むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ハザードマッップと指定避難場所

    熊本地震の本震から2年目の今日は肌寒く雨の降る一日でした。あの日の夜、こんな冷たい雨が降っていなかっただけでもラッキーでした。深夜に避難した中学校の校庭でビニールシートをしいて余震におびえた日のことは鮮明に覚えています。晴れていましたが相当寒かったです。もし今日のような雨だったらもっと悲惨だったと思います。実は、この地震が起こる1ヶ月ほど前に当院のホームページのために書きためた文章があります。そのうちいくつかはすでにブログにアップしましたが、まだアップしていないものがあります。なかでもずっと気になっていた文章があります。今日はその文章を以下に掲載させていただきたいと思います。

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    皆さんはハザードマップを見たことがありますか?災害はいつ起こるかわかりません。最近は異常気象と言えるような激しい気象現象も目立ちますから、地震、洪水、津波などの災害時にどのエリアが危ないとか、どこに避難したらいいかといった情報を確認しておいた方がいいと思います。

    市町村のホームページに情報が挙げられています。またあとで、と言わず、今からでも検索してみてください。たとえば、私が住む熊本市の情報は、熊本市のホームページで見ることができます。検索キーワードに「熊本市、ハザードマップ」といれると、洪水、高潮、地震、津波、液状化、に関するハザードマップが見られます。→ https://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=2121

    また、「熊本市、避難場所」と検索すると、各校区ごとに指定避難場所の情報が載っています。私のクリニックのすぐ近くに東稜高校と山ノ内小学校がありますが、いずれも指定避難所になっています。幸いこの辺りは高台にあり、洪水や津波の心配はほとんどありません。通常は、近隣に住んでおられる皆さんの健康と幸せを守るクリニックとして精一杯働きますが、万が一大規模な災害で大勢の避難者が出るような場合には、これらの避難所に最寄りのクリニックですから、避難者全員の健康を守る覚悟で日頃より準備しておきたいと思っています。これは、学校前のクリニックの責任だと思っています。

    あの日も、そしても今年も咲いている玄関先のガーベラ

  • 熊本地震から2年

    熊本地震から2年がたちました。色々変わったこともあれば、何も変わっていないこともあります。私はあの時ちょうど今のクリニックの建築中でした。地震のあと、資材の供給などが遅れたことと、大工さんたちが仮設住宅作りにかり出されたことなどで工期が遅れましたが、幸い建物自体は被害をまぬがれました。一方、自宅の方は屋根が壊れて雨漏りしたり、薪ストーブがとんでもないところまで動いて壊れてしまったり、ブロック塀もボロボロに壊れました。屋根の修理と暖炉の撤去はなんとか済みましたが、それ以外はあの時のままです。食器もたくさん割れてしまいましたが、何も買い足さずそのまま過ごしています。

    強制的な断捨離だったと思えば、諦めもつきます。これからは、「モノ」にこだわらず質素な生活の中に「こころ」豊かに過ごしたいと思いました。一方、災害に対する対策は怠ってはいけません。熊本はもともと地震が少ないから九州の災害支援の拠点にしようと言われていたのに、逆に支援される立場になりました。日本中安全な場所などないのです。あまりたくさん買い揃える必要はないと思うのですが、数日分の缶詰や米、電池、防寒具、レインコートなどの準備は必要でしょう。

    それにもまして大切なのは、健康です。持病がある人は1週間分くらいは薬に余裕を持っておいたほうがいいと思います。持病がない場合、健康増進あるのみです。自分のことは自分で出来るだけの足腰づくりがまずは大切だと思います。

     

