を運転していると、腕がヒリヒリするほど日焼けしてしまうため、腕カバーを着け、その上から水で濡らして使っていました。

    これが意外に効果的で、腕全体がひんやりしてとても快適でした。しかし今年は、同じような気温でも昨年ほど暑さを感じていません。そのため、今のところは腕カバーまでは使わず、冷感タオルだけで十分過ごせています。

    さらに昨年購入したグッズとして、無印良品の「ひんやりボディミスト」もあります。腕カバーや衣類の上からスプレーすると、メントールの清涼感でさらに涼しく感じられます。これも非常に気持ちがよく、今年もすぐ使えるよう準備はしてあります。

    とはいえ、私にとってはまだ「出番」というほどではなく、今のところは出番待ちの状態です。

    しかし天気予報を見ると、明日から来週いっぱいは最高気温が36〜37℃の予報です。「今使わなかったら、いつ使うの?」と言いたくなるような猛暑日が続きそうです。

    来週の訪問診療では、冷感タオルに加えて腕カバーやひんやりミストも投入し、暑さに負けない万全の態勢で訪問したいと思っています。

    猛暑はまだまだ続きそうです。屋外で仕事をされる方はもちろん、室内にいる方も油断は禁物です。こまめな水分・塩分補給と適切な暑さ対策を行い、この夏を元気に乗り切りましょう。

    Geminiに挿絵を描いてもらいました

  • 熱中症に注意

    連日の猛暑が続いています。

    今日も昼に訪問診療で外回りをしましたが、いつも混雑している道路は心なしか車が少なく、歩いている人もほとんど見かけませんでした。そのおかげで移動はいつもよりスムーズでしたが、街の様子はまるで正月やお盆のような静けさで、不思議な感覚でした。

    それほどまでに、この暑さは日中の外出をためらわせるものになっています。

    昼間に特別な用事がないのであれば、できるだけ外出は控えたほうがよいと思います。短時間でも体調を崩すことがあります。

    今日、患者さんから、
    「水分をしっかり取っていたから熱中症にはならないと思っていたけれど、少し外を歩いただけで頭痛と吐き気が出ました」
    というお話を伺いました。

    熱中症は、高温環境にさらされることで体温調節機能が破綻し、全身にさまざまな異常をきたす病気です。脱水があるとさらに悪化しやすくなりますが、水分を十分に摂っているからといって熱中症を防げるわけではありません。

    「水分を飲んでいるから大丈夫」と油断せず、暑い時間帯の外出そのものを避けることが最も大切です。重症化すると命に関わることもありますので、十分注意してください。

    また、
    「エアコンが苦手だから夜はつけずに寝ています」
    という方も少なくありません。

    しかし、最近は夜になっても気温が30℃近くまでしか下がらない日が続いています。そのような室温の中で一晩過ごすと、眠れたとしても体は一晩中暑さにさらされ、体力を大きく消耗してしまいます。

    熱中症は屋外だけでなく、室内でも起こります。就寝中の熱中症も珍しくありませんので、夜間も適切にエアコンを使用することをおすすめします。

    特に高齢者では暑さを感じにくくなり、「寒い」と言ってエアコンをつけたがらない方をよく見かけます。しかし、本人は平気だと思っていても、体には確実にダメージが蓄積しています。

    ご家族の方は、室温を確認しながら適切にエアコンを使用し、こまめな水分補給を勧めていただければと思います。

    以前にも少し書いたことがありますが、熱中症のように強い日差しを浴びて体調を崩した場合、水素吸入は比較的速やかに体調の改善を実感される方が多い印象があります。

    私自身も、毎日訪問診療で炎天下を回った後は、クリニックに戻って10〜15分ほど水素吸入をしています。それだけでも疲労感が軽くなり、午後の診療に向けて体力が回復するのを実感しています。

    強い紫外線を浴びると、体内では活性酸素が大量に発生します。水素には、この活性酸素の一部を選択的に除去する作用が報告されており、暑さや紫外線による体へのダメージを軽減する可能性が期待されています。

