むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 昼休みの過ごし方

    私は昼休みにほぼ毎日往診に出かけています。片道30分くらいかかるところまで行っているので、往復するだけで1時間かかります。昼休みを12時半から2時半まで2時間取っていますが、午前の診療が昼にずれ込むと往診のスケジュールがかなりタイトになります。そんな中、たまに往診のない日があります。そうすると2時間の昼休みです。ご飯を食べても1時間はゆっくり休めます。私はこの往診のない日の昼休みにはクリニックの周りをランニングしています。

    今日は冬とは思えないほど暖かい一日でした。たまたま往診が入っていなかったので、クリニックから沼山津神社まで走り、秋津方面を回ってぐるっと約8キロのランニングをしました。沼山津神社付近は地震の被害が大きかったところで、神社も鳥居が壊れてしまって無残な姿でした。しかし今では、鳥居こそありませんが、ずいぶん元の姿に戻ってきました。復旧が進むのは嬉しいことです。わたしの犬の散歩コースの錦ケ丘付近では、セキスイハイムの家を1軒だけ残して右も左も全半壊で更地になってしまったところがあります。セキスイ恐るべしです。更地になったところは寂しいですが、すでに新しく新築の基礎工事が始まったところもたくさんあります。新しい街が生まれつつあります。新生熊本です。

    今日午後はたくさんの外来患者さんに来ていただきました。その中で、私が昼に近所をジョギングしているのを目撃したという方がおられました。また、先日は私がクリニックの前の歩道の落ち葉を掃除していたのを見たという患者さんも来られました。こうなってくると、襟を正してきちんとしておかないといけません。どこで誰に見られているかわからないです。まあ、昔から街医者というのは何十年も同じ場所にいて、相談事があるとなんでも聞いてくれて、地元のために貢献する人、という認識があると思います。そのように地元のみなさんに知っていただき、気軽に声をかけてもらえることが幸せだと感じます。

  • いよいよ建物の引渡し

    1月の霜が立つ極寒の朝に地鎮祭を行い、地盤強化工事、基礎工事、棟上げ、そして熊本地震。

    地面の下から古い建物の瓦礫が出たことから、昨年末に全部掘り起こした、その結果、地盤が少し弱くなったということで、たまたまだけどかなりお金をかけて地盤強化を行っていた。掘り起こして緩くなった地盤は何年か風雨にさらして放っておけば、また固まってくるのだが、それでは時間がかかりすぎる。そこで、最新の工法を用いて砂利を入れたり固めたり、シートで補強したりした。その上に基礎工事を行い、建物が建っている。

    おかげで地震の被害は全くなかった。ただ、これはタイミングが良かっただけで、内装工事まで済んでいたなら、多少なりとも地震の被害はあっただろうし、壁で覆われた柱の状態は外から見ただけではわからないだろう。

    今回は瓦礫を掘り出したり、地盤強化をしたりしていたため時間が予定より多くかかって、こういうタイミングで地震にあった。もし瓦礫が出なかったら、スケジュール的には1ヶ月以上早く着工し、大した地盤強化もせずに着工しただろうと思う。そう考えると、すべて、土地の中から瓦礫が出たおかげとしか言いようがない。見た目はコンクリートの塊で、瓦礫でしかないのだが、結果的には宝の山だったということになる。

    震災の影響は、建設会社の社屋にも及び、会社の人たちは急遽立ち退きを迫られた。大工さんたちも自宅がかなり被害にあったりしながらも、以前立てたクリニックの補修などに追われた。国の仮設住宅の建設にも駆り出された。当然工事は遅れた。しかしこればかりは誰のせいでもない、仕方ないこと。地震の後は梅雨の長雨でなかなか外回りの工事が進まなかった。

    そんなこんなで、ついにすべての工事が終了し、8月5日、引渡しとなる。僕らの普通の感覚では、建物を引き渡されたらそこに入居して新しい生活が始まる、ということでいいのだが、クリニックはそうはいかない。ここに病院という機能を吹き込み、患者さんをみる体勢を整えなければいけない。また、何人もの人が自分の家族を養うだけの職場としての機能や収益性も求められる。さらに、保健所と厚生局という国の管理のもと、法にのっとった仕事をしないといけない。広告も規制があるし、内装なども図面通りでなければいけない。模様替えしても保健所に届ける必要がある。

    今日から、この建物に病院としての機能を吹き込む大事な仕事が残っている。1週間以内にすべて準備して保健所の検査を受ける予定だ。

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    写真はクリニック南側に植えた生垣。左側の住宅と1mくらい段差があるので、ブロックを積むより生垣の方が地盤が強化されて崩れにくいし、危険が少ないということと、広い駐車場をアスファルトで埋め尽くしたので、少しでも緑化に貢献しないといけないという思いです。

     

  • くまもと森都総合病院年報の原稿

    くまもと森都総合病院に週1回通って漢方外来を担当しています。そこで、毎年恒例の年報を書いてくれと言われて原稿を書きました。せっかく書いたのですが、よく見たらH28年3月までの内容を書くようにと指示があり、熊本地震は4月の出来事なので、残念ながら内容がそぐわなかったのでボツにして、こちらにそのまま載せようと思います。以下、ボツ原稿です。