  • 最近はやりの風邪

    梅雨に入り季節は確実に夏へと向かっています。そういう中、最近の風邪のはやり具合をおしらせします。まず、インフルエンザですが、時々出ますが、だいぶ減ってきました。いま出ているのはB型ばかりです。高熱、喉の痛み、咳や鼻水といった症状で倦怠感が強い場合、疑いは濃厚となります。次に、感染性胃腸炎。結構な高熱が出ます。嘔吐や下痢でなくても上気道炎症状(せき、鼻水など)がなくて熱が出ている場合は疑います。最近かなり多いです。早い段階では診断がつきにくいですが、1日経過観察すると、翌日には下痢や腹痛などの症状がはっきりして確定できます。

    もう一つ最近多いのは溶連菌感染症です。子供に多いのですが、大人もかかります。発熱、喉の痛みなどがあれば可能性はあります。扁桃腺の腫れ方に特徴があります。また、手足口病も増えています。熱があって倦怠感があるけど鼻水やのどの痛み、咳などの上気道炎症状がはっきりしない場合は口の中や手足にブツブツができていないか確認してみてください。もし見当たれば、手足口病です。

    もしこのような感染症にかかっても心配はいりません。インフルエンザはもちろんですが、溶連菌感染症にも効く抗生物質があります。以前は10日分飲まないといけなかった抗生剤も最近は5日で大抵の場合終了できます、

  • あれから1年

    やはり今日はこのことを書いておこうかと思います。

    熊本地震からちょうど1年経ちました。大変でしたが、なんとかみんな頑張って今の生活を維持していることと思います。考えて見ると、ほとんど大した備えもしていなかったのに、よくみんな無事生き延びました。やはり助け合いの精神が一番大事じゃないかと思います。人はそれぞれ得意なことがあり、料理が得意だったり、大工作業が得意だったり、介護が得意だったり、いろいろあります。いざという時、商売抜きに困った人たちのために何かをしてあげられるのは私たちの喜びではないかと思います。そこに、ボランティアとか、そういう言葉をわざわざ使う必要ないと思います。

    次は南海トラフ地震がくると予想されていますが、備えるべきは食料とか、懐中電灯とか、それだけではないと思います。いざという時に助け合える近所づきあいが大事じゃないかと思います。人脈こそが命の綱です。熊本地震では、自宅の敷地内の水道管が破損して、近所は水道が復旧したにもかかわらず自分のところは水が出なかったのですが、水道局に電話しても、自宅敷地内は水道局の管轄ではないようで、どうしたものかと困っていました。そういう中、知人の紹介で水道工事業者さんと連絡が取れ、壊れた部分を直してもらうことができてとても助かりました。困った時に助け合える知り合いこそが大事だと痛感しました。しかし、人から何かしてもらうことばかりを期待してはいけません。日頃から人のために精一杯何かをしてあげて初めて自分の困った時に助けてくれる人が現れるのです。

  • 見上げれば満月

    桜が満開というのに毎日雨が続いて花見ができません。今日はやっと雨も上がり、犬の散歩をしながら夜空を見上げれば、満月です。私は小さい頃から夜空の月を見るのが好きでした。小さい頃はただ単に満月はなんて綺麗なんだろうと思っていました。そして、アメリカに留学中は、この同じ満月を日本の両親も見上げているかもしれないと遠く日本に想いを馳せつつ見上げていました。

    ウミガメは満月の夜に卵を産むとか、そのほか自然界のあらゆるものは月の周期に影響を受けています。私たち人間も例外ではないと思います。また、飛行機事故や大地震も満月や新月の日に多いことが統計的にわかっています。私はそういうことを随分前から意識していました。そしてあの熊本地震から今週末で1年となります。あの日の夜は満月ではありませんでした。なので、私としては全く予想していない夜でした。

    思い起こせば、激動の一年でした。いろんなことがありすぎて、一言では言い表せませんが今もあちこちに爪痕が残っているので夢や幻でなく現実なのです。時間しか解決してくれませんが、遅々としてあらゆるものが解決していないような気がして気が沈むことも多いと思います。しかし、気づかないうちに周りは確実に変化しています。今年も綺麗な桜が咲いたように、新しい明日に向かって進んでいます。