    当院では、水素吸入を希望される方に施行しています。初回のみ吸入用カニューレをご購入いただきますが、その後はご持参いただければ繰り返し使用できますので、追加費用はかかりません。

    漢方では、夏バテによる倦怠感や食欲低下には清暑益気湯(せいしょえっきとう)補中益気湯(ほちゅうえっきとう)をよく使用します。

    一方、熱中症のように急な頭痛や吐き気、顔のほてりなどを伴う場合には、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)が適するケースがあります。

    また、炎天下でのスポーツや屋外作業が予定されている方では、体質によっては事前に黄連解毒湯を服用することで症状の予防に役立つこともあります。

    もちろん、漢方を飲んでいるから熱中症にならないわけではありません。暑さを避けること、こまめな休憩、水分・塩分補給が基本であり、漢方はあくまで補助的な役割と考えてください。

    毎日のように危険な暑さが続いています。

    「これくらいなら大丈夫」という油断が一番危険です。

    少しでも頭痛やめまい、吐き気、強いだるさなどを感じたら無理をせず、すぐに涼しい場所へ移動して体を冷やし、水分・電解質を補給してください。症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

  • 「ホスト」を体験!

    今日は初めて「ホスト」を体験しました。ホストと言っても、歌舞伎町のことではなく、Zoom のホストです。

    これまで数多くのオンライン講演会や学会に参加してきましたが、いつも参加者の立場でした。ところがこのたび、日本東洋医学会熊本県部会でオンライン勉強会を開催することになり、私が Zoom のホストを担当することになりました。今日はその予行でした。

    現在は勉強会の案内チラシを作成している最中で、近日中に公開する予定です。内容は初心者向けの漢方基礎講座で、講師は熊本赤十字病院の加島先生にお願いしています。

    漢方を勉強するときによく見られるのは、「この病気にはこの漢方薬」という使い方ばかりを覚えようとして、本来最も大切な基礎理論を十分に学ばないことです。

    西洋医学で例えるなら、生化学や病理学を学ばずに、いきなり内科学や「私はこう治す」といったノウハウ本だけを読んでいるようなものです。もちろん臨床経験は重要ですが、それを支える基礎がなければ知識は断片的になり、応用力も身につきません。

    基礎を学んだからといって翌日から診療に役立つわけではありません。しかし、長い目で見ると、確かな基礎知識こそが診療の幅を広げ、難しい症例に出会った時の判断力につながります。そのため今回の勉強会では、まず土台となる知識をしっかり身につけていただきたいと思っています。

    私自身にとっては漢方の勉強も楽しみですが、それ以上に Zoom のホストを引き受けたことで、新しい経験を積めることを期待しています。本番で慌てないよう、ミーティングの作成方法や参加者の管理、画面共有などを何度も練習し、トラブルなく運営できるよう準備を進めています。

    私もようやく Zoom を使えるようになってきました。十分に習熟できれば、将来的には少人数からオンライン診療にも対応できるかもしれません。DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れに取り残されないよう、今回の経験を今後の診療にも生かしていきたいと考えています。

    さて、テレビをつけると連日のように猛暑のニュースが流れています。熱中症で救急搬送される方も非常に多く、本格的な暑さが続いています。

    私は日中はエアコンの効いた診察室で外来診療をしていますが、昼休みには訪問診療で老人ホームや患者さんのご自宅を回っています。短い距離を何カ所も移動するため、車のエアコンが十分に効く前に次の目的地へ到着してしまいます。結果として暑い屋外と車内を行き来することになり、思っている以上に体力を消耗します。

    そこで夏バテ予防に何か体によいものを食べようと思い、「ネバネバ食品」を使った料理を作ってみました。

    今日は山芋をフードプロセッサーですりおろし、オクラやキノコを加えたネバネバのおじやです。味付けには、先日手作りした味噌を使いました。ご飯はほんの少しだけにして、とろろをたっぷり入れています。暑い日でも食べやすく、胃にも優しく、体に染み渡るようなおいしさでした。

