むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 心不全の治療

    息苦しくてパニックになるという患者さんが来院されました。パニック発作というのは突然不安や恐怖に襲われて、もしかしたらこのままでは死んでしまうんじゃないかと思って救急車を呼んだりするが、検査すると特に悪いところが見つからない、結局精神的なものではないか、というものです。今日の人は、ちょっと話を聞くと確かにパニックっぽいのですが、詳しく話を聞いているうちにこれは違うだろうと確信しました。細かいことは省きますが、これはパニックではないと思い、レントゲンや心エコーをしたところ重症の心不全でした。心不全で心臓の周りや肺に水が溜まって息苦しくなったわけです。

    心不全にも原因はいくつかあります。高血圧性心臓病、慢性心房細動、拡張型心筋症、陳旧性心筋梗塞、たこつぼ心筋症、などなど。原因が何なのかというのは基礎疾患で予想できることもありますが、多くは心臓カテーテル検査のような精密検査が必要となります。肺に溜まった水は利尿剤をつかって尿中に抜いていきます。利尿剤にも内服や注射、持続点滴製剤などいろいろあります。それぞれに特徴があるので、どれを使うかは症例ごとに異なります。酸素化が悪くなるようなら酸素投与も必要となるし、場合によっては持続陽圧呼吸という人工呼吸器ににた補助呼吸を行うこともあります。

    わたしたち開業医は、心臓カテーテル検査はできないので、すぐ検査が必要となれば日赤や済生会に紹介します。酸素化などが悪くなくて全身状態を保っている場合、内服の利尿剤や心不全治療薬を使って様子を見ることもあります。高齢社会においては、心不全パンデミックと言って心不全患者さんが爆発的に増えると予想されています。クリニックの外来でフォローできるものとすぐさま入院治療が必要なものの選別がわたしたちの大切な仕事になると思います。

    桜の木 花が散って青々とした葉が輝きます