むらかみ内科クリニック

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  • 胸焼け治療にガムを噛む

    朝起きたときに胸焼けがして気持ち悪いという場合、おそらく逆流性食道炎です。夜寝ているときに胃酸が逆流して食道炎を起こすのです。起きていると重力に従って食べたものは胃の下の方へ行きますが、横になると上がってくるのは当然のことです。食べてすぐ横にならなければいいのですが、仕事から帰るのが遅いという場合、たいてい晩御飯を食べてすぐ寝てしまう事が多いようです。また、晩酌にビールなど炭酸を飲むとゲップとともに胃と食道の境目が開きますから胃酸が逆流しやすくなります。若い頃はどうもなかったような生活習慣も、年をとってくると顕著に症状が出ます。

    逆流しやすいのは胃と食道の境目の筋肉が緩んだためです。しっかり閉まっていれば横になっても逆流しません。しかし、ゆるくなった筋肉を手術して治すようなことはしません。逆流性食道炎の治療にはPPIという胃酸を抑える薬を用います。胃酸が薄くなると、逆流しても刺激がするないので胸焼けは収まります。しかし、根本解決になっていないので、いたちごっこです。良くなったかと思って薬をやめると症状が再発するためずっとやめられないことが多いです。

    胃酸というのは口から入った食べ物を消化したりやバイキンを殺菌するために必要なもので、薬で強力におさえて中性に近い状態にするのは生理学的に勧められたものではありません。なんとかそんな薬を使わずに治したいと、漢方で努力することもありますが、先日患者さんが素晴らしい成果を挙げられ、教えてくれました。胸焼けは食後にガムを食べるといい、というもの。確かにガムを噛むときの唾液で消化が進みます。つばを飲むことで胃食道の筋トレになるのかも知れません。ガムを噛む事は副交感神経を優位にはたらかせます。交感神経ばかり使っているストレス社会においてガムを噛む事は自律神経の治療になるのだろうと思います。