むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 黄連解毒湯:魔法の薬その3

    私が好んで使う魔法の薬3つ目は黄連解毒湯です。苦い処方なので当院ではカプセル製剤を採用しています。体を冷やしてくれる薬の代表です。

    50歳女性。更年期で上半身がカーと熱くなり汗が滝のように流れる。婦人科で加味逍遥散をもらって飲んでいるがおさまらないため来院。黄連解毒湯を追加して様子を見たところ、上半身の熱感は改善した。

    40歳男性。口内炎ができた。痛くて食事が取れない。口内炎は仕事が忙しく無理したときや宴会が続くとしょっちゅうできる。そのたびに痛みが酷くつらい思いをしていた。食前に黄連解毒湯をカプセルから出して苦い粉を口に含んでしばらくしたら飲み込むように指示した。痛みはまたたく間に軽くなり食事を摂ることができるようになった。しばらくするとまた痛くなるので、毎食前に同じ飲み方をしたら数日で口内炎も改善した。

    30歳女性。昨日から子供が感染性胃腸炎になり、世話をしていたら今朝になって腹痛、吐き気、下痢となった。黄連解毒湯を処方したところ、3日目には完全に良くなった。感染性胃腸炎は漢方ではすぐ治りますが、胃薬や整腸剤では1週間ぐらい治りません。当院で胃腸炎で食事が取れず点滴までする人は年に3−4人くらいしかいません。ほぼ全例黄連解毒湯で治ります。

    15歳男性。バトミントン部で、真夏の暑い日に風も吹かない体育館内で毎日練習をしている。ある朝、頭痛、吐き気などで体調不良となり来院。熱中症の診断で黄連解毒湯を処方。数日で回復し、それ以降毎年夏の練習時にはこの処方を欠かさない。ある夏の日、サッカーの試合があり、父兄も応援に参加していたところ、熱中症で倒れた父兄がいた。すぐ木陰に移動して体を冷やした。たまたま私が処方した黄連解毒湯を持っていた父兄が、その人に1回分飲ませたところ、まもなく元気になり、歩いて帰宅できた。その他、ビニールハウスで作業する農家の人や炎天下交通整理をする警備会社の社員さんなど、毎年梅雨明けと同時に黄連解毒湯をとりにきます。魔法のようによく効きます。