むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 必要なビタミンは食品からでは取れない

    ビタミンなどのサプリを否定的に考えている人が結構います。栄養の専門家なども案外そういう立場の人がいます。それは、通常言われている一日の必要量(健康を維持するのに必要な最低量)の話だと思います。私が皆さんにビタミンを勧めているのはそういうレベルの話ではありません。

    例えば、この暑い夏の炎天下を日焼け止めも何も使わずに歩いたら日焼けするのは当然です。美白にはビタミンCが効くというのは皆さんご存じだと思いますが、毎日レモンを食べていれば日焼けしませんか?そんなことはないですね。日にあったったのに当たらなかったことにできるほどのビタミンCはレモンに換算すれば1日100個でも足りません。しかし、サプリを使えば100個分でも200個分でも取ることができます。しかも100個分のビタミンCでさえ10円か20円です。たったそれだけの投資で美白を保てるのに、ビタミンはサプリでなく食品からとるべきと考えますか?

    美白は一つの例ですが、当院に来られる全身倦怠、食欲不振、体調不良、ストレス障害、鬱など西洋医学でも一筋縄でいかない病態を根本から治すには大量のビタミンやたんぱく(アミノ酸)などを必要とします。健康を維持するために必要なビタミンと、病的状態から元気にするために必要な(治療としての)ビタミン量は10倍以上差があると考えられます。残念ながら厚労省もビタミンの必要性に関してはよく理解していませんので、保険ではほとんど切られてしまいます。幸いビタミン剤のサプリは安いですから自費ででも買って飲んでいただきたいと思います。中にはすごく高いものがありますが、それは無駄です。安いものを十分量飲むことのほうが意味があると思います。

    コウヤマリゾート

  • いい雰囲気を作るためには

    梅雨の中休みでいい天気でした。いかがお過ごしですか。私は、最近週末には意識的にリフレッシュに努めています。次の一週間に備えての充電です。本当は、このブログ用に写真を撮って歩いたりもしたいのですが、暑いので、日中で歩くのはちょっと厳しいです。ちょうど用事があって城南まで行ったので、その先の古保山(こうやま)リゾート(温泉)に行きました。オープンの10時頃に行ったのですが、結構な賑わいでした。この温泉はとても不思議な空間です。入り口はレゲー音楽が流れていて中南米の雰囲気なのですが、ディスプレーはバリ島のリゾート地みたいです。そして、私が感動するのはお客さんが何人入っていてもとても静かなことです。温泉には音楽はかかっておらず源泉からチョロチョロと流れる水の音しかしません。

    また、入っている人たちも大きな声を出したりせず、本当に静かにリゾート感覚の温泉に入っています。うぐいすの声や風が木を揺らす音しか聞こえません。もちろん温泉は源泉かけ流しですから塩素の匂いはせず、心からリラックスできます。おそらく、経営者の方針がしっかりしていることと、その方針を実現するために建物の雰囲気や調度品の選び方など全てに気を使っているのだと思います。露天風呂の庭に生えている植物も無造作に生えているように見えますが、経営者の気を感じます

    このように「気を遣う」という言葉は日常用語ですが、それを目に見える形で見せてくれるのはさすがだと思います。リゾートという名前を冠するだけあると思います。当院も、リゾートみたいにその場にいるだけで心癒されて元気になるような空間にしたいと思っています。そのためには、クリニックの待合の雰囲気や職員の表情、声のかけ方など細部に渡って「気を遣いたい」と思っています。

    古保山リゾートの玄関まえ

  • フレイル(衰弱)について

    フレイルの勉強会に参加しました。フレイルというのはここ数年のはやりですが、加齢に伴い心身の衰えをきたすことを英語でフレイルティというそうです(https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html)。それを日本人の好きな4文字カタカナで表したものです。歳を取ると誰もが筋力など低下しますが、問題は病気で入院した時です。手術などを受けるとしばらく動けないし、食欲も落ちると途端に筋力が低下します。うごけると思ってもふらつきます。また、元気に退院してからも、家に帰ってみると1か月ほどたつと退院した時よりさらに体調は悪い場合が多いそうです。

