むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 魔法の薬その4:五苓散

    3日連続で私の好きな漢方処方の解説をしました。どれも使い方がいくつもあって、万能薬です。漢方は本当に面白いです。こんなふうに処方解説をすれば延々できるのですが、読んでいる方もだんだん飽きてくるかと思いますので、今日までとします。最後に、魔法の薬その4は五苓散です。五苓散は体内の過剰な水分を調整してくれるのですが、西洋薬の利尿剤と違って過剰な水分がないときは水を抜く働きはありません。したがって、脱水になる心配はないのです。

    40歳女性。看護師。立ち仕事のため夕方になると足がむくむ。仕事が休みの日はむくみも軽い。夜に仕事から帰って五苓散を飲むとむくみは取れるが夜間のトイレの回数が増えるので、日勤の日は朝から飲むようにすると、あまりむくまなくなった。結局、冷え性や生理痛もあったので五苓散を当帰芍薬散に変えて定期で飲むようにしたところ、体調全般がよくなった。

    50歳男性。会社員。コロナ前の話ですが、接待でお酒を飲む機会が多いが、お酒が強いわけではなく二日酔いすることが多い。頭痛、吐き気など困っている。五苓散を宴会の前に飲んでおくと二日酔いの頭痛や吐き気が軽くなる。飲みに行く前に1包、帰宅して1包、そして翌朝もう1包という飲み方。黄連解毒湯を合わせると更に効果的ですが、五苓散+黄連解毒湯を飲む前に飲んでおくと酔いが回りません。接待する側で酔って失敗してはいけないときは飲んでおくといいでしょう。昔は製薬会社のMRさんたちは毎年12月になるとこの処方をもらいに来ていました。

    10歳男性。クラスで流行っている胃腸炎に罹った。嘔吐下痢がひどい。胃腸炎は前回書いた黄連解毒湯が著効しますが、子供の場合黄連解毒湯が飲めないときは五苓散がいいと思います。水をたくさん使って飲むとまた吐いてしまうので少量の水で飲むと吐き気もおさまり、下痢も止まります。大人は黄連解毒湯のほうが効きますが、場合によっては五苓散と黄連解毒湯を合わせて使います。奇しくも上述の二日酔いのときと同じ組み合わせになります。

    25歳女性、生理前や雨の前に頭痛がひどい。五苓散を毎月生理前の2週間だけ飲むようになり鎮痛剤がほとんどいらなくなった。天気が下り坂のときは天気予報を見た時点で予防的に五苓散を飲むと頭痛はコントロールできるようになった。このように、五苓散も魔法の薬です。

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