むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • コロナ後遺症の漢方理論と実際

    患者さんに教えてもらったのですが、にがりはメーカーによってマグネシウム含有量が相当違っているとのことです。私はイオンで買っているのですが、イオンには1種類しか売ってないので比較したことがありませんでした。ネットで見るといろんなにがりがありますね。すごく薄いものから相当高濃度のものまであります。もちろん濃度によって適量が異なってきます。私はお茶などに数滴ずつ入れて一日で小さじ一杯程度をとっていますが、商品によってはそれが適量とは限りません。とり過ぎたらお腹がゆるくなるので、それを目安に程々の量をとってみてください。夏バテ対策にも塩分だけでなくマグネシウムその他のミネラル補給が必要です。また、足がつりやすいひとはにがりを毎日とっているとつらなくなってきます。多少塩分が入りますが血圧の上がる心配はありません。血圧を上げるナトリウムやカルシウムと反対に血管や心臓をリラックスさせるのがマグネシウムやカリウムです。にがりはそちらの成分が多いので大丈夫なのです。

    さて、当院はコロナ後遺症を積極的に見ています。毎日相当数来院されます。このブログを読んでいるドクターや薬剤師さんも多いそうなので、参考までに私の弁証(漢方的な見立て)理論を書いておきたいと思います。

    まず、ブレインフォグは頭の炎症と水毒(痰飲)と考えます。柴苓湯を基本としますが、体質により当帰芍薬散や四物湯+五苓散などを考慮します。微熱が続く場合、小柴胡湯をベースにします。柴胡桂枝湯や柴胡桂枝乾姜湯も候補となります。味覚障害は亜鉛の補給が必須です。漢方ではなくポラプレジンクを入れます。倦怠感は気虚ですが血虚を伴っているかどうかで補中益気湯や十全大補湯、人参養栄湯などを検討します。紅参末も非常に有効です。めまいふらつきの場合、気虚があれば半夏白朮天麻湯、気逆の傾向があれば苓桂朮甘湯となります。咳の亜急性期は竹筎温胆湯、慢性期は麦門冬湯あるいは滋陰降火湯を考えます。咳がひどいときは喘息用のステロイド吸入剤やモンテルカストを併用します。

    下江津湖