むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 処方が思ったほど効かなかったら

    血圧の治療をするときに注意するのは、薬の強さ、種類、飲む回数です。どのくらいの強さにするとちょうどいいかは経験がものをいいますが、降圧目標はガイドラインで決まっています。ポイントは、いかに処方した薬を確実に飲んでもらうかです。その際、薬の飲み方が煩雑だとのみ忘れる原因になります。できるだけ少ない錠数で単回投与で目標まで下げられる工夫をします。また、利尿剤を入れて体から塩分を抜いたほうがいいとか、心不全や狭心症の予防効果のある降圧剤がいいとか、いろいろ患者さんごとに最適な薬を選びます。また、薬には半減期と言って効いている時間が薬ごとに違います。したがって、患者さんの血圧のパタンを見ながら短時間効くものから数日かけてゆっくり確実に効く薬の中から最も適しているものを選びます。

    血圧の薬だと、一つ処方してみて目標に達していないとき同じ薬を増量するか、他の薬を足すか、もっと強い薬に変更するかが考えられます。どのパタンで目標を達成するかは主治医の腕の見せ所ですが、経験と理論が必要です。ガイドラインにもそこまで詳しいことは書いてないことがほとんどです。

    当院では漢方の相談も多いため、倦怠感とか、食欲不振とか、頭痛などいろいろな訴えで来院されます。この薬で行ってみようと処方するのですが、2週間後にまだ症状は続いています。良くなっていませんと言われたら、どうするか?血圧の薬のように増量するというのはあまり現実的でないので、処方を変更するか他の薬を追加することになります。最初に処方した薬が、現段階では効果がないように見えてももうしばらく続けたら効果が出るかも、と思えば、処方は切り替えずにもう一剤追加することになるのですが、多剤併用になる問題もあるし、単なる自己満足かもしれないと思う場合もあります。このように、患者さんの前で、目まぐるしくいろんなことを考えながら処方を決めています。診察は終わったのに、なかなか次の患者さんを呼ばないなと思ったら、実は私がこんな事を考えながらパソコンの前であーでもないこーでもないと考えているのかもしれないと言うことです。