むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方は効能も多彩

    最近はコロナ後遺症外来で来院される方が毎日何人もおられます。相当の人が困っているのがわかります。1ヶ月以上激しい咳が続くとか、きつくて仕事できずずっと休職しているなど。当院では主に漢方を使って治療しているのですが、訴えが多いと一気に全部治すのは難しい場合があります。例えば、咳、微熱、頭痛、倦怠感が続くという方の場合、困っている優先順位をつけていただきます。咳がひどいので接客できないとか、微熱のせいで外回りの営業先に入れてもらえず仕事にならないなど、いろんな理由でそれぞれが困っていることがあります。その優先順位に重きをおいて治療方針を立てます。場合によっては我慢できるものは次回の診察の時まで先送りすることもあります。

    漢方はふしぎなもので、思いもよらない症状を同時に治すことができます。例えば、柴苓湯。コロナ後遺症外来で頻用していますが、頭痛、めまい、微熱、下痢などを一気に治すことができます。もう一つよく使うのが竹茹温胆湯。長引く咳と不眠を同時に治すことができます。西洋医学的には不思議な話ですが、漢方は複数の生薬の組み合わせなので、効能も多岐にわたるのです。

    面白いのでこのような漢方の使い方をもう少し紹介しましょう。猪苓湯は膀胱炎によく使われますが、下痢にも血便にも使えます。止血作用があります。止血作用といえば芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)は痔出血の薬ですが、月経過多で貧血を起こしたような場合もよく効きます。四物湯は冷えの薬ですが、足のつりを予防したり、パニック発作を抑えたり、認知症の頭の回転を良くしたりと多岐にわたる効果があります。面白いですね。