むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • シン食べる順ダイエット

    診療後、夜8時近くに往診にでかけたところ、車のTVでトリセツという番組をやっているのを見ました。テーマは「シン食べる順ダイエット」です。シンというのは新という意味ですが、以前から言われている食べる順ダイエットが進化したものでした。簡単に痩せられるとのことで、面白かったので内容を書いておきたいと思います。

    まず、特別なメニューや面倒なカロリーの計算は必要なし。重要なのは最初に肉や魚、卵などのタンパク質のおかずを食べること。一緒に野菜を食べてもいいが、じゃがいもやかぼちゃなど糖質の多い野菜は避けること。ご飯を口に入れるのは最初の肉(タンパク質)を食べ始めてから少なくとも5分以上あけること。これだけです。難しくないと思います。従来の食べる順ダイエットは野菜(サラダ)ファーストだったと思います。これも糖質の吸収を抑えるので有効ですが、タンパクファーストという食べ方は、別の理由があるそうです。それは、GLP1という物質の分泌です。タンパクを摂取すると血中にGLP1が放出され、血糖が下がるそうです。そこで、最初にご飯を口に入れてしまうと血糖が急速に上がるのですが、タンパクをとっておくとGLP1が分泌され、血糖を下げる準備段階に入るので、あとからご飯を食べても血糖が上がらないというわけです。血糖が上がると結果的に過剰のインスリンが分泌されて血糖は下がるのですが、それが太る原因となります。また、GLP1が分泌されると食欲が抑えられ、無駄に食べすぎなくなると言っていました。

    昔、学校給食では三角食べを推奨していました。ご飯、味噌汁、おかずを順番にぐるぐると食べるやりかたです。これが太る原因とわかったわけです。ラーメンや丼ものは炭水化物(ご飯)とおかずが一体になっているため難しいですが、チャーシューや卵などを先に食べて5分待つことです。トッピングをしていないシンプルなラーメンなどはかえってからだに毒です。全部のせにするか、別メニューでタンパクの料理をサイドに取りましょう。

  • 抑肝散加陳皮半夏

    今日は外来患者さんと訪問診療を合わせると120名近い数でした。とても混み合いましたので、待合での待ち時間が長くなったと思います。ご来院いただいた皆様にはご迷惑をおかけしました。また、ご協力いただきありがとうございました。さて、その忙しかった診療のあとは漢方の講演会でした。私は座長で司会進行だけだったのですが、慌ただしいことこの上ないです。今回の講演のテーマは抑肝散加陳皮半夏でした。この処方は当院でもトップ3くらいに入ると思う処方です。大変重宝しています。抑肝散といえば認知症の薬として知られていますが、本来は子供の夜泣きなどを治療する薬でした。そして、今ではいろいろな経験を通して幅広く有効性が確かめられています。

    私が最もこの処方を使うのは職場や学校のストレスで体調を壊した人。気分が落ち込んだりイライラしたりするのにはとても有効です。次に多いのは月経前症候群や更年期症候群でイライラするときです。少し珍しい使い方としては、慢性頭痛で鎮痛剤を使いすぎたせいで薬物乱用頭痛というのがあり、鎮痛剤を飲めば飲むほど頭痛が悪化するという悪循環を抑肝散加陳皮半夏を入れることで断ち切ることができるという使い方をします。

    他には、ストレスで目の周りの筋肉がピクピクすると言うのには特効薬です。また、最近当院によく来院されるむずむず脚症候群(レストレスレッグス)も抑肝散加陳皮半夏がよく効きます。不眠で睡眠薬に頼りたくないという場合にもよく使います。寝るときに歯を食いしばって顎関節が痛いとか歯がかけてしまったという場合も有効です。このように、漢方というのは西洋薬と違い、幅広く有効で、どこがどう効いているのかわかりにくいところもありますが、漢方医学的には肝気鬱結などと難しい言葉で把握されている病態であれば使う価値ありという処方です。

  • にがりの空きボトルの使いみち

    にがりは豆腐を固める凝固剤として知られています。成分の大半はマグネシウムです。海水を天日干しして塩を作る際にアクが出るのですが、アクがにがりです。塩の方は塩化ナトリウムで、にがりが塩化マグネシウムを主成分とした塩類です。昔の塩は精製してもにがり成分(マグネシウム、カルシウム、カリウムなど)を多く含んだ塩でしたが、最近は工業製品レベルの99.9%塩化ナトリウムみたいな塩が食卓に並びます。これは血圧を上げ、体に悪い塩です。天然塩(天日干し)のラベルを見るとナトリウムは少なく、カルシウムやマグネシウムなどが多く含まれているのがわかります。そういった塩は味もまろやかで味わい深く美味しいです。もちろん料理が美味しくなるだけでなくからだにもいい。一番のおすすめは沖縄の「ぬちまーす」という塩ですが、天草の天然塩にも結構いいものがあります。