    これがなぜか考えると、フレイルはおそらく胃腸機能が低下しているのが問題なのだろうと思います。退院すれば、食事は自分で何とかしないといけません。自分で作るか家族が用意するかです。栄養士もいませんから、食べたいものを食べたいだけしか食べないと思います。そうすると、高齢者の場合、口当たりのいいうどん、そうめん、ご飯に漬物みたいな炭水化物に偏った食事になると予想されます。圧倒的にたんぱく質が足りません。筋肉はタンパク質ですから、肉や魚を食べないと筋肉がやせ細るのは当然のことです。

    今日の漢方セミナーではフレイルに人参養栄湯が有効という話でした。人参養栄湯は胃腸機能を高めるため、食事が入るようになります。その結果、フレイルが予防できるようです。一方、栄養そのものについて考えると、やはりたんぱくが一番大切ですから、歳をとっても肉や魚をしっかり取ってもらいたいのです。あっさりしたものしか受け付けないという場合、プロテインがおすすめです。ココアみたいに水や牛乳で溶かして飲むだけですが、必要なたんぱくが簡単に取れます。コレステロールの心配もありませんからたっぷりとって大丈夫です。

     

  • 糖質制限で頭痛が治ったそうです

    訪問診療で嘉島方面を通りましたが、田んぼの水も引いていました。一安心です。この週末もひどい雨はないようです。今年は梅雨入りが遅くなりましたが、太平洋高気圧が弱いため、梅雨前線を北上させる力がありません。そのため、梅雨明けも遅れて7月下旬までダラダラと雨が降りそうです。梅雨後半は豪雨になりやすいため、今後も油断はできません。週末晴れているうちに洗濯をしたり雨樋(とい)の掃除をしたり有意義に過ごしたいものです。

    当院にかかっている患者さんの多くに、炭水化物を制限しましょう、タンパク質をしっかり取りましょうと栄養指導をしています。それぞれの不調が何であれ、栄養の基本は同じです。それだけ日本人の食事は糖質(炭水化物)が多すぎてタンパク質が少なすぎるのです。和食は健康と思いこんでいる人が多いですが、今のようにご飯(お米)を沢山食べるようになったのは昭和の戦後の話です。まだ100年もたっていません。私達の体は何万年もかかって進化してきましたが、100年未満の変化には遺伝子的にも対応できていません。それが、糖尿病をはじめいろいろな体調不良の原因となっています。コメだけでなく、パンや麺類も同じく注意です。

    このような私の栄養指導を忠実に守っていくれる患者さんやそのご家族から、体調が良くなったと報告を受けると嬉しい限りです。先日は、ずっと治らなかった慢性頭痛が糖質制限で治ったと報告を受けました。薬に頼らないで体質から治すのは本道です。時間がある限り食事や栄養の説明をするようにしていますが、あとは聞いたことを実践するかどうかはご本人にかかっています。

     

  • 日頃の逆をしてみる

    鹿児島に神田橋先生という高名な方がおられます。精神科の先生ですが、漢方にも詳しく、最近「心身養生のコツ」という本を出版されました。これまでの臨床経験の集大成的なものです。読み始めたら、とても面白く、引き込まれました。とても奥が深くて難しいので、何度も読み返さないと理解できないかもしれませんが、表面的にでもわかったような気がして、部分的にですが、印象的だったところを紹介したいと思います。

    自然治癒力を借りた養生法です。著作権もあると思うので詳しくはかきませんが、私が理解したのは、通常の逆のことをすると歪みが取れるということです。たとえば仕事で座ってばかりいる人は週末歩いたり走ったり運動をする。日頃冷房のきいた寒い部屋にいる人は週末暑いサウナで汗を流す。パソコン作業で前かがみ(猫背)になっている人は、後ろにそってみる。テニスで右手ばかり使う人は左手で素振りしてみる、という具合です。

    他にも、日頃食べすぎている人は週末にプチ断食をする、日頃家庭や仕事に縛られてストレスがたまっている人は週末ふらっと外出する。この外出を神田橋先生は「週末蒸発」とよんでいます。面白いネーミングです。昔はよくどこかの奥さんが蒸発したとか言っていましたが、最近は死語に近いですね。考えてみたら、蒸発しても携帯が通じるので、「あんたいまどこ?」と電話すれば居所がつかめるからでしょう。それにしても、週末携帯を切って鈍行列車かなにかでふらっとたびに出るなんてたしかにストレス解消にはもってこいかも知れませんね。