    <<<漢方内科>>>

    今年は熊本地震の影響で、心身ともに体調を壊して来院される患者さんがかなり多く見られています。地震の直後に多かったのはめまい、ふらつきです。私の外来では、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)という処方を多用しました。また、地震後の不眠も多く、余震がまだ多かった頃は睡眠薬や安定剤を飲んで寝るのは怖いという患者さんも漢方で眠れるなら是非欲しいと言って大勢受診されました。使った処方は柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)や酸棗仁湯(サンソウニントウ)ですが、どちらも大変よく効きました。実は、東北の大震災でいろんな漢方治療が使われて、効果が認められたのは論文化されているため、今回熊本で地震があった際にもすぐに東北での経験をもとに、こんな時にはこんな処方がいい、という情報が回ってきました。最初はその情報に基づいて使ったのですが、東北の大震災は3月の東北で、今回は4月の熊本。季節はかなり違うのです。東北ではまだ寒い時期ですが、熊本はやや暑い。この違いを考慮しないと漢方はきちんと効きません。そこで、最終的には上記の苓桂朮甘湯や酸棗仁湯を多用した次第です。最近は、震災時に一生懸命頑張ってなんとかやってきた人たちが、疲れがどっと出たと言って来院されるケースが多くなっています。こういう時は補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や加味帰脾湯(カミキヒトウ)を使います。皆さんも是非参考にされてください。

    当漢方外来は熊本大学医学部の学生の臨床実習を兼ねていますので、患者さんの診察に学生さんたちが立ち会います。患者さんにはいつも協力いただいて、感謝しています。

     

  • 木製の椅子

    クリニックの待合にいくつか木製の椅子を置こうと思い、注文しています。座り心地が良く、がっちりしたものです。待合ロビーは受付の方を向いて座るようなソファーがありますが、人によっては人目が気になって落ち着かないだろうと思い、壁側を向いても座れるような席を作りました。その席がこの木製の椅子です。

    五家荘工房という家具工房で作ったものです。その職人さんからメールが来て、伝統工芸館に新しい小さな椅子を展示しています、とのことだったので、見に行ってきました。小さめのスツール型の椅子なのですが、座ってみるとなんとも座り心地が良かったです。欲しかったのですが、おくところを考えて今日は買いませんでした。いつか買ってしまうかもしれません。

    伝統工芸館は千葉城町で、目の前に熊本城があります。ニュースの映像では見ていましたが、地震で壊れてしまったお城を目の当たりにして、とてもショックでした。これまでも熊本城は地震その他の災害で何度も修理されて今に至るわけですが、今回の壊れ方は相当なものだと思います。見ていて心が痛みます。復興のシンボルとして早く修理して欲しいと思う反面、まずは生活に困っている人の住むところや道路の整備を優先して欲しいとも思います。

    昨日、私の外来に来た西区に住む患者さんは、マンションの水もガスもまだ復旧しておらず、生活用水は水汲みをして、洗濯は近所の親戚宅に行ったりしているとのことでした。まだ熊本市で益城以外にもこのように大変な生活をされているところがあるのです。今日で地震から3ヶ月たちました。1日も早い復旧、復興を祈ります。

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  • 雨が多い梅雨

    この梅雨は本当に毎日雨ばかりで大変です。洗濯物の心配もあるでしょうが、我が家は地震の被害で天井から雨漏りがしています。毎日水滴が落ちてくる場所にはバケツを置いてしのいでいるのですが、日に日に雨漏りの箇所が増えて、家中のバケツや洗面器、ゴミ箱などを総動員しています。それでも、仕事から帰ってみると予想しないような場所に雨が漏れており、ソファーなども濡れています。

    地震はさておき、この雨の多さは地球温暖化と関連しています。気温が高いとそれだけ海面から水蒸気が上がってきますから、それが前線で雨雲になり、大雨となります。世間では地球温暖化は化石燃料を燃やしたせいだと言われており、大気中の二酸化炭素濃度が重要視されています。

    しかし、ネットで「歴史的な地球の温度」を調べてみると、現在はまだ氷河期の一部分で、やっと氷河期が終わりつつあるタイミングであるとわかります。昔はもっと気温が高く、例えばグリーンランドなどはその名の通り氷などなく緑の美しい楽園のような国だったそうです。おそらくこれからの地球は暑くなったり寒くなったりしながらも大きな流れとしてはグリーンランドが昔のように緑の大地となり、北極や南極の氷も溶ける方向に進むでしょう。そうした中、もちろん雨はこれまで私たちが想定していたような量でなく、びっくりするくらい降るでしょう。そして、竜巻や台風なども経験したことない強さになるでしょう。これは、科学と歴史を考えれば、当然のことです。

    漢方の4000年の歴史の中でも、とても寒かった時期の医学と暖かかった頃の医学では全然処方が違います。私たちは、地球の気温の変化に合わせて医療の内容も変えないといけないのです。これは歴史がそうであったのだから、事実なのです。

    したがって、今私たちにできることは、まず「温暖化がエコや省エネでも食い止められないということを知ること」、そして、「想像をはるかに超える大雨や大風に備えること」です。数年前に建った私の知る老人ホームは、50ミリの雨に耐えられるだけの設計となっています、と言っていましたが、このところ70ミリから80ミリの雨は毎日のように降っています。たった数年前に想定できなかったことが今では日常なのです。歴史に学び、備えましょう。

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