    患者さんからは「暑いのでそうめんばかり食べています」という話をよく聞きます。確かに食べやすいのですが、そうめんだけでは炭水化物が中心となり、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足しがちです。それでは暑さに負けない体を維持することはできません。

    まだまだ猛暑が続きます。十分な水分補給と適度な塩分補給に加え、栄養価の高い食事をしっかり摂って、元気に暑い夏を乗り切りたいものです。

  • ビールの飲み過ぎは痛風に注意

    連休明けの火曜日は、朝から夕方まで一日を通して非常に忙しい一日となりました。

    風邪などの感染症の患者さんはほとんどおられませんでしたが、定期的に通院されている患者さんに加え、新患の方が約20名来院され、検査や診察に時間を要しました。

    夏の血圧変動

    夏の暑い時期は血圧が低めになる患者さんが多いのですが、不思議なことに今日は高血圧を主訴に来院された新患の方が数名おられました。

    夏は暑さで血管が拡張し、一般的には血圧が下がりやすくなります。しかし、屋外の猛暑と冷房の効いた室内を頻繁に行き来すると、自律神経が影響を受けて血圧が不安定になることがあります。こうした寒暖差も、この時期の血圧変動の一因かもしれません。

    熱中症について

    また、屋外で仕事をされている方の中には、熱中症が疑われる症状で受診された方も数名おられました。この猛暑の中での屋外作業は本当に大変だと思います。

    喉が渇く前からこまめに水分と塩分を補給し、30~60分ごとを目安に日陰や冷房の効いた場所で体を冷やしながら作業を続けることが大切です。少しでも頭痛やめまい、吐き気、強いだるさを感じたら、「まだ大丈夫」と無理をせず、すぐに休憩を取るようにしてください。

    一方で、梅雨明け以降は「頭痛が減って体調が良くなりました」と話される患者さんもおられ、こちらとしても少し安心しました。

    痛風発作の増加と注意点

    さらに、この時期になると増えてくるのが痛風発作です。

    暑くなるとビールなどのアルコールを飲む機会が増えますが、アルコールは尿酸値を上昇させるだけでなく、脱水も招きやすいため、痛風発作の大きな誘因になります。もともと尿酸値が高めの方では、一気に痛風発作を起こしてしまうことも少なくありません。

    暑い日に冷えたビールがおいしい気持ちはよく分かりますが、飲み過ぎには十分注意してください。また、以前から尿酸値が高いと言われている方は、尿酸を下げる薬を自己判断で中断せず、毎日きちんと服用することが大切です。

    痛風発作は少し不思議な病気で、発作時の血液検査では尿酸値がそれほど高くないことも珍しくありません。これは、尿酸が血液中ではなく関節の中やその周囲に尿酸塩結晶として蓄積しているためです。そのため、採血だけでは関節内にどれだけ尿酸が蓄積しているかを知ることはできません。

    過去に高尿酸血症の状態が長く続いていた方では、関節内に蓄積した尿酸塩結晶が残っていることがあります。そこに脱水や激しい運動、飲酒などが加わると結晶に対する炎症反応が起こり、激しい痛風発作につながります。

    一度蓄積した尿酸塩結晶は、血液中の尿酸値を十分低い状態(一般的には6.0mg/dL未満、痛風結節がある方ではさらに低い値)で長期間維持することで、少しずつ溶けて減っていくことが分かっています。そのため、採血で「正常範囲だから安心」と考えるのではなく、再発予防を目的として継続的に尿酸をコントロールすることが重要です。

    暑さが厳しいこの季節は、熱中症だけでなく痛風発作にも注意が必要です。水分補給を心がけ、アルコールは適量にとどめ、尿酸値が高い方は内服を継続して、この夏を元気に乗り切っていただければと思います。

    イメージ画:Geminiで作成