むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • くまもと森都総合病院年報の原稿

    くまもと森都総合病院に週1回通って漢方外来を担当しています。そこで、毎年恒例の年報を書いてくれと言われて原稿を書きました。せっかく書いたのですが、よく見たらH28年3月までの内容を書くようにと指示があり、熊本地震は4月の出来事なので、残念ながら内容がそぐわなかったのでボツにして、こちらにそのまま載せようと思います。以下、ボツ原稿です。

    <<<漢方内科>>>

    今年は熊本地震の影響で、心身ともに体調を壊して来院される患者さんがかなり多く見られています。地震の直後に多かったのはめまい、ふらつきです。私の外来では、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)という処方を多用しました。また、地震後の不眠も多く、余震がまだ多かった頃は睡眠薬や安定剤を飲んで寝るのは怖いという患者さんも漢方で眠れるなら是非欲しいと言って大勢受診されました。使った処方は柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)や酸棗仁湯(サンソウニントウ)ですが、どちらも大変よく効きました。実は、東北の大震災でいろんな漢方治療が使われて、効果が認められたのは論文化されているため、今回熊本で地震があった際にもすぐに東北での経験をもとに、こんな時にはこんな処方がいい、という情報が回ってきました。最初はその情報に基づいて使ったのですが、東北の大震災は3月の東北で、今回は4月の熊本。季節はかなり違うのです。東北ではまだ寒い時期ですが、熊本はやや暑い。この違いを考慮しないと漢方はきちんと効きません。そこで、最終的には上記の苓桂朮甘湯や酸棗仁湯を多用した次第です。最近は、震災時に一生懸命頑張ってなんとかやってきた人たちが、疲れがどっと出たと言って来院されるケースが多くなっています。こういう時は補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や加味帰脾湯(カミキヒトウ)を使います。皆さんも是非参考にされてください。

    当漢方外来は熊本大学医学部の学生の臨床実習を兼ねていますので、患者さんの診察に学生さんたちが立ち会います。患者さんにはいつも協力いただいて、感謝しています。