むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 抑肝散加陳皮半夏:魔法の薬2

    昨日に続いて私がとても良く使う抑肝散加陳皮半夏をご紹介します。。抑肝散というもともとの処方に陳皮(みかんの皮を干したもの)と半夏という生薬を加えたものというネーミングです。

    その1:50歳女性。子供と夫がコロナの影響でリモートワーク(学習)となり、みんな家にいる用になり、ストレスでイライラしたり、眠れなくなったりで体調不良。家事、自分の仕事に加えて、子供や夫の面倒まで見ないといけない。抑肝散加陳皮半夏を処方したところ、気分が落ち着き眠れるようになった。

    その2:45歳女性。事務職。年度末でいつもにまして忙しい。そんななか上司が嫌がらせとも思えるような仕事を振ってくるため、昼休みもゆっくりとれない。文句を言い返したりするのも面倒なのでぐっと我慢して仕事をこなしているが、次第に仕事に対するやる気も出なくなり、突然涙が出たりする。朝から仕事に行こうとすると吐き気がしたり頭痛がしたりする。抗うつ薬に加えて抑肝散加陳皮半夏を処方した。抗うつ薬は効果が出るまでに1週間以上かかるが、抑肝散加陳皮半夏は即効性があり、飲み始めてすぐ気分が穏やかになる。抗うつ剤が効いてくるまでのつなぎとしても大変有用である。

    その3:40歳女性。慢性頭痛。もともと片頭痛体質で、生理前や天気が悪くなる前に頭痛がしていた。最近子育てのストレスもあり、肩こりがひどく頭を締め付けるような頭痛が毎日ある。イブを一日2回朝夕毎日使っている。これは、薬物乱用型頭痛です。頭痛外来に行けば、頭痛薬を飲むな、我慢しろと言われます。当院ではこういう患者さんに抑肝散加陳皮半夏を処方します。飲んでもらうと、頭痛がだんだん減ってきて鎮痛剤を使わなくて良くなります。頭痛薬中毒みたいな悪循環が簡単に断ち切れます。

    その4:35歳男性。会社員。就職して仕事にもなれたところだったが、この春部署異動となった。仕事はわからないことばかりだが、周りに教えてくれる人もいない。会議に出るため資料を準備をしていると、目がピクついてしかたない。抑肝散加陳皮半夏を処方したところ、数日で目のぴくつきは良くなった。

    すごいですね、魔法の薬。大好きな処方です。

    たんぽぽはタネが飛ぶ前に草取りしないと来年が大変です