    そして、にがりに関してはスーパーで液体のものが手に入ります。私はお茶などに垂らして飲むようにしています。患者さんにも事あるごとに勧めていますが、おかげで足がつらなくなったとか、お喜びの声を聞きます。汗をかいたときの水分補給にもぜひにがりを混ぜていただきたいものです。

    そうこうして、にがりを毎日とっていたら、にがりの入っていたボトルが空になりました。捨てようかと思ったのですが、このボトルのすごいのはポタポタと数滴少量をうまく垂らすことができるし、全くあとびきしないのです!そこで、ふと思いついて醤油を入れてみました。するとどうでしょう!ほんの数滴をうまく料理に垂らすことができます。減塩効果間違いなし!そしてあとびきしないのでテーブルも汚れません。すばらしい、大発見!と思ってご紹介しました。

  • 睡眠薬は認知症になるのか?

    睡眠薬を飲むと認知症になるとまことしやかに言われています。結構、そのような相談で来院される方もおられます。実際、マイスリーなどの睡眠薬を飲むと、飲んだ前後のことを思い出せないと言う相談を受けたことは何度もあります。夜知らないうちに冷蔵庫を開けてものを食べた形跡があるが自分が食べたのかどうかどうしても思い出せない、などです。これは薬剤による健忘です。この健忘が年をとったときに認知症になるのかというと、実際のところそれほど明確なデータはないみたいです。

    眠れないけど眠剤は怖くて飲みたくないという人は、そっちのほうが日常生活に大きな支障をきたします。日中の眠気でボーとしているとか、運転が危ないとか、仕事の効率も落ちます。そんな生活をするより、ちゃんと眠剤を使ってでもきちんと睡眠を取り、日中は活動するほうがいいと思います。問題なのは過剰な眠剤に頼ってしまう依存症だと思います。最近は依存の少ない眠剤が出ているので、そういう安全性の高い睡眠薬を選んでもらうのがいいと思います。漢方でも多少睡眠が良くなるので、漢方で十分という人もいますが、過剰に効果を期待してもそれほどは眠れないと思います。

    鬱がベースにあると、大半の方が不眠になります。これは、鬱が脳内の気持ちを安定させるセロトニンの不足から起こるもので、セロトニンはメラトニンという睡眠のホルモンに変換されるのでうつと睡眠がリンクしているのです。そこで、セロトニンを増やす抗うつ薬で睡眠が良くなるのはよくある話です。また分子栄養学的にはセロトニンを増やすためにタンパク質、ビタミンB6,鉄、ナイアシン(アミド)、亜鉛を取ると気分の安定とともに睡眠も改善します。

  • 久しぶりにリアルな講演会に参加

    秋の連休はシルバーウィークと呼んでいましたが、最近はそんな呼び方をする人もいなくなりましたね。それはともかく、先週に引き続き連休の週末でした。先週末は台風直撃で何もできませんでしたが、今週は天気にも恵まれ良い連休になりました。行楽日和だったと思います。先週ボシタまつりが延期になったので今日あるのかと思っていたら、違いました。来月になったみたいです。きっと交通規制などの準備があるのでしょう。阿蘇や天草も混雑したのではないかと思います。私は勉強会で博多に行きましたが、滞在したのはわずか3時間ほどですぐに帰ってきました。

    勉強会では新しい抗うつ薬の使い方のコツみたいな話を聞きました。すでに当院でも使っている薬ですが、新規の薬剤はどんな患者さんにどのタイミングでどのくらいの量を使うといいかというのがわかりません。経験を積めばいいのですが、新しいうちは副作用の心配もありあまりどんどん使うこともできません。そこで、たくさん使用経験のある先生が、使用上のコツを教えてくれると、とても助かるわけです。有意義な勉強ができました。

    コロナ以前はこのような勉強会がたくさんありましたが、この3年ぐらいはほとんどがWEB講演会に変わってしまい、現地で生の講演を聴く機会がなくなっていました。それが先月ぐらいからだいぶ復活してきました。実際は家でコーヒーでも飲みながらパソコン場面でWEB講演に参加したほうが移動の手間も省けていいのですが、たまに新幹線に乗るのは気分転換になって楽しい。博多までわずか30分ちょっとですが、小旅行した気分を味